表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なぜ大丈夫だと思ったのですか?  作者: アーク
すべて終わった後の後始末
19/22

2

『―――それなら、パスカルと結婚する?』


平民として長らく暮らして来たのに、スピネル王家の人間相手には本来の身分は隠し通せないものだ。


魔術研究が盛んな国で、旧い時代に相手の顔を認識出来なかった国王が魔力により相手を識別する手段をとった事がスピネル人が魔力で相手を判断する事を得意とする切欠であると父上から聞いた事がある。


まだ王子の身分だった頃に、リベルタ夫人と1度だけ交流した事がある。


兄上は、「オレも将来は、リベルタ夫人の様に美しく聡明な女性を妻に迎えたい!!」と良く口にしていた。


それから程なくして王籍離脱し、何処か田舎でゆっくり魔術研究でもしようかと移動している時に襲撃を受けて谷底へと落下し、―――表向きには、私は死んだ、と言う事になっている。


『この谷の底は珍しい薬草が豊富で良く薬草を採取しに来るんだが、人間の子供が落ちているとは驚いたよ』


サフィールで商人をしていると言う夫妻が偶々通りかかり、私を治療してくれた。


私が生きていると分かれば、臣下や貴族達の対立と言う面倒事が確実に発生するし、私を助けてくれた夫妻に迷惑を掛けてしまう。


だから、ある程度動ける様になって直ぐに夫妻のもとを離れ、オニキスの保有する鉱石山に程近い場所にある孤児院に転がり込んだ。


『貴方、お名前は?』


アリシアに聞かれた時、流石に本名を名乗る訳にもいかず、―――兄上の従者であり、私達双子の魔術の師である人物の亡きご子息の名を貰う事にした。


『パ、パスカル…。僕の名前は、パスカルだよ…』


『そう、パスカルね!今日からわたし達が、貴方の家族よ!』


まだ4歳と言う年齢だった幼い頃の思い出。


アリシアは私の初恋だったのかもしれない。


そう思えるくらいには、鮮烈な出会いだった。


だからこそ、落盤事故でアリシアがいのちを落とした時は


『パスカルも後を追うのではないか』


と孤児院の院長が心配するくらいには意気消沈していた。


『聖女様が見つかったって』


『なんでも、孤児院育ちの平民の娘らしい』


『名前は確か―――』


セシリアがアリシアの名を騙って以降、周囲は「落盤事故で死んだのは元伯爵令嬢のセシリア」であると認識したし、アリシアの葬儀を取り仕切った孤児院の院長や孤児院の子供達も、「アリシアは生きて、男爵家の養女となった」と認識した。


『おかしいわ。死んだのはアリシアよ?』


どうしてみんな、アリシアが死んでしまった事を忘れたの?


そう言って嘆くバイオレットに


『―――調べてみよう。何故みんな、アリシアの事を忘れてしまったのか』


と話しかけた事が切欠で、私は今「従僕のパスカル」として此処にいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ