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第7話 堕天使との遭遇

「素晴らしいですライセリア様……私の想像以上でございます。一般的な浄化魔法は穢れを祓う光としてイメージされるのですが、ライセリア様の魔法は穢れを焼き尽くす炎をイメージしての浄化。この森を浄化した圧倒的な魔力量もさることながら、その魔法は穢れを焼き尽くす浄化に留まらず再生を生み出すなど、まさに神の御業です!」


 いつも淡々と喋るノアも言葉に熱がはいっているように感じる。ライセリアは自分の右手を見つめる。炎のイメージを顕現させたのはなんとなくだ。

 ただ、イメージした炎で森を燃やしてしまわないか不安ではあったが、灰の中から新芽が飛び出してきた。

 ライセリアは内心驚いていた。ノアの言う通り、自分がイメージした浄化の魔法は単なる穢れを焼き尽くす炎ではなく再生の炎だったということになる。


「それにあなたは無意識だったのでしょうが、浄化魔法を使う時の仕草……」

「私の仕草?」

「右手を掲げ、左手を胸に当てるあの仕草です。あれは、現在人々が信仰する女神ライセリアの像に見られる仕草なのです」

「私、無意識であのポーズを取ってたけどそんな意味があったんだ……」

「各地の教会に祀られている女神ライセリアの像は、みなそのポーズをしています。人々はそれを“浄化の印”と呼んで、祈りを捧げる時に真似をすることもあります」


 精神は別人でも、身体がその聖女だから肉体に宿った記憶がそのポーズをとらせてた――というのであろうか。


「ねえノア、もし私がここにいなかったらこの森は……」

「あまりよろしくないことになっていた可能性が高い、かと。それにしても――」


 ノアは何か解せないと言ったような仕草でカメラアイのピントをキュルキュルと合わせている。


「瘴気の残滓はどちらかというとマナ濃度が高い場所に発生する傾向にあるので、人里離れた辺境の地に発生するのは極めて稀です。植物よりは動物、動物よりは人間や魔物のほうが高いマナを保有しているので――」

「ん、んん――?」


 ノアの言葉になんとも言い難い違和感があった。

 マナって生命力とか魔力の源というもののはず。そういうのは人間が住んでいる場所より自然が多い場所のほうが豊富のようなイメージがある。


「ん……? ではどうしてこの森に発生したの?」

「断定はできませんが、もしかしたら――」


 その時だった。ドーンと森を揺るがす震動、木々に身を潜めていた鳥たちが一斉に飛び立つ。


「今の音は――爆発? しかもかなり近くだ……!」

「熱源反応が二つ……一つは生体反応、いやこれは……ふむ。もう一つのこれは――熱源データ一致。ライセリア様、私の嫌な予感が当たりました」

「えっえっ!?」

「何者かが“アレ”と戦闘中です」

「アレって何なの!?」

「私たちの“敵”です。この森を穢した汚染源、千年前ライセリア様が鎮めた瘴気によって狂った我らが同族――堕天使です」


 魔物ですら基本的に敵ではないと認識していたノアが明確に「敵」と告げた存在――堕天使。

 森の奥からは爆発音や金属が擦れる音が響き渡る。


「ライセリア様、何が何でもアレを――堕天使を倒さねばなりません。行きましょう」

「いや、行こうって……マジで? いやいやいやいや」


 ライセリアは思わず尻込みする。

 戦闘音からしてどう考えても危険な気配しかない。

 ついさっき浄化の魔法を使えるようになったばかりのライセリアがあんな爆発音を鳴らすようなものを相手しろだなんて無茶だ。


「目覚めたばかりのあなたに無茶を強いているのは承知です。しかしアレを止めなければこの森どころか、人里まで危険に晒しかねません」

「それはそうかもしれないけど……」


 ライセリアはチラリと背後を振り返った。そこには穢れを浄化して生まれた森の若木がすくすくと成長している。

 せっかく綺麗になった森がまた穢れに染まってしまうのは――ダメだ。


「わかった……行こう」

「ありがとうございます。ライセリア様」


 ライセリアは覚悟を決め、ノアと一緒に森の奥へ向かう。するとほどなくして爆発音や金属音が鳴り響く現場に辿り着いた。


 戦場に辿り着いたライセリアは思わず息を呑む。そこには――全身に黒い甲冑を身につけた騎士が、ノアが堕天使と呼ぶ奇妙な機械と戦っていた。

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