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なぜ大丈夫だと思ったのですか?  作者: アーク
婚約破棄は計画的に。
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第2王子ロベール・ブレッソンの父、オニキスの国王クロードは愚息のしでかした事態に頭を抱えた。胃がギリギリと痛み、どうしたら被害を最小限に抑えられるのかと思考する。


大国の姫君カールミルラの娘、バイオレット・リベルタに対し公衆の面前かつスピネル国王の名代として来賓していたルーズベルト王太子達も列席している学園の卒業祝いのパーティーと言う祝福の場で婚約破棄を宣言し、『聖女』アリシア・キーズ男爵令嬢と新たに婚約を結ぶと言う愚か極まりない物言いをしたと言う。


スピネルの国民は体内に膨大な魔力を蓄積保存出来る体質上、()()()()()体型の人間が多い。身体が()()()()であればある程、優秀な人材である証明となる。


先代国王夫妻の末姫カールミルラが、他国における「標準体型」であるのは生まれ付きの魔力過剰症が原因である。


魔力過剰症とは、体内に蓄積出来る魔力を常に消費してしまう難病であり、スピネル以外の国では一般的に魔力欠乏症と呼ばれている。


スピネルでの呼び名が異なる理由は、一般的な魔力の総量が100パーセントだとするならば、スピネル国民の魔力の総量は500パーセント。


体内に蓄積されたその膨大な魔力は、他国の人間には『己れの体型管理も出来ない肥満体型』と言うかたちとなる。


カールミルラは常に魔力を消費している状態である為、スピネルでの理想体型になれなかった。


現リベルタ公爵領で発見された魔力消費を微力ながら軽減する魔石の鉱脈を活用した魔力過剰症に対する12年に亘る療養期間を経て寛解し、可愛い娘を授かれる程になったのだ。


その為、リベルタ公爵閣下との婚姻の持参金として現リベルタ公爵領でもあるスピネル北部地域一帯と銀鉱山がオニキスに齎された。


バイオレット嬢がスピネル国民の平均的な体質を持って生まれたと分かった時にはスピネルから誕生祝いとして大規模農園地域も贈られている。


現リベルタ公爵領がある為にオニキスは天然の要塞に護られる事となり、この約30年でオニキスは飛躍的に力を付けた。


今回の愚息の不祥事はすぐにでもスピネルへと伝えられる事だろう。


長子であるスピネル現国王に譲位し、離宮で隠居生活を送っていると言う前国王夫妻も、現スピネル国王夫妻、世界各地に点在するスピネルの王室の人間達は年を大きく開いて生まれ、魔力過剰症に悩まされていた末姫カールミルラと、その娘であるバイオレットを溺愛している。


『スピネルの至宝』と言う2つ名を持つバイオレット嬢が公衆の面前で婚約破棄を宣言された、となれば。


「―――戦争となる」


クロードはリベルタ夫人の持参金とバイオレット嬢の出生祝いの贈り物である現リベルタ公爵領のスピネル国への返還の文書を早々に書き上げると、未だ事態を把握せず目の前で『真実の愛』に酔いしれるロベールとアリシアに目線を投げて呟いた。


「―――儂に出来る事はもうない。後は、当事者であるお前達が解決すべき事だ」

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