表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

注意事項3 小さなこともコツコツと

第二章?


 あれから、三日。特に何も変わってない。

 けど、彼は私を思い出したのだろうか。

 一度気を失ってから、「カレ」が「カレ」じゃなくなったような気がする。

 昔のあの時の、「カレ」みたいだった。もしかしたら、思い出せていないのかもしれない。けど傷つけたくないがために、嘘をついているのだと思う。女の勘だ。

 けど、今はまだいい。このままで、ゆっくり「ワタシ」を思い出してくれればそれでいい。

 だけど、完全に不安感が消えるわけじゃない。いくらそれで良いと言い聞かせたって、我慢できないときが何時か来る。

 どうか思い出して下さい。「私」を「ワタシ」を。

 私を助けてください。


 止まってしまったあの時の時間を、歯車を「アナタ」がまた回して下さい。


 思い出して下さい。あの時、青の場所で誓った「約束」を

 私の体温を、声を、形を。


 「過去」に縛られてしまった私を、消えない罪悪感を、止まることを知らない、この欲求を、「アナタ」がすべて動かして下さい。もう一度。


 繋がらない思いの言葉。つぎはぎ。縫いあえるように、幅を合わせてみても、どちらかを切り過ぎて、合わない。


 たどり着けない。



***



 今日はいい天気だ。


 別にそんなわけではないのかもしれないが。


 日が昇るのより早く起きた僕は、カーテンを全開にして外を眺めていた。ちらと時計を見ると、まだ4時だった。

(日の出とやらを拝んでやろうじゃないか)

 寒いことは解ってたけど、僕は窓を開けることにした。

 すー、と寒々しい風が入る。部屋に、口に肺に、その冷たい侵入に身震いをした。

 喉元が渇いていく、湿度のない乾ききった空気。喉になにか突っかかったように僕はせき込んだ。

 「げほ…げおほ!…………あぁ、寒。」

 

 外をじっと見ているうちにだんだん、空が明るくなっていくのがわかった。

 淀んだ、藍色をした、空が少しばかりの橙色の絵の具で汚されたみたいに。

 やがて色は交わっていき、藍色が、紫色に、やがて、その色の配分は橙色が勝っていき、果たして、橙色は、明るい黄色を含んでいった。

 ぼくの記憶があったのはここまで。


 …済みません寝ちゃいました。


 午前8時。

 紅葉の部屋は、目覚まし時計の耳障りな音で満ちていた。


―――ジリリリリリリリリ――――――

お寝坊さんな主人公君

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ