注意事項3 小さなこともコツコツと
特に無し
夢を見てた気がするんだ。ずっと長い間。とても長い間。
まだ、数えられるほどの時間しか経ってないんだろうけど。
その、夢は確か、「ボク」が居て、「アナタ」が居て。
それ以外に思いだせるのは、イスと真っ暗な部屋だけだった。
とても暗い部屋の中で、僕はなんども何度も、叫んだ「僕が君を***、僕が君を***」
ボクガキミヲ………。
その間に言葉が成立したのは一度きり。
「僕が…僕が助ける、だから、…泣かないで」
「本当?」
これだけだった。これだけだった。
僕はこんなことを思っていた。
こんな記憶どこからやってきたのだろう。どこか懐かしさも感じるこの記憶はなんだろう。
「アナタ」は誰なんだろう。
「アナタ」の名はなんだろう。
知ってるはず。僕は遠い何処かで「アナタ」を知っている。
そして、僕は「アナタ」と一緒に時間を共有して、体温を感じていた。
まだ、幼くて、まだ、物事もよく理解できていない程。
この、記憶はなんだろう。
僕は、目を閉じた。開いた。閉じた。瞬きを幾度か繰り返して、考えることを止めた。
***
文化祭が終わってから、数日。今日は木曜日だった。数日、といっても、月曜、火曜、水曜、と三日しかたっていないのだけれど。
あれから、僕はあの少女のことをまだ思い出せずにいた。
振り替え休日が終わってからの三日間、あの少女とは何度か会ったけど、軽く会釈する程度で、特に何もなかった。
こびりついて離れない。どうしてこの記憶だけごっそりないのか。
何故か分からない罪悪感に押された。
木曜日だった。
もう、今日も終わる。
時計はもう、12を刺そうとしている。
僕は目を閉じた。