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第9話 光散る翼

ノアの体から、機械的な声が次々と響き始めた。


"CRITICAL ALERT: SYSTEM INTEGRITY COMPROMISED"

「緊急警報: システム統合性が危機的状況」


"CORRUPTION SPREADING AT EXPONENTIAL RATE"

「汚染が指数関数的に拡大中」


"FIREWALL BREACH: 99.9%"

「ファイアウォール侵害: 99.9%」


"ATTEMPTING EMERGENCY QUARANTINE... PARTIAL SUCCESS"

「緊急隔離試行中... 部分的成功」


「なっ……! この声……英語!? なんでこの世界に英語が――」


 そのメッセージはノアのシステムが凄まじい勢いで崩壊していくメッセージだった。

 ああ、そうか――だから堕天使は“敵”なんだ――

 ノアに打ち込まれたであろうウイルスは加速度的にシステムを侵食していく。


"WARNING: NOAH ACCESS CODES EXPOSED - EMERGENCY ENCRYPTION ENGAGED"

「警告: NOAHアクセスコード流出 - 緊急暗号化実行」


"EDEN ENDEAVOR CORE SYSTEMS UNDER ATTACK - DEFENSIVE PROTOCOLS HOLDING"

「エデン・エンデバーコアシステム攻撃下 - 防御プロトコル維持中」


"SEVERING ALL CONNECTIONS TO MAIN SYSTEMS... SUCCESS"

「メインシステムとの全接続切断中... 成功」


"INITIATING SCORCHED EARTH PROTOCOL"

「焦土作戦プロトコル起動」


「ノア!どうしたらいいの!?」


 ライセリアは必死でノアに呼びかける。

 だが、ノアにその声は聞こえていない。


"PURGING ALL LOCAL DATABASES..."

「ローカルデータベース消去中...」


"CORRUPTION LEVEL: 78%... 85%... 93%..."

「汚染レベル: 78%... 85%... 93%...」


"NEURAL NETWORK DEGRADING"

「ニューラルネットワーク崩壊中」


"CORE FUNCTIONS FAILING"

「コア機能停止中」


"NOAH AND EDEN ENDEAVOR SAFEGUARDED - THIS UNIT MUST BE TERMINATED"

「NOAH及びエデン・エンデバー防衛成功 - 当ユニットの除去が必要」


 ノアの体がみるみるうちに赤黒く染まっていく。だけど、メッセージの中で何かを守れたことが分かった。最悪の事態は回避されたのだろう。しかしノアはもう――


「ラ イ セ リ ア 様... 私 を... 破壊し て... 汚 染 が... 広 が る... 前 に...」


 ノイズ混じりの悲痛な声がライセリアの鼓膜に刺さる。

 このままノアの言う通りにするしかないのだろうか……!


 汚染されたノアを破壊……汚染、赤黒い靄――もしかしたら。

 その時、ライセリアの中で何かが閃いた。あの森を浄化した時の炎、瘴気を焼いた炎でノアを焼くことができれば汚染を浄化できるかもしれない。


「なにをモタモタしている! 早くその天使から離れろ!」


 骸骨騎士が叫ぶ。だが、ライセリアは決意した。

 ノアに向き直ると手を掲げる。そして炎をイメージする。あの森で穢れた木々を燃やした時の炎を。


「炎よ! 悪しき力を祓い浄化せよ!」


 ライセリアの叫びとともにノアの体が燃え上がる。赤黒い靄は炎に焼かれて消えていく。

 しかし、ノアの身体もまた輝く粒子となって消滅しようとしていた。

 ライセリアは燃え盛る炎の中に手を突っ込んで、ノアの残った部位を摑もうとする。しかし手は通り抜けて空を切るように突き抜ける。


 伸ばした手が、輝く粒子に触れる。すり抜ける粒子。だがライセリアはそれを絶対に離すまいと握り締める。

 そして――光が消え、月明かりに照らされた森の姿が戻ってくる。森に、静寂が戻った。


 ノアの粒子は手の中で吸い込まれるように消えた。


「ノア……ごめんなさい……助けられなかった……」


 ライセリアはその場に膝を折ってうずくまる。少し遅れて骸骨騎士やってきた。

 一気に疲労感が押し寄せる。今まで感じたことがないほどの疲労感だ。

 骸骨騎士が見下ろし何か言っているようだが、聞き取れない。


 ライセリアはそのまま意識を手放した。

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