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なぜ大丈夫だと思ったのですか?  作者: アーク
婚約破棄は計画的に。
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Q,バイオレットはアリシアの真実を知っているでしょうか?

王家に連なる公爵令嬢たるもの、如何なる時にも感情を表に出してはならない。


いつでも微笑みを絶やしてはならない。


それでも我慢ならない時には、どうしたら良いと言うのかしら?


わたくしはオニキスで生まれた。


だから、「豚の様」が罵詈雑言の類いである事は知っている。


小さい頃、初めて顔を合わせた頃のロベール様は王城勤めの使用人にそう呼ばれて泣いていたわたくしを守って下さった。


今の様に、御学友とご一緒になってわたくしの陰口を叩く様な事はなさらなかった。


変わったとするならば、―――やはり、キーズ男爵令嬢が編入してからだろう。


「ねえパスカル。こんな天気の悪い日は、あの落盤事故を思い出すわね」


「僕がバイオレット様に仕える切欠となった、あの痛ましい事故の事でしょうか?」


「ええ」


お父様が新しい鉱石山の視察に行くと仰っていらして、わたくしは未来の王子妃としての見識を広めたいと考えていた事もあって、一緒に鉱石山に足を運んだ。


鉱員の為のお弁当を持って来ていたアリシアとパスカルと出会ったのはその時だった。


危険の無い様に配慮されて作られたスペースで、わたくしはふたりと楽しいひと時を過ごしたのだった。


『―――貴女、バイオレットでしょう?』


差別は良くないけれど、区別はするべき。


わたくしは名前を呼んでも良い許可を出していないと、後ろから話しかけてきた相手に忠告しようとしたの。


『―――セシリア??』


わたくしよりすこしだけ年上の、わたくしのお友達を探す為のお茶会でわたくしの髪飾りを奪い取ってお茶会からつまみ出された後、()()ご実家が没落した、元伯爵令嬢。


一族で色んな場所の炭鉱や鉱石山で仕事に従事しているとは聞いていたけれど、まさか再会するとはわたくし、考えていなかったの。


謝罪を申し込まれたから、当然の礼儀として受け入れたのだけれど、…受け入れなくても良かったのかもしれないと直ぐに後悔した。


―――ダイナ石の暴発で、わたくし達は坑道の中に閉じ込められた。


とても足が痛かった。


だけど、目の前で顔が潰れて呼吸も浅いアリシアはもっと辛いだろうから、わたくしは唇をグッと噛み締めた。


『大丈夫ですか!?』


パスカルが魔術でわたくしを助けてくれた。見事な治療魔術でわたくしの足を傷の痕跡すら残さずに治してくれたの。


『アリシア、アリシアも助けてあげて!!』


『顔の上に乗っている岩を無理に砕けば逆に生命の危険があるんだ…。一応、数日分の酸素は簡易結界で確保出来ているけれど…』


『それじゃあ、栄養はわたくしがどうにかするわ!!以前、お母様から魔力を栄養に返還する魔術を教わった事があるわ。土砂崩れに巻き込まれた方々に振舞った事もあるの』


わたくしは、アリシアをどうにかして助けてあげたかった。


―――とても長い12時間の末にわたくし達は救助されたけれど、アリシアは助からなかった。


でも。


『キーズ男爵が聖女を養女として引き取ったそうよ』


おかしい。


聖女であるアリシアは、あの落盤事故でもういないのに。


『はじめまして。アリシア・キーズと申します』


学園に編入してきたキーズ男爵令嬢は、…セシリアだった。


許せない。


アリシアの顔が潰れたのをいい事に、わたくし達が幼く、事故で記憶が混乱しているのだと思われている事をいい事に、セシリアは図々しくもアリシアの名を騙りその座に座ったのだ。


「ねえパスカル。どうしてわたくしが、アリシアの真実を黙っていたのかわかる?」


わたくしが不快や嫌悪を感じる事は、どんな些細な出来事であってもおじい様達が解決してしまう。


だけれど。


当のアリシアが、復讐(こんな事)を望まないとしてもこれだけは絶対に、自分の手で成し遂げないと気が治まらないからだ。


「―――さあ、仕上げをはしましょうか」


たった9日で終結した戦争の、最後の仕上げだ。

A,10年しっかり機会を伺っていました

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