第13話;以前の彼
皆さんこんばんは!
ところで本日の僕の昼食はドライカレーだったのですが、それだけでは味気がないなと考え、その上にとろとろの半熟オムレツを乗せたオムレツドライカレーを作って食べました。
とても美味しかったです。
・・・・・・・・・・・・・いえ、ホントそれだけです。
別にこの後にオチとかないですよ?
はーじまーるよー!!!!!!
ミネルバ・ファン・フォート。
フォート王国の王城から名を取って名付けられたこの王女には、昔憧れの男がいた。
侯爵家に連なる三男のその男は、王国内に存在する他の貴族たちとは違った空気を纏っていた。
その男は、王国随一の騎士であり、彼のルデレロ帝国やシード共和国の人間からは『武帝』という名で恐れられ、何の強みも無いフォート王国の唯一の誇りと言ってさえ良かった。
男は数人の仲間を連れだって、紛争の激しい地域を渡り歩いては争いを武力と知恵で収め、多くの人々を救ったこともある。
そんな王女が憧れた男は三年前のとある事件で唐突にそのあり方を変えて生きることになる。
当時のアルトリア侯爵が病に倒れ、長男が次期当主となった僅か数日後には長男と次男が旅行中の事故でこの世を去る。
必然的に、三男であるブラッド・アルトリアがアルトリア侯爵家の当主となった。
誰もが、長男や次男よりも彼こそが侯爵家の後継者として相応しいと思ったし、王女自信もそう信じていた。
いつもと同じように、他国に出向き争いを収めて戻ったブラッドに父と兄妹の訃報が届けられたのはこの時である。
既に母はブラッドが幼い時に他界していたことで、アルトリアの血を受け継ぐ者はブラッドただ一人であった。
ブラッドは父たちの死を嘆くでもなく、ただ黙って受け入れた。
それからブラッドは姿を消した。
三日後、屋敷へと戻って来た彼はそれまでの王国中の誰もが憧れを抱いていた男ではなくなっていた。
侯爵家の当主となった彼は、騎士団を引退する。
騎士団の面々や民たちは彼の引退を惜しんだがそれ以上に惜しんだことがあった。
それは・・・。
「今日から俺が侯爵様です! 偉いのです!」
以前の彼とは似ても似つかない存在に成り果てていたのである。
毎日を面白おかしく遊び歩き、何に使用しているのか侯爵家の資金は日に日に減少していった。
そんな彼をアルトリア家の使用人たちは見放して、彼の下を離れていき、彼もまたそんな使用人たちを黙って見送る。
「道楽息子」
そのうち彼はそう呼ばれるようになっていった。
そんな彼の下に、ジパングという東方の小国よりやって来たという美しい女性と、帝国という大国から直々に引き抜いてきたというこれまた超が付くほどの美しい女性がいつの頃からか姿を見せるようになった。
ジパングよりやって来たという女性は、当初は客人扱いだったのだが、最近になってアルトリア家のメイドとして元帝国の美しい女性と共にブラッドに仕えているという。
王女はブラッドが綺麗な女性を侍らせているという話を聞いて、大変面白くない気持ちだった。
さらには、商人としては最低最悪な商いを行う奴隷商から奴隷を買ったとか。
それがまた、いたいけな幼い少女であるとか。
王女の怒りは限界に達していた。
王女はブラッドを城に連れてくるようにと、伝令の兵士に頼んだのだがその兵士はまだ帰ってこない。
一体どこで油を売っているのか。
苛立たしい気持ちを汗と共に流そうと、王女は友人である少女を尋ねるついでに演習場へと顔を出した。
そこで王女は自身の臨界点を軽々と突破させてあまりある光景を目の当たりする。
「か、閣下がお望みなら・・・」
友人であり、妹のように可愛がっているソーニャ・バーンズという少女をブラッドという名前の魔物が今まさに汚そうとしている。
それも他の騎士団員たちの目の前で。
王女の瞳には暗く濁った怨嗟の炎が燃えたぎっていた。
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