3.痛み
「なあ俺言ったよな!俺の物は俺が使うから動かすなて!聞いているのか?なあおい!おい!」
身体から痛み走る。(今蹴られている)、(今踏まれている)と最初は冷静だった。だけど時間が経てば経つほどに身体全体から痛みが走り、恐怖に変わっていく。
今は何処が痛いのかも分からない。分からないなか早く終わってほしい...とただ願うだけだ。
暴力の痛みが止んだ。私を薄めを開けてりょーくんを見る。息を切らせさながら、りょーくんは私を見下ろしている。
「おい!言ったよな、これはここに置く。これはここに置かない。分かった?分かったか?」
狂った人形のように何度も繰り返している。
「.....」
「聞いてる?まったくこれだから女は。パパ活やら、」
身体を丸めてりょーくんが去っていく足音を安堵の気持ちで聞いている。
やっと終わった。とは正反対に早く死ねばいいのに。と思ってしまう。
久しぶりにりょーくんを殺したいと思った。
あの顔をナイフを刺したい、
だけどこの気持ちは長く続かない。りょーくんを殺したら私の居場所が無くなる。
それ以前に警察に捕まってどうなる?
逮捕されて釈放されて私はどうなる?
依存を求める私に誰か手を差し伸べてくれる人はいるだろうか?賞味期限切れの女を口説く男はいるだろうか?
居るはずがない
吐きそうになるほどの現実を突きつけられながら、私はりょーくんが暴れた痕跡を少しずつ修復していく。
「りょーくんは暴れてない。りょーくんは暴力を振るっていない、りょーくんはいつも優しい。私を...私一人を愛してくれる、」
私を満たしてくれる、暗示のような言葉。
何度も呟き続け『私は愛されてる』のだと実感する。
味のしなくなったガムを噛んでいるような気分
私はいつも通りりょーくんを送り出し家事を始める。
いつも通りに終わり、いつものように本を開く。
踏みつけられた右手が痛みページを捲るのに手が止まる。
青く腫れ上がった指を見ながら「まあいいか」と呟いた。
今回はとても面白かった。
感想は余りにも適当ではあるが、凄く面白かった。
多重人格の少女は、成長して大人になり女性となっていゆく。
その道程には、いくつもの不幸が転がっている。
小学5年生に強姦、中学1年生に虐待、中学3年生に暴力と乱交に巻き込まれて多重人格を発症。
友達はいたが親友はいない。結婚の約束をしてくれる人はいたが別れている。
多重人格のせいで、不幸で不運で孤独な人生を歩んでいるいるのに、とても幸せそうに生きている。
物語も終盤を迎えて、ページ数もあと少し....
「明日読もう」とため息を付いて本を閉じて表紙を撫でる。
主人公は「私にはパートナーがいるから大丈夫」と言っていた。多重人格の事を指しているのだろう。
羨ましい、一人じゃなくて