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誓いのブラッド~すべて閣下の仕業~  作者: いふじ
第0章;フォート王国
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第10話;勇気と蛮勇は違うんだよ?

皆さんこんにちは!

水中に潜むモンスターパニック映画を見ると、水辺に近づくのが怖くなってしまうのは自分だけなんじゃないだろうか?と真剣に悩んでしまうそんな僕です・・・。



始まるよーーーーー!!!!!!

我が家に戻った俺を待っていたのは地獄だった。

 


アーリアット村から我が家へ帰る頃には既に日は傾き、間もなく夜の帳がやって来る。

 

そういえば腹減ったなー、と思いながらも、馬車の中でリンネちゃんの今後の成長した大人版リンネちゃんはさぞかし美しいことだろうと想像していると、絶賛妄想対称であるリンネちゃんが俺に言った。

 

「侯爵様、私だけではなく、妹まで助けて頂き本当に、本当にありがとうございました!」

 

「あははー、気にしないでいいよー! 君たちにはこれからウチの屋敷でメイドとして働いて貰うつもりだから、感謝してくれるなら仕事頑張ってねー」

 

「はい! 精一杯頑張らせて頂きます!」

 

「よろしくね! あ、ところでさ、君たちのご両親は今どこにいるの? ご健在ならご両親もウチに呼んで一緒に働いて貰ってもいいんだよ?」

 

俺は善意でそう言ったのだ。

 

重ねて言おう。

 

善意で言ったと。

 

「・・・あの、その・・・ひっく」

 

「え? え?」

 

「う、うわーーーん!」

 

リンネちゃん大号泣!

 

何故に!?

 

どうしよう!

 

と、助けを求めるようにシズカに視線を移すと、

 

「閣下がいたいけな少女を泣かせて悦に浸る」

 

なんてことを黒いメモ帳に書き込んでいた。

 

え?

 

ちょ、何それ?

 

「よしよし。辛かったね。気の済むまで泣きなさい」

 

包容力全開でリンネちゃんを慰めているソーニャちゃん。

 

その横では、シズカが、

 

「泣いているいたいけな少女に何もせず、泣き顔を見ては悦に浸る閣下」

 

と、メモに追記していらっしゃる!

 

ねえ、それ誰に見せるの!?

 

ティリアくんが俺のこと妙に詳しかったのって、あの暗黒物質のせいなの?

 



 ようやく泣きやんで、落ち着いたリンネちゃんから俺たちは事情を聞くことが出来た。


どうやらリンネちゃんとパルちゃんは、帝国の人間であるらしい。

 

小さな村で両親と暮らしている所に、帝国軍の部隊がやってきて若い男も、年寄りも、男は徴兵されていき、村に残されたのは、女子供のみ。

 

そこに追い打ちを掛けるかのように、盗賊がやって来て残された女子供は捉えられ、先ほどの奴隷商に売られた。

 

その時に、彼女の母は命を落としたのだとか。

 

そして、彼女たちは商品としてフォート王国に連れてこられた。

 

そこから先は俺も知っての通りである。



 

 「侯爵様、このご恩は一生忘れません!」

 

「君もパルちゃんも辛かったね」

 

「・・・はい」

 

 そんな話を繰り広げているうちに、馬車は我が家の前に着いた。

 

馬車を降りるときに、運転手は「またのご用命お待ちしております」と紳士パワーを炸裂させるのだった。

 

ふむ、真剣に彼を我が家の執事として雇おうか検討せねば。

 




 「ただいまー! ティリアくん! パルちゃん! 君たちの愛しい愛しい閣下な俺が今帰ったよ! さあ、誓いの熱い口づけをカモン、ベイビー!」


 「おねーちゃん! おねーちゃん!」


 パルちゃんは姉に抱きつき、


「パル!」

 

リンネちゃんはそんな妹を抱きしめる。


「良かったね、パル」


いつもの厳しくも気持ちの良い視線では無く、優しげな瞳でそんな姉妹の再会を祝福するティリアくん。

 

「本当に良かったねパルちゃん」


 と、母性の象徴たる双丘を弾ませてうんうんと頷くシズカ。

 

「・・・・・・・・」

 

何が何だか分からないが状況的に見て、姉妹の感動の再会なんだ! これは祝福しないとと思っているのか、ソーニャちゃんはシズカにならって無言で頷く。

 

もう皆完全に俺のことはアウトオブ眼中!

 

いや、状況が状況だから別にいいんだけどね。

 

何だか、俺そこはかとなく蚊帳の外だよね。

 

おかしいな。

 

俺、君たちの主だよね?

 

落ち着いたら、俺も仲間に入れてくれるよね?

 

というか、構ってくれるよね?

 

そうだよね?

 

信じるよ!




 「おい閣下」


 一通り落ち着きを取り戻すと、ティリアがいつもの口調で俺を呼んだ。


 「何だいティリアくん!」


 仲間に入れて貰えた喜びは思いのほか嬉しいものだった!


 「パルがお前にって料理を作ってくれたぞ。ありがたく食え」


 「・・・食え」


 最高のご褒美じゃないか!


 パルちゃんが俺に手料理を!


 俺、本当はパルちゃんに嫌われてなんか無かったんだ!


 生きててよかった!


 「よし食べよう! すぐ食べよう! さあティリアくん! 今すぐ持ってきてくれたまえ!」


 「了解した」


 数分後、ティリアが持ってきたのは寸胴鍋一杯に入った人を殺傷する目的で作られたとしか思えないものだった。


 匂いを嗅いだだけであの世から死神が俺を迎えに来た。


 その死神はグラマラスな褐色の肌の女性で俺の好みのタイプだった。


 (今までよく頑張ったわね。でも、もう頑張らなくてもいいの)


 本当?


 (ええ、もうゴールしてもいいのよ)


 わーい! 俺は肉体という楔から解き放たれて本当の自由を手に入れたんだー! もうこの世にはなんの未練も無いよ!


 「・・・お亡くなりに?」


 ちょ、パルちゃん!?


 「惜しい男を無くしたものだ。いつかは私の熱いベーゼを閣下に与えてやろうと思ってたのだが」


 それは本当かい! ティリアくん!


あー、未練あるな俺!

 

こんな所で死ぬわけにはいかない!

 

さらば名も知らぬ美しい死神さん!

 

また会う日まで!

 

「はい、俺復活!」

 

「・・・おお!」

 

「では、心して味わうがいい」

 

心なしか、匂いが先ほどよりも強くなっているように感じるのは俺の気のせいだろうか?

 

これは・・・。

 

(うふふ、お・か・え・り)

 

ただいまー。

 

って! 


あれ・・・俺、また?

 

「・・・お亡くなりに?」

 

「惜しい男を無くしたものだ」

 

まさかの無限ループ!?


読んで頂きありがとうございます!

この作品が貴方のお暇のお供になれれば幸いです!!

ご意見・ご感想などがあれば是非に!!!


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