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誓いのブラッド~すべて閣下の仕業~  作者: いふじ
第0章;フォート王国
10/18

第9話;終わりよければ全てよし

今、非常に困っています。


ベルセルクか逆転裁判。

どっちの映画を観に行こうか迷っています。

どっちにしようかなーーーーーーーーーーーー始まるよ!!!!!!!

奴隷商の男が去った後、俺は村人を一人残らず広間に集めていた。

 

「いやー、なんだか騒がしくしてごめんねー! 皆ケガとかしてないかい?」

 

村人たちは訝しげな視線を俺に向けている。

 

あははー!

 

やっぱりそうなるよね!

 

だって俺あからさまに怪しいもん!

 

「この村の領主って誰?」

 

突然の質問に村人たちは戸惑うばかりだったが、そんな中一人の老人が村人たちの合間を縫うように出てくる。

 

どうやらこの村の村長のようだ。

 

村長さんは何を思ったか俺の前で膝まついて言う。

 

「侯爵閣下。この度は村を窮地から救って頂きありがとうございます」

 

「いやー、俺何にもしてないよ? 彼が勝手に自滅しただけだしねー! あははー」

 

本当に、面白いように自滅してくれた男の姿を思い出して、俺は思わず笑ってしまいそうになる。

 

「それでさ、この村の領主は誰なの?」

 

「ベールセン子爵様ですが・・・何か?」

 

ふーん・・・。

 

あのやせ過ぎな国防大臣様ねー。

 

「皆、今の生活で満足してるの? ちょっと村を回らせてもらったけど、君たちすっごい貧しいよね! さっきの連中だけが原因じゃ無さそうだけど?」

 

俺の言葉に、村長は明らかに怒気を含んだ顔になり、怒りのためか何人もの村人が体を震わせている。

 

あー、図星かー。

 

これは無茶な年貢を納めさせられてるんだろうなー。

 

「今の年貢、厳しい?」

 

「いえ、そのような・・・」

 

「正直に答えてよー」

 

と俺が言うと、幼い声と共に石が俺の顔にぶつけられた。

 

「そんなの当たり前だろ! こっちは今日食う分だってキツイんだ! このままじゃボクの妹だ」

 

「こら! 侯爵様に何てことするんだい!」

 

少年の言葉を母親らしき女性が彼の頬を叩いて止める。

 

その女性の傍には小さな女の子がいた。

 

今の状況が分かっていないようで、無邪気な笑顔を浮かべている。

 

あはー!

 

あの子可愛いなー。


パルちゃんよりも少し年下かな?

 

それに、お母さん美人ですね!

 

その儚げな表情がナイスです!!

 

「も、申し訳ございません、侯爵閣下! この子の罪は私が全て負います! ですからどうかこの子をお許しください!」

 

「あははー、別に罰する気なんて無いから安心してね? ところで村長さん」

 

「は、はい!」

 

「今の彼の言葉は、君たち皆の気持ちの代弁だと思っていいんだよね?」

 

「それは・・・」

 

「ところで君の妹、可愛いねー! こんな可愛い妹と美人なお母さんが苦しんでるのは辛いよね?」

 

と、先ほどの少年に声を掛けると、


「う、うん・・・」


素直な子だね!

  

うんうん! 子供は素直が一番!


「ねえ、村長さん。一年あったら何とか立て直せるかい?」


「はい?」

 

「だからね、一年年貢を納めなくていいから、その間に村を立て直せるかい? あー、厳しいようならもう少し期間を延ばしてもいいんだけどもどうだい?」

 

「な、何を仰られているのか私には、その、理解出来ないのですが。それに、この地はベールセン子爵様のものでして・・・」

 

「あー、そこは気にしなくていいよ! 今回のことで彼には俺に逆らえないからね! 彼からこの地を貰うことにするよ! 今からこの村は俺の領土ね! 俺の領土で俺がどんなことをしようと、誰にも文句は言わせないよー。あ、シズカ。このこと今すぐベールセンに伝えてきてくれるかな? 多分彼、無償で俺にこの地の権利をくれるはずだから!」

 

俺がそう言うと、いつの間にいたのかメイドさんが「畏まりました」と言って出てきた。

 

村の人たちびっくり!

 

ソーニャちゃんもびっくり!

 




 数時間後、シズカが二枚の書類を持って戻って来た。


 「早っ!」


 ソーニャちゃんのリアクションはいつも新鮮で楽しいねー。


 「閣下。こちらを」


 「うん、ありがとねー」


 シズカから受け取った書類に目を通して、村長にそれを見せて言う。


 「はい、これでこの土地は俺の領土です! と言う訳で、この村の年貢は最低一年は取り立てません! 村全体が立ち直るまで皆で頑張ってね! あー、一年経つ前に年貢を払えるようになったらきっちり払ってね?」


 「あの・・・」


 「はい、これがこの村の年貢ね」


 俺は残っていたもう一枚の書類を村長に手渡す。


 書類に目を通した村長は、


「こ、こんなに少なくていいのですか!」


「というより、それが普通だよ? 今までが過剰だっただけだから」


「何とお礼を言えばいいのか」


「ははは、そんなのいらないよー。あー、あとお母さん」


 少年の母親は俺に呼ばれて驚いている。


 お母さん・・・すごく儚げでぐっとくるね!


 良い仕事してるよ!


「後で村にちょっとばかり食料を届けるから、その子たちはもちろん、お母さんもしっかり食べて栄養取ってね?」



 「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!」


 美人の涙は最高だね!


 いや、もちろんサディスティックな気持ちじゃないよ?


 「さて、それじゃあ帰ろうか! シズカ、ソーニャちゃん、それから・・・君名前なんて言うの?」

 

そう言えばパルちゃんのお姉ちゃんの名前を聞いていなかった。

 

「リ、リンネです!」

 

「おー、良い名前だね! それじゃあリンネちゃん帰ろうかー」

 

「はい!」

 

もちろん、村の入り口には例の運転手。

 

何も言わずとも「お待ちしておりました」の一言で俺たちを出迎えてくれる。

 

その完成された執事パフォーマンスに感動した俺は、袖口に三百スピカは忘れない。

 





 その後、アルトリア侯爵の言葉通り、アーリアット村に食料が届けられた。


 しかし、その量はちょっとどころではなく、一月全てを宴に費やすように食べても充分に残るような量だった。


 村人たちは思う。


 心意気は嬉しい。


 でも。


 こんなに大量の食糧をどうやって保管しようかと。


読んで頂きありがとうございます!

この作品が貴方のお暇のお供になれれば幸いです!!

ご意見・ご感想などがあれば是非に!!!


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