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『―――女神と御使いの御名のもとに』
裁きの光槍が空から降って来た、と後の時代で語られる事となるヴェール元伯爵領上空を涼し気な顔で飛んでいるのはスピネル王女、スカーレットである。
「あまりやり過ぎるとビオラが悲しむ。見ろ、風光明媚な観光地として有名なヴェール領が穴だらけだ」
「貴方の目は節穴かしらレオ?わたくし、ちゃあんと家財道具一式と共に国外逃亡を図ろうとしたヴェール伯爵御一家しか狙い撃ちしていなくてよ?」
戦場において『金色の悪魔』の異名を持つ我が姉君は恐ろしい、と第3王子レオナールは肩を竦めた。
「後暗い事が無いのであれば、堂々としていれば良いのよ。アレックス兄様、そうでしょう?」
「その通りだスカーレット。『影』によるとあそこの嫡男はビオラの元婚約者に話を合わせてビオラを口汚く罵ったと言う。元婚約者が恐ろしくてその場に合わせていただけだ、と言うのであれば、目を瞑ってやっても良かったものを」
「わたくしが学生時代に留学した時にも周りに合わせるご両親の子供ですもの。致し方ありませんわ」
「何故それを学生時代のウチに教えてくれなかったんだい、スカーレット?」
「仕方ないでしょうルー兄様。あのご両親の尽力が無ければカミラおば様の治療が進まなかったのですもの」
「それもそうだね。その点においては此方も恩義がある」
ルーズベルトは眼下のヴェール元伯爵夫妻が、嫡男のパーシーは即死であるものの夫妻自身は辛うじて生きている事を確認する。
「あの2人は、わたくしの側仕えにしようかと思いますの」
ニッコリ微笑むスカーレットの提案に3王子は身震いする。
この妹/姉は、先日他国の人間―――厳密には罪人相手にスピネル人の体質を後天的に付与する術式を考案した。
後天的に身体に膨大な魔力を蓄積出来る体質となったもの達は食べても満たされない肉体と、世界一般的な美的感覚において醜い肉体へと変貌する事に耐え切れず、―――大半が3ヶ月と持たずに自死している。
スカーレットの側仕えとは、罪人に対する刑罰の実験体となる事を意味している。
おば、カールミルラの治療に対する恩義の大義名分でヴェール元伯爵夫妻は死ぬ事を許されないだろう。
「ルー兄様、アレックス兄様、レオ。いいでしょう?」
既に新しい刑罰方法を歌う様に並べるスカーレットに対して、「…ビオラに気づかれない様にやりなさい」と釘を刺すのであった。
ヘンリー王の子供は
ルーズベルト 42歳
アレックス 40歳
スカーレット 36歳
レオナール 28歳
くらいです




