注意事項1 前を向いて歩こう-3
独りごと
僕は…赤面して、教室から抜けた。というか、要れる方がどうかしてると思う。
まぁ、とりあえず、自販にクルピスでも…そう思いながら、僕は廊下を駆けて、階段を滑り降りて、裏口のすぐ横にある自販に120円を投入し、クルピスのボタンを…ポチっと、ガタン、見た目と裏腹にどでかい音をたてて、クルピスが落ちてきた。少し「ほう」と驚きながらも、クルピスを手に取り、「カシュ」と開けた、そのまま、口元に運び…飲もう…とした。
ゴン…少しばかり鈍い音と共に少しばかりの激痛が後頭部を走った。
「抜けだし厳禁!!」
やっぱり…、俺の後頭部を名簿らしきもので叩いてきたのは担任の山本 弘世あ、初めて見る?。まぁ、そりゃそうだよね、HRでないもんねこの人。この学校超エリートばっかなのに不良だとかが居るからね…授業抜けだしとかもう…日常茶飯事、なんで、お前がこんな学校に居る!!?ってやつも結構多い。
まぁ、そんなことは知ったこっちゃない。
「痛いじゃないですか…。」
「今は、授業中だ!抜けだしは親連になるぞ!?」
…親連?そんなことも知ったこっちゃありません。どうでもいいです。
「すみません。ですけど…今は休み時間です。ていうか、今は準備時間ですよ?何したって良いじゃないですか。準備することないんだし。」
ちょっとばかし、痛みのせいで、口調が強くなったかもしれない。だがしかし、僕は間違ったことは言っちゃいない。正論だ。
「おぉ、そうか…ずっと外に居るから気づかなくてな、…悪かった。すまん」
素直が一番だよ、先生。と心の中で多少上から目線で、見てやってから、んじゃ、と僕はクルピスを飲みながら第一音楽室(軽音部部室)に暇だから、練習しに行った。
ガラガラガラ――
勢いよく扉を開けて、銃を構えるふりをする。腰を屈めて、どこぞの蛇さんの真似をしてみる。
すると背後から
「HQ!!」
と叫ばれてびっくりした。誰もいないと思ったのに、恥ずかしいじゃないか。
「おい紅葉、おまえ何やってんだ?」
亮だった。
「んや、ひまだから…ちょっと、ビックボスにでもなろうと…はは。」
「そうか、んじゃ、また会おう!!」
と、言いながら、どこぞの液体のポーズをしてきて走り去って行った。ホント、分からない人だな。まぁいや、ちょうど部室には誰もいないし。久々に誰もいない教室で練習したかったんだよね…。
あ、ギター教室に置きっぱだ。…だるいなーと思いつつもとりに行く。
少し早歩きになっていく自分の歩調にステップを点け加え、軽やかに廊下を、階段を駆け上がる…。
みっけ、とまた音楽室へと駆ける。
だだだだっだ!!、向こう側から走っていく音が聞こえてくる…これは、もしかしてフラグだな、うん。無理止まれない。あーあぶつかる!!!!!!
ガン!!!!
と、物凄い勢いで顔面から衝突した…やわらかいものが唇を掠めたような気もした。…気がした。…うん痛いよ?
「のわぁ!!!「うぶぅ…」」
顔を上げると…朔が居た。
「もー!!ちゃんと前見てよね!!!てか、廊下は走らないでよね!!!!」
と、どこぞの、ツンデレのような口調で人差し指をこっちに差す、本当に、小百合に似てる…。
「あ、あと…いま…唇が…いや…なわけないか」
「え?」
「だ、だから!!いいの!!!」
「……。」
やっぱり掠ったっぽい。まぁ、いいか。気にせん気にせん。
「お前も練習か?」
「悪い?」
「うん、独りで練習したい。だからあっち行ってくれないか…?」
「おっけー、紅葉は独りで練習する方が好きだもんね…バンドなのに。(笑)」
「うん…まぁ一曲練習したら、チョイ歌ってくれ」
そう言って、僕は音楽室で…寝る。ごめん練習とか嘘、いっつも寝てるだけ、この場所が落ちつく、普段騒がしい場所の静けさは何と思い得ない。とはいっても、音だけだしとこ。
じゃーんだとか…―――
***
「う…」
僕は目が覚めた。ここはどこだろう?…見覚えがある、ココは夢のあの場所?何だろう、いつも見てるけど…こういう風になるのは初めてだな…。
何時も聞こえてくる声は聞こえない。…。じゃぁ僕から声を出そう…何故からは解らなかったけど、そう思った。
「なぁ…何処に居るんだ?何時も僕を呼んでいる君は今どこに居る?…なぁ」
と、言ったつもりだった。声が出ていないようだ…狭くて小さい廊下のような…この長い部屋。口だけは動いていたが、声は反響しない、自分の声さえ、聞こえない。
もう少し踏ん張って声を張り上げた
「なぁ!!!何処に居るんだ!!!!」
―――私を見つけて―――私をここから出して―――
あの声だ…はっきり聞こえる、今まで以上に。
もう気づいた時には僕は走り出している。全力で…
「うあ!!」
転んだ。だけどそんなことを気にしている暇はない…早く、早く見つけなきゃ!!
もっと、知らず知らずに虚空を仰ぐ自分の腕。いつの間にか熱く涙でぬれていた頬。気にしない。
すると僕の目に映ったのは、あの少女だった。
夢で叫ぶ