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注意事項2 忘れ物はしないこと

なんかのフラグ

どんどん上昇し続ける、心拍数と裏腹に、僕の行動はやけに落ちついている。


落ちついて、教室を出て、落ちついて人込みを避けて、落ちついて彼女の元へと、落ちついて、距離縮めていく。


立ち入り禁止の壁紙が貼られている、裏門へと続く扉を開けて、先ほどまで、彼女が居た場所をきょろきょろと視線を忙しく、それでも落ちついて彼女を探した。



「あ、あの、こっちですよ?」


と、いきなり後ろから、聞こえた声にびっくりして、飛び上がり、足を挫いた。


「あ!あの~大丈夫ですか?」


彼女は、上から優しい視線を送っている。その視線を凝視できない僕は、思わず視線をそらしてしまう。

しばし、おどおどした時間が続き、彼女は柔らかそうで、真っ白な手を差し伸ばす。


キョトンとした顔つきでいる僕に、彼女はこう問いかけた。


「あ、あの、はい」


少し、照れた顔つきになりながらも、僕は、やっとの思いで、彼女の手を掴んだ。


ぐらつきながらも、体制を整え、あははー、と笑ってみる


「もしかして、ドジ なんですか?」


・・・しばしの沈黙、僕は一番聞かれたくないことを尽く聞かれた。

僕は基本、初めて会う人などに、「きみって、ドジ?」と、聞かれてしまう。こ、これでも、治った方なんだ!!昔は…これはまた、別の話。


おどおど、としている僕は握りっぱなしにしていた、手にようやく気付いた。慌てて、その手を振りほどいた。て言うか、うん、なんだろう、そう、もう、振りほどいたで良いや。


「あ、ごめん「あ、ごめんなさい」」


すこし、遅れて彼女が言った。自分たちの手を見て、双方ともに顔を上げる。


「あ、あの、そういえば…名前、まだ知らないですよね…。」


あ、そういえばそうだった。


「あ、えと、僕は、じゃなくて、僕の名前は「夜崎 紅葉」よさ…え?」


「夜崎 紅葉って言うんでしょ?」


彼女は、知らないはずの僕の名前を知っていた。何故?と顔をしかめる僕に、彼女は優しく、笑いかける。


「軽音、見てました。」


「あ、あそうなの?けど…、メンバー紹介とかしてないよ?」


そうなのだ、メンバー紹介などは、やった記憶がない、というより、胸を張って「やってない」と言える。あと、一之瀬兄弟(妹)はそこそこ、名も、顔も知られているが、(亮さんはヤンキーとして、朔は容量が良いからだと思う。)しかし、自分は目立ったルックスでもなければ、ポテンシャルもない。別に委員会に入っているわけでもなければ、浮いているわけではない、(少し浮いている気もしないことないのだけれど)だが、彼女は僕を知っているようだ。何故?と、問いかける前に彼女は、こういった。


「覚えてないんですか?」


と、一言そういった。戸惑いながらも必死に僕は思い出そうとする。


………あ、僕記憶力ないや。


少しの間が空いて、やっと口から疑問の音色たっぷりの音がでた。


「え?」


彼女は、顔を斜めにして、少しだけ高い位置にある僕の顔を見上げている。


「ううん、なんでもないですよ…」


そういって、彼女は今日の朝みたいに、にっこりとほほ笑んだ。


「さ、時間もあれですし、回りましょっか?」


おう、とうなずくしかない僕。彼女はそれだけを言って、先に行ってしまった。


その姿を見ながら僕はまた、思い出そうと懸命に、記憶を探った。けれど、彼女の記憶は、アノ夢の少女としか重ならない。もうすこし深く考えてみる。


やはり浮かばない。


「おうい、ちょっと待ってくれよ!!」


すっかり取り残されてしまった僕は駆けだす。彼女の歩幅は意外と広く、やけに急げ足だ。


あ、そういえば名前聞いてないや。


やっとのことで、追いつき紅葉は少し息を荒くさせていた。ここは二階の2-3の教室。

執事喫茶だそうだ。彼女はもう席に座っていて、こっちこっち、と手を振っている。

紅葉は、椅子をひき席について、若干こわばった顎を動かした。


「あ、あのさ、名前……まだ聞いてないんだけど…なんていうの?」


「…あ、名乗らせといて…というか、自分は紅葉さんを知っているのに、名乗るの忘れてました。」


彼女は、思い切りの笑顔を僕に向ける。その笑顔はまるで、快晴のの空の下の一輪の花のよう……て、なに気持ちの悪いことを言ってるんだか…。(正確には思っただけだが、そこには突っ込まないでほしい。)


「えーとね。私の名前は藤戸ふじと かおる。みんなからは、ふでぃ~タとかかおりんだとかって呼ばれてる。あ、あと、1年1組、紅葉さんは3組でしょ?」


…はいそうです。かおる…か、どっかで着たような気がするけど…。まぁ、記憶力の無いノウミソに頼ったところで、思い出せはしないので、諦めた。


「…紅葉さん、私たち、別初めましてじゃないんですよ?」


「え?そうなの?…ごめん記憶力が乏しいんだ。覚えてない…。」


「まぁ、そうですよね。中学は別々でしたし…それに…紅葉さんは…」


途中で、薫は口を止めた。


「中学『は』別々ぅ!!!?…ってことは小学校は同じだったってこと?」


薫は、はい、と小さく頷き、先に頼んでいたのであろう、ミルクティーをちびちび飲みだす。はぁ?と顔を歪ませたままの紅葉は必死に、無い記憶を探っていた。


(薫と…学校同じだった?…薫て…おい、考え事だからって…呼び捨ては…どうせしられねぇか…はは)


「紅葉さんもなにか、頼みます?」


「え?いや…うん、コーラ頼む。」


薫は、執事もどきの格好をした店員(コスプレした、生徒なのは言うまでもない。)に「コーラひとつくださぁい」と、語尾を充分に伸ばして頼んだ。

全く、なんなのだろうか…。

わずか10秒程度で、コーラが運ばれてきた。それもそのはず、カウンターらしき向こう側には、ジュースの入ったペットボトルと、氷が。…そりゃどうだよな、学校にあの…なんだ、ドリンクバーでいいのか?があるわけないもんな。はは。


薫と紅葉は、ストローの先をチューチューやりながら、少しの間見つめあった。自分たちの視線が重なってりる事を理化した瞬間、パッとめをそらした。

リア充もどき


・・・け

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