第3話;祭りの後の訪問者
皆さんこんばんは!
学生だった頃の話なのですが、一泊二日で卒業旅行に行った際に泊まったホテルで飲めない酒を少しずつ飲んで楽しく過ごし、いつの間にか眠りに付きました。
次の日、起床した僕は何故かデジカメを握っていました。
どうして自分はデジカメを持っているんだろうと不思議に思い、中のデータをチェックしてみると・・・。
全く知らない外国人二人が僕を挟んでにこやかな笑顔を浮かべている映像が出てまいりました。
何だ・・・これは?
不思議なこともあるものですね!
それでは、そんな僕がお送りする・・・・・・始まるよーーー!!!!
一人の男がある村を目指していた。
男は大柄で髪も髭も生えるに任せて一切の手入れをしていないようで、毛で顔を覆われていて、どのような顔なのか分からない。
男の腕は大木のように太く、その腕で大きな袋を担いでいる。
夜の帳が訪れ、辺りはすっかり暗闇に包まれている。
外灯の明かりも無い。
暗闇の中をふらふらと幽鬼のような足取りで歩く男は、さながら鬼のようである。
男が向かう先はアーリアット村。
ルデレロ帝国とフォート王国のちょうど境目に存在する小さな田舎町である。
男は村にたどり着くと、酒場を目指す。
ふらふらと店内に入って来た大柄の男に店内の空気が凍りつく。
先ほどまで楽しそうな顔で笑っていた客はもちろん、食事を運んでいる若い少女やがっしりとした体型の女性も男を見て料理を落とす。
「い、いらっしゃい」
痩せた年寄りが辛うじてそう言った。
どうやらこの老人がこの店のマスターのようだ。
「何にする?」
「・・・・・水」
「水?」
コクンと男が首を振る。
「あ、あいよ」
男はグラス一杯に注がれた水を勢いよく飲み干し、老人にグラスを突きだす。
「おかわりかい?」
男は再びコクンと首を振る。
「はは、よっぽど喉が乾いてたんだな」
と、老人が言うと。
男の腹から猛獣の叫び声のような音が聞こえてきた。
「ははは、腹減ってんのか! よしよし、待ってな。今、メシ作ってやるよ」
「・・・結構だ」
低い重低音で男は答えるが、男の腹からは猛獣の叫びが再び鳴り響く。
「・・・持ち合わせがない」
男は先ほどよりも、少々声のトーンを落として言う。
「はっはっはっは! いいさ、今日は俺の奢りだ! 好きなだけ食ってけ!」
「・・・しかし」
この頃になると、店内は活気を取り戻しており、客たちは男に「気にすんな!」「食ってけ食ってけ!」と、代わる代わる声を掛けていった。
「・・・感謝する」
「おう!」
二時間後。
男は店内にいる客や給仕の娘、マスターたちに勧められるまま食事をし、遂には店の食料が尽きるまで食べた。
「あちゃー、すまんな。もう材料がねーや」
「・・・いや、こちらこそすまない」
「いいっていいって! 今日はアンタが初めてウチの店に来てくれた記念の宴会だよ」
「・・・こんなに美味い食事は初めて食べた。感謝する」
「そう言って貰えると嬉しいね。ところでアンタこの辺りじゃ見ない顔だけどどこから来たんだい?」
「・・・・・・」
マスターの質問に男は無言で答える。
「いや、答えたくないならいいんだ。誰であろうとウチの店にいる以上は大切な客であることには変わりないからな」
「・・・すまん」
男はそう言ってから店内を見渡すと、
「・・・皆、笑顔だな」
と、言う。
「え? ああ、そうだろう。まあ、今は前と違って毎日が楽しくて仕方がないからな」
「・・・何かあったのか?」
「まあな」
「・・・よければ、何があったのか聞かせてもらえないだろうか?」
「おお! 聞きたいかい!」
男がコクンと首を振ると、マスターが店内にいる全員に、
「おーい! 皆集まれや! こちらのお客さんに、あの話をしてやろう!」
「おっ! いいね!」
「そんじゃあ酒用意してくれよ!」
「よしよし」
「あー! 今日はもう無礼講だ! 全員勝手に酒を飲め!」
「・・・いいのか?」
「いいってことよ! えと、そんじゃあ話すがな、あれはちょうど一月前のことだよ。あるお方がこの村に来た時の話だ・・・」
読んで頂きありがとうございます!
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