第15話;私は何も盗んでいない?いいえ盗みました俺の心です!
皆さんこんにちは!
今更ですが、うたわれらじおCD買って聞きました!
面白過ぎる・・・。
それでは・・・はーじまーるよー!!!
「・・・そう、そんなことがあったのですか」
ソーニャちゃんの話を聞き終えたミネルバ王女殿下はそう言うと、パルちゃんとリンネちゃんを抱き寄せて言った。
「おかわいそうに! そんな辛い出来事の後にこんなクソウジ虫侯爵のメイドとなってしまうなんて! お二人さえよろしければ、私専属のメイドとして働いて頂いてもよろしいんですよ?」
「・・・やぁ」
と、王女殿下の御誘いをきっぱりと断るパルちゃん。
そうだよね、パルちゃんは俺と離れたくないよね!
「・・・お姉ーちゃんとテー姉ちゃんと一緒!」
「ふふふ、中々見所がある子だろう?」
俺と王女殿下を見ては勝ち誇った顔でそう言うティリアくん。
そんなティリアをリンネちゃんは乾いた笑みで見ている。
「あら、それなら貴女も一緒に私のメイドになられてはいかがかしら?」
「・・・・・・少し、考えさせてくれ」
え!?
ちょっとティリアくん! そこはすんなり断ってよ!
「ええ、もちろんですわ。あと、もちろん貴女方の待遇は最高級のもてなしとさせて頂きますよ。もちろん貴女方が望めばそれが可能なことならばどんなことでも許可致しますわ。あとは、この書類にサインを書いて頂ければそれで契約成立ですわ」
「今までお世話をしました、閣下」
即決!?
嘘だよね、ティリアくん!
「あの、ティリアさん。私は侯爵様の下でメイドを続けたいです」
心優しき天使たるリンネちゃんだけが今や俺の味方である。
「・・・じゃあパルもー」
「すまない王女よ。今回の話は無かったことにしてくれ」
意思弱っ!
というより、二人の天使に誰よりもメロメロなティリアくん。
「あの、王女殿下」
「何ですかアルトリア侯爵」
いつまでも遊んでいたいけど、そういうわけにもいかない。
なので、俺は王女殿下が俺を呼び出した理由を聞いてみることにした。
「すみません。本当は貴公を呼びたてたのはお母様です」
「陛下が?」
「はい。何やらアルトリア侯爵と内密に話したいことがあるとか。なので、私が多忙な
お母様の代わりに使いの者を遣り貴公を呼ばせて頂きました」
何だろう?
この前のベールセンから土地を譲り受けた(強奪)件かな?
でもあれは、表向きは我が家の優秀なメイドであるシズカくんのお陰で無償譲渡という形で片が付いているはずだから大丈夫だと思うんだけどな・・・。
「それじゃあとりあえず陛下に会ってきます」
「ええ。今ならお母様はご自分のお部屋にいらっしゃる筈です」
へ、陛下のお部屋!?
美しき女王陛下のお部屋に、俺という素敵過ぎる男が入室して俺の中の百八の獣たちを黙らせておくことが出来るだろうか?
自信が無い。
これは負け戦か。
だが、例え自分の中の獣に敗北することが分かっていても、男にはそれでも立ち向かわねばならない闘いがある。
今が・・・その時だ!
王女殿下。
俺はそのうち貴女のパパになるかもしれません。
「良く見ておけ、パルにリンネ。あのように見ているだけで人を不愉快にさせてしまう顔をしている男のことを、ゴミクズ野郎というんだ」
いたいけな少女たちに何てことを教えているんだい、ティリアくん。
というか今の俺ってそんなに酷い言われような顔をしちゃっているのかい?
ちょっとショックだよ。
城の中には数多くの部屋があるわけだが、そんな中でも俺は陛下の部屋へと迷わずに向かうことが出来た。
それというのも、来るべき日のために誰にも気づかれること無く影から陛下を護衛してきた日々の賜物だろう。
(注)ストーカーは犯罪です。
「陛下ー、来ましたよー」
ドア越しに言うと、
「来たか、入れ」
凛とした美しい声が応えてくれる。
許しを得て、中に入った俺を迎えた陛下の格好は、紫色の妖艶なネグリジェ姿だった。
もう少しで見えそう!
でも見えない!
そんなエロイムエッサイムな陛下の御姿を拝見して正気を保てるはずも無く、俺の中に
存在する百八の獣たちが歓喜の声を上げて解き放たれたことは言うまでも無い。
俺は足に自身の持てる力の全てを込める。
某三世な怪盗のように「ユーリアちゃーん!」と、陛下へ向けて華麗なるダイブを決めるためである。
「やはりベールセンは帝国と繋がりを持っていたのか?」
「・・・え?」
足に込められていた力が一気に抜けてしまう。
あるぅぇ~?
「あの・・・陛下?」
「む、何だ?」
「何故そのようなお姿をされていらっしゃるのですか?」
今更だけど重要なことだよね。
「あー、うむ。少々疲れていたので、お昼寝をしていた」
お昼寝って言った、今!?
陛下のお口からお昼寝という言葉を聞くとは思っておらず、興奮してしまう。
あの美しく聡明でなお且つお色気たっぷり、一国の長としての威厳も充分に持ったユリア・ファン・フォート女王の口から出た言葉とは思えないが、そんなギャップがまた俺のハートをテイクアウトする。
「ははは! こいつはまた凄い物を盗まれましたよ!」
「は? 私は何も盗んだりしていないが?」
「いいえ見事に盗まれました」
まるで永久に続くかのように、止めどなく流れ出る鼻血で陛下の部屋を殺人現場へと模様替えさせながら俺は告げる。
「俺の心です」
俺の意識はここで途絶えることとなった。
読んで頂きありがとうございます!
この作品が貴方のお暇のお供になれれば幸いです!!
ご意見・ご感想などがあれば是非に!!!