桃太郎〜流れ流され流浪の旅〜
昔々あるところに人柄のよい老夫婦がいました。
その日はおじいちゃんは山へ芝刈りにおばあちゃんは川へ洗濯に行きました。
おばあちゃんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れて来ました。
おばあちゃんの警戒心はマックスになり、おばあちゃんの目の前をどんぶらこどんぶらこと大きな桃は下流へと流されて行きました。
おばあちゃんは家に帰るとおじいちゃんにこう言いました。
「あんた、今日は川にこーんな大きな桃が流れてて恐ろしゅうて恐ろしゅうてかなわんかったわあ」
「ばあさんや、お前が無事でなりよりなによりじゃて」
あれから30年、大きな桃は川の河口から海へを流されて、どんどん桃は大きくなるばかりでした。
長い間海流に流されていると海から誰かに持ち上げられるのを感じました。
「やった!ようやっと誰かに拾われたんや」
さて、遡ること数時間前のこと鬼ヶ島の磯で釣りをしていた熊田ひろしが海の向こうに大きな大きな果物が漂ってるのを見つけました。
早速熊田ひろしは長老のところへ行き、そのことを報告しました。
「長老!海にでっかい果物が浮いてるんですけど、どうすればいいですか?」
長老の鬼沢竜也は渋い声で拾ってこいと言いました。
熊田ひろしは仲間を集めて2艘の小船で果物を回収しに行きました。
鬼沢竜也は考えていました。
「なんか聞いたことある話しだけど、何やったっけ?」
熊田ひろし達は長老の鬼沢のところに大きな大きな果物を持って来ました。
「桃じゃねえか!?」
鬼沢は大きな声で言いました。
「食えますかね?」
熊田ひろしが言います。
「いや、思い出したわ!中に赤ん坊が入ってるはずだから傷つけない様に丁寧に割ってくれ!」
「押忍!」
村の若人が包丁やらナタやら持って集まって丁寧に丁寧に大きな桃を割っていきます。
大きな桃の中の空洞にたどり着くともう言葉では表しきれない異臭がします。
「臭え!なんて臭いだ!!」
そして桃を割り終えるとパカリと桃が開き、汚物まみれの青年が現れました!
「やっと出れたぜ〜!長かった〜!」
その青年は大きな声で叫びました。
「おい!なんでも良い!こいつを風呂に入れて綺麗に洗ってやれ!大至急だ!」
鬼沢竜也も鼻をつまんでいます。
熊田ひろし、犬飼しんじ、雉山こうへい、猿田ときをの4人で青年を風呂で数時間清めて洗いました。
【黒鬼滅仏刹ブラックキンブリー】
髪も伸び放題だったので散髪もし鬼ぞりをし、ヒゲも剃り青年は服を着て見違えるようでした。
そして全員で長老の鬼沢竜也のところに戻ると、鬼沢は青年に聞きました。
「おめえ、名前はなんて言うんだい?」
青年は答えました。
「名前はまだ無い」
「やっぱりそうか…。お前は今日から桃太郎だ」
鬼沢は青年に名前を付けました。
青年は何度も何度もつぶやきました。
「桃太郎、桃太郎、桃太郎、俺は!桃太郎だ!」
「せっかくだから名字もやろう、鬼ヶ島桃太郎でどうだい?」
「長老さん、強そうな名前をありがとうございます!」
鬼ヶ島桃太郎は大喜びです。
桃太郎はとても力持ちで、鬼沢が山を開墾して段々畑をこしらえてくれと言えば、斧も持たずに山へ行き大きな木を引っこ抜いて、あっという間に段々畑にしました。
その様を見て熊田は桃太郎にタイマンをはることを申し出ました。
「そんな…。熊田さんには散々世話になっているのに殴り合いなんて出来ませんよ!」
「うるせえ!ごちゃごちゃ言わずにやるぞ!」
熊田は桃太郎の右頬に強烈なパンチを打ち込みました。しかし桃太郎はびくともしません。
桃太郎は仕方なく指で熊田の額にデコピンをしました。
バチン!
熊田は脳震盪で足元から崩れ落ちるように倒れていきました。それを支える桃太郎は目に涙を浮かべていました。
熊田を抱きかかえて長老の鬼沢のところへ運ぶ桃太郎。
熊田を鬼沢の家にそっと置き、桃太郎は鬼沢に謝りました。
「すみません!熊田さんがタイマンをはろうって殴りかかって来たので」
「そうか…。」
熊田が目を覚ましました。
「桃太郎よ、これで今日からお前が【黒鬼滅仏刹ブラックキンブリー】の5代目総長だ!」
「え!?」
長老の鬼沢が特製の特攻服を桃太郎に渡した。
「桃太郎着てみろ」
桃太郎は言われるままに特攻服を着た。
すると村中の若者が特攻服を着て集まり、「総長!総長!桃太郎総長!!」
と声をかけます。
5代目ブラックキンブリー総長、鬼ヶ島桃太郎。
桃太郎はこのことをとても重く受け止めていた。
「長老!俺はこのブラックキンブリーを日本一にします!」
桃太郎の妻の桃子も涙を流して喜んでいます。
「あんた!この子の自慢のお父さんだよ!」
そう言って桃子はふっくらとふくらんだお腹をさすります。
「そうなったら、こうしちゃいられねえ!日本を制覇して統一するぞ!!みんなついてこい!!」
「待て桃太郎!人を殺めちゃあいけねえぜ!」
鬼沢は桃太郎に釘を刺した。
それにうなづいた桃太郎は村の若人200人を連れて村から飛び出して行った!!
桃太郎は僅か1年で日本を制覇した。ブラックキンブリーは20万人の構成員を抱える大組織になっていた。
背中に「日本一」の旗を掲げて凱旋する、桃太郎率いるブラックキンブリーのメンバー当然鬼ヶ島には入りきらない。
桃太郎の帰りを待ちわびていた桃子が駆け寄ってくる。
「あんた立派な桃が生まれたよ!」
桃子はスイカくらいの桃を抱えていた。
桃太郎は腰の刀で綺麗に桃を割った。
「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!はあ…。」
元気な男の子だった。
「この子の名前は鬼ヶ島桃色吐息にしよう!!」
「男の子なのに?」
桃子は覗き込む様に桃太郎を見つめた。
その時である!
空から銀色に輝く巨大な船が舞い降りて来た!
「なんだこれは!?」
全員が驚きで声が出ない。
中からこれも銀色の服を着た数人の男たちと女性が降りてきた。
「桃太郎!あなたのお母さんだよ!」
「桃太郎!お父さんだ!会いたかったぞ!」
「父さんと母さん?」
桃太郎はキョトンとしている。
「なんで今更父さんと母さんが出てくるんだい?」
お母さんが申し訳なさそうに言う。
「生まれたばかりのお前を誤って船から落としてしまって、ずっと探していたのよ」
「桃太郎!お前にはこの銀河系を統一する使命があるのだ!一緒に来てくれないか?」
桃太郎は考え込んだ。
「父さん母さん俺には妻も息子もいるんだよ」
「大丈夫だ、お前の実力なら数年で銀河系統一は出来る!」
「ちょっと待ってくれ、俺は5代目ブラックキンブリーの総長でもあるんだ」
「大丈夫必ずここにお前を帰すから」
桃太郎は深く思案した。
「犬飼しんじ、雉山こうへい、猿田ときをのこの3人を連れてっても良いかい?こいつらは本当に使える仲間なんだ!」
「ええ、構わないわよ」
お母さんはうなづいた。
「熊田よ、留守の間ブラックキンブリーを任せても良いかい?」
「総長!こんな空に浮かぶ船にずっといられたらたまらないんで早く行ってください!」
「わかった。あとはよろしくな!」
こうして鬼ヶ島桃太郎と犬飼しんじ、雉山こうへい、猿田ときをの4人は空飛ぶ銀色の船に乗って空高く飛び去って行った。
この4人を中心とするブラックキンブリーの勢力拡大は目を見張る物があり、僅か3年で桃太郎たちは鬼ヶ島に帰ってきた!五億六千万の空飛ぶ船とともに。
こうして鬼ヶ島を中心とした日本及び地球の文明の発達と加速は止まらず桃太郎を始めとするブラックキンブリーは地球政府の中心として活躍するのであった!
めでたしめでたし




