第12話;変態、それは君が見た光。僕が招いた絶望・・・
皆さんこんにちは!
この前、友人と飲みに行った店にたまたま小学生時代の友人が彼女と二人で飲みに来ておりました。
「おお!久しぶり!」「久しぶりやな!」
まあ、当然こういう展開になりまして。
その間、友人の彼女は僕の顔をとても難しい顔で見ておられました。
彼氏との時間を邪魔したから怒ってるのかな?
と、思っていたのですが、どうやら違ったようで・・・。
「シリル・アビディに似ているって言われません?」
((注)『フランスのケンカ野郎』と呼ばれたK-1選手です)。
そんな僕がお送りす・・・・はじまるよーーーーーーーーーーー!!!!!
勇敢なる使者に応えるため、俺は今ミネルバ城に来ていた。
しかし、そこで俺はあることに気付いてしまった。
城に行けと言われていたが、誰に呼ばれたのかは聞いていなかった。
「どうしようー」
途方に暮れている俺を周囲を行きかう人の視線が突き刺さる。俺を見ては何やらひそひそと話しあったり、かと思えば目を逸らせたり。
あはははー。
すごく不愉快だよ。
でも、俺を見てひそひそと話している大半が女性でなお且つ、汚らしい汚物を見るような視線で俺を見てくれるので、実はちょっぴり気持ち良かったりする。
「さて、誰が俺を呼んでいるのかな? そいつを突き留めないとなー」
まあ適当に城の中を歩いてれば、誰かが勝手に見つけてくれるだろう。
そう思い歩きだそうとすると、聞き覚えのある声が俺を呼んだ。
「あ、閣下!」
「おー、ソーニャちゃん! この前はありがとう! 助かったよ!」
「いえ、自分はお礼を言われるようなことは何もしていません」
「はははー! そんなことはないよ。君のお陰で何とか穏便にことが済んだんだよ」
「そう言って頂けると、その、嬉しいです!」
キラキラと輝かんばかりの笑顔を俺に向けてくれるソーニャちゃん。
うむ。
とても可愛らしい。
やはり彼女もウチのメイドさんとして雇おうかな?
リンネちゃんと同じくらいの年だし、良い友達になれるだろう。
まあ、とは思うんだけど、彼女はオーランドが期待するほどの将来有望な騎士だし無理だろうな。
少し、いや、かなり面白い人材なんだけどなー。
残念。
「稽古はもう終わったの?」
「いえ、まだ途中です。ちょっと休憩中でして。それにしても、閣下を城内で見かけるなんて珍しいですね」
まあ、俺って基本的にあんまり自分の屋敷を出ないからねー。
珍しがられても仕方が無いよな。
「お呼び出しを受けて来たんだー」
「呼びだしですか? よろしければどなたか教えて頂ければ、ご案内しましょうか?」
「おー、いいの? って言いたいんだけど、俺も誰に呼ばれたのか知らないんだよ」
そう言うと、ソーニャちゃんは頭上に?マークを浮かばせているのが良く分かる困惑顔を浮かべる。
まあ、そうだよねー。そうなるよねー。
「というか、ソーニャちゃん」
「はい」
聞いてしまってもいいのかどうか少し迷う。
迷うというか、怖いが気になったら止まらないので聞いてみることにした。
「君、俺みたいな変態と話しても平気なの? 何だかすごく毛嫌いされてた記憶があるんだけど」
「以前のことは忘れてください。閣下は確かに変態に違いありませんが、悪い変態ではなく、良い変態さんだったということを、この前の件と、隊長や先輩方の話で分かりましたから!」
随分な言われようだね、俺。
まあ、変態である俺を受け入れてくれてるんだしいいかー。
「あの、もしよかったら、稽古を見ていかれませんか?」
「うーん、そうだね。時間もあるしそれもいいかもね」
この前は急いでいたから、ゆっくり稽古を見ている暇も無かったしね。
今の騎士団のレベルがどの程度か見ておくのも悪くは無いかもね。
「それでは、ご案内させて頂きます!」
「先輩方!」
演習場へ入るなり、ソーニャは大きな声で嬉しそうに言う。
「特別ゲストをお連れしました!」
満面の笑みでそう言うソーニャをその場にいる皆が、温かい表情で見つめている。
やっぱり、君たちもソーニャちゃんが可愛いんだね!
気持ちはすごく分かるよ!
「おー、閣下! この前ぶりですな!」
「あ! 閣下! お久しぶりです!」
「閣下! また稽古付けてください!」
と、色んなところから声を掛けられる。
あー、やっぱり懐かしいなー。
侯爵なんて今すぐ止めて、また戻ってきたいよな。
あの頃は毎日が楽しかった。
「む、ブラッドか。こんな所へ一体どうしたんだ?」
落ち着いた大人の男を連想させるような声が背後から聞こえてきた。
振り返るとそこには屈強な肉体の美男子がいた。
良く鍛えられたその身体には無駄な肉が無く、さながら彫刻のように完成された筋肉を備えていた。
「やあ、オーランド。色々あってねー。少しお邪魔しているよ」
「・・・帰れ」
「・・・死のう」
なんだか最近色んな人に嫌われてばっかり。
「ちょ、隊長! それは酷いですよ!」
ここに天使が降臨した!
人々に嫌われ続ける愚かなるこんな俺を、ソーニャちゃんだけが庇ってくれる。
「ありがとう! 嬉しいよ! それでは感謝のベーゼを・・・」
そう言って熱い口づけをソーニャちゃんに送ろうとすると、何故だかソーニャちゃんは嫌がるでも、喜ぶでもなく、可愛らしいくりっとした瞳を潤ませて言う。
「か、閣下がお望みなら・・・」
あれ、おかしいな。
ここは嫌がられる場面だろ?
そんなソーニャちゃんをからかうのが最高に面白いのに、そんなことされたら困ってしまうよ。
具体的に言うと、鼻血が止まらなくて出血死してしまいそうだよ!
「閣下!? どうされたんですか! 凄く手遅れな気がしないでもない量の鼻血が出てますよ!」
うむ。
君の乙女パワーにやられたのさ。
「おい、ブラッド」
ソーニャちゃんの乙女パワーにノックダウン寸前な俺に、オーランドが再度声を掛ける。
「今すぐ帰れ。お前のためだ」
「それはどういうことだい?」
ソーニャちゃんから貸してもらったタオルで鼻血を拭きながら聞く。
「あの方がお前を探されている」
「・・・・・・っ」
「何をしたのか知らんが、いつも以上にお前のことを嫌っていらっしゃったぞ?」
「俺、帰る」
オーランドは俺の顔を見ると、目を閉じながら一度頷いて「達者でな」と告げた。
ははは、止めてよね。
完全にこれ死亡フラグじゃん。
そんな簡単に俺は死んでなんてやらないよー。
「あら、まさかそこにいらっしゃるのは人の呼び出しを無視しやがった上に、幼くいたいけな少女を奴隷として屋敷に閉じ込め一人悦に浸っていらっしゃるアルトリア侯爵様ではありませんか」
皆、俺が死んだら灰は海に流してくれよな!
読んで頂きありがとうございます!
この作品が貴方のお暇のお供になれれば幸いです!!
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