第5話;冥土長の馬鹿野郎
皆さんこんばんは!
先日、コンビニに買い物に行った際に店内で奈々様の「DISCOTHEQUE」が流れていました。
さらに最近、友人と飲みに行った際に、今まで海外のアーティストしか聞いていなかった友人が奈々様の曲の話をしました。
周りの皆がどんどん奈々様の魅力に気付いてくれて嬉しい僕ですはい!!!
始まるよーーーーー!!!!!!!!!
「・・・さっぱり」
ティリアとの入浴を済ませたパルちゃん。
パルちゃんが風呂上りに着用しているのは、この俺が町の仕立て屋にいつか産まれてくるであろう娘へのプレゼントとして用意していた一品だ。
ちなみに息子用の品もあるよ。
淡いピンク色のワンピースを着たパルちゃんは、さっきまでの汚れを風呂で落とし、この世に迷い込んだ可愛らしい妖精のようだ。
「やあ、パルちゃん。すっかり綺麗になったね」
「・・・近寄らないでください」
妖精がまるで汚らしい汚物を見るような目で俺を見て言う。
ははは、中々破壊力があって困っちゃうねー。
「あら、パルちゃんすっかり綺麗になって・・・って閣下!? どうして真っ白に燃え尽きていらっしゃるんですか!? 一体何が・・・」
食事の準備が出来たのか、パルちゃんの声を聞いてこちらにやって来たシズカが俺を発見。
「ははは、やあシズカ。年頃の娘に嫌われる父親って、こういう気分なのかな?」
「はい?」
「・・・良い匂い!」
そう言ってトテトテと広間に設置されたテーブルまで歩いて行くパルちゃんはとても可愛いが、俺はあんな愛らしい少女に嫌われているのだ。
もうこの世に生きている意味なんて無いのかもしれない。
「はい、パルちゃんの席はここね」
「それじゃあ俺はパルちゃんの横だね!」
「おい閣下。あんたは隅にいけ。パルが怖がっているだろう」
と、同じくお風呂上がりのティリアが言う。
パルちゃんと同じく俺を汚物を見るような目で見るが、どうしてか彼女の視線はパルちゃんが俺に向けるものとは違い、中々どうして気持ちがよかった。
俺は思ったよりも重病かもしれない。
「ね、ねえ、ティリアくん。一応俺はこれでも君たちの主なんだし、もう少し優しくしてくれても良いんじゃないのかな?」
「・・・・・・」
そう言った俺に対してティリアは少し思案した後、
「シズカー! パルがもう待ちきれないみたいだから、さっさと食事にしよう」
「うふふ、そうですね」
どうやら無視することに決めたらしい。
今の間は何だったの?
「・・・いただきます!」
パルちゃんは俺のようなゴミにはもう興味が無くなったらしく、目の前の料理をひたすら食べていた。
「あら、寝ちゃいましたね」
「ああ。よっぽど疲れていたんだろうね。かわいそうに、こんな小さな女の子が・・・」
俺はいつの間にか眠っていたパルちゃんの頭を撫でる。
そして、シズカに視線を移し、
「シズカ、アーリアット村の地理は詳しいか?」
「いえ」
「そうか、では今から行って周辺の地理を調べてきてくれ」
「畏まりました。閣下は?」
「俺は明日の朝向かうよ」
「お一人で、ですか?」
「ああ。パルちゃんを残してはおけないからね。ということでティリア、パルちゃんをよろしく頼む」
「了解した」
何も無いに越したことは無いが、あの奴隷商はどこか匂う。
まあ、実際臭かったしな。
それに、この時期に帝国の人間がフォートを訪れるのも怪しい。
国内の貴族の誰かが、あの奴隷商を招き入れたことは間違いない。そいつの素性も調べておかないとな。
「それでは閣下。私はお先に向かいます」
「シズカ」
「はい」
「出来るだけ開けた場所がいいな」
「畏まりました」
「それと、シズカ」
「はい」
「行ってきますのチューは?」
シズカの唇の代わりに、ティリアさんの熱く燃えたぎった拳を頂きました!
良い仕事してるね、ティリアくん!
「今のは気にすんな。気を付けろよ」
「はい、それでは行ってきます」
シズカが出ていき、屋敷内には俺とティリアとパルちゃんの三人だけとなった。
ティリアは幸せそうに眠っているパルちゃんを優しく抱き上げて、寝所に運びに行く。
その途中。
「閣下」
「何だいティリアくん」
「この子の部屋に忍び込もうものなら即死刑だから」
死刑!
私刑ではなく死に直結してしまうような刑を執行されてしまうのか!
ちょっと酷過ぎないかい!
俺だってパルちゃんの可愛らしい寝顔を、それこそパルちゃんがうなされてしまうほど目に焼き付けたいよ!
まったく、このメイドは容赦がないな!
俺もそろそろ本気で怒っちゃうよ?
とはティリアが怖くてさすがに言えない。
「信用がないなー」
「もし」
「え?」
「もし、約束を守れたら、ご褒美を差し上げますわ」
ティリアは熱く火照った頬と誘う様な瞳で俺の全身を見つめて言う。
「この子を連れて行きますので、私が戻って来るまでこの場でお待ちください」
自分でも信じられないくらいの速さで首を上下に振って了承の旨を伝える俺。
「では」
そう言うとティリアは去って行った。
結果から言おう!
俺は一晩を広間で過ごしましたとさ!
畜生!
騙された!
俺の純情を弄びやがって!
あ、でも、これっていわゆる一つの放置プレイというものでは?
そう考えるとこれも立派なご褒美か!
・・・・・・・・・・。
って納得出来るか!!
翌朝。
ティリアに見事騙された俺は憤懣やるかたない想いを胸に抱き屋敷を出発する。
心地よい太陽の日差しと、小鳥たちの囀りが俺の心を潤してくれる。
ははは。
あー、世界って滅びないかな?
一度滅びて、全ての女性が俺だけに優しい世界にならないかなー。
まあ、なるわけないか。
読んで頂きありがとうございます!
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