注意事項3 小さなこともコツコツと2
…ん。なんでだろうか凄く目の前が明るい。異様に明るい。
目覚ましで設定した時間とは程遠いほど明るい。
けど、目覚ましはなっていない。
まだ、寝ぼけてるな。そうだ。これは夢なんだ。そうだそうだ。きっと寝ぼけてるんだ。朝なのに昼のような明るさなんて現実にないんだ。
実際にお昼になってるって言うことなんか無いんだ。―――目覚ましなってないもん。
そう言い聞かせてるつもりだった。けど、僕の体からはあふれんばかりの嫌な温度の汗がにじみ出ていた。
意を決して、目を開ける。
――――ゆめじゃねぇ。
心拍数が上がる、まだ上昇。
午後12時。
遅刻決定。今月皆勤賞無し。(別に大事じゃないけど。)先生からのお咎め。(機嫌が悪ければ親連の場合あり。)
あぁ、いや過ぎる。
何でこんなときに限って寝坊なんだ。
仕方ないから、今日は学校をサボることにしよう。
僕は、目覚まし時計の横にある、ケータイを手に取り学校への連絡を入れることにした。
(0×0×××9‐‐っと)
ぷるるー、掛かった。がちゃん。
「はい、もしもしA高校ですが、どちらさまでしょうか?」
「あ、一年三組の夜崎ですが、今日は体調を崩してしまって、お休みしたいんですけど。」
「あ、はい、解りました。……担任に『寝坊してサボりたい』、と伝えておきますね?」
この口調、…このツン!とした声音。冗談か冗談じゃないのか、はたまた、もとから冗談など出来ないのか…と、考えさせるほど、冗談が通用しない。そして、みっちりとした授業をした。とおもいきや休み時間は驚くほど優しい。………確かこの人の名前は……一年一組担任、兼国語科。「つんでれ(?)の山家!」
―――ついつい、声に出してしまった。死のう。
「ツンデレの山家?なんですかそれ、というか、先生を呼び捨てしてはいけませんよ?高校生にもなって、そんなことも解らないんですか?先生怒りますよ?良いんですか?」
「うぇ…?う?」
「もう、夜崎くん。先生にばらしちゃいますからね。」
「うぶ?…うぅ、う。」
「あ、あれ?夜崎くん?どう…したんですか?………もしかして、なちゃったり?しちゃってるんですか?…え、え、先生困りますよ電話で泣かれたりしたら……。」
(……話し進めんなかってによぉ…メンドクサイなぁ。)
~紅葉。メンドクサイモードに突入。感覚器官、および五感の感度を25%に下げます。~
鈍感。自発的に鈍感。(もともと鈍感、てか鈍感ってあってるのか?この表現。)
……感覚の遮断でいいか。
「わかりました?わかりましたね?返事はないんですか?夜崎くん?」
先生の話が終わりを迎えようとしているころ、紅葉はケータイを放り出していた。
放り出したケータイから先生の必死に語りかける声が聞こえる。だがしかし。ガン無視。
「夜崎くん?返事…して下さいよ。……先生アホみたいじゃないですか。」
(アホだろ…馬鹿だろ。天然だろ。ツンデレだろ。今日だけで余計な部分まで知った気がする。)
『山家 陽菜のステータス。』
要するについていけないほどの馬鹿。
「――――夜崎くーん?………うぅ。」
「!?」
流石に泣き始めるとは思っていなかったので、驚愕する紅葉。あたふたしてケータイを掴む。
「う、うわ、先生済みません…長かったものでつい…。」
「そう…ですね。」―――長いですね。
なんか、後付けされた言葉には、こもっちゃいけない感情があった。…怖い。
「ふふ…じゃぁ、担任の先生にはちゃんと伝えておきますので……はい。体調に置きお付け下さい…ね。ふふ。」
「は、はい!」
怖すぎて、声が裏返った。―――この人やばいかも…。
「じゃぁ、きりますねー。さようなら…。」
はぁ……無駄な時間を浪費した。余計なストレスも…募った。的な声音で。
……社会は多分理不尽なんであろうと再確認した。
(このあと、どうしようか。仮病で休めることになったし。ってか小百合とお母さんなんで俺を起こさなかった?)
いまさらな紅葉は掛け布団にはいりこみながら思っていた。
ま、いっか。寝よう。たどり着いた答え。二度寝。
『着信アリ 25通』
多分これに気づいてれば。紅葉は助かった。
トラブルな。