表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/183

#3‐06 五国同盟①

「モゴ...  新婚旅行 ドヴェルグ国 ハ ドウダ? モゴ」

怪しげな者たちに囲まれた密室で、3メートルを超える大男が奇妙なアクセントで言った。


「エール樽みたいに太ったヤツらには興味はないのだが、一度も行ったことはないし、いいか!」

ツノを生やした青い髪と緑色の目の女が男のひざの上でうなづく。


「行かねばならんでしょうね...」

女をひざに乗せたブロンドのイケメンがしかたなさそうに同意した。



  …… ◇ …… ◇ ……◇ ……   



 西ディアローム帝国で行われたアレクとの結婚式の二ヵ月後。

ラーシャアグロス王国でモモコ大王とルーク王の盛大な結婚式が行われた。


 大聖堂での式が終わり、閻羅宮(えんらぐう)で開かれた大祝宴の時、型通りの主賓スピーチのあとでルークはモモコ大王、ドリアン皇帝の三人は、別室で三頭会議を開いていた。


 参加者は、西ディアローム帝国からは、ドリアン皇帝とジャバリュー大統領、ガナパティ厩役伯爵、ボンガゥル公爵。ラーシャアグロス王国からはモモコ大王とタイザン大公、エンマ大公、ビョウドウ大公の4人。そしてルークドゥル勇者王国はルーク、ギャストン軍務大臣、スティルヴィッシュ外務大臣、アマンダの4人だ。


「ドヴェルグ国へ?」

ルークがドリアン皇帝に訊く。


「ルーク王。王もご存じの通り、ドヴェルグ国は北における我々の強力な同盟国です。長らく東ディアローム帝国とレウエンシア大公国の脅威にさらされて来ましたが、ルーク王のおかげで東ディアローム帝国は軍をグランウォルド地方およびルークドゥル国との国境に急遽、軍を送ることになり、ドヴェルグ国への圧力が下がったため、ドヴェルグ国は現在、東ディアローム帝国の軍事支援を無くしたレウエンシア軍を破り、首都ゴンドエーガ目指して進撃中です」

ジャバリュー大統領が皇帝に代わってルークに説明する。


「はい。それはすでに聞いています」

「ですが、西ディアローム帝国とラーシャアグロス王国、それにルークドゥル勇者王国とドヴェルグ国は、緊密な同盟関係にありながら、未だ正式に同盟を締結していないのです」

「あ、なるほど。そう言えばそうですね。私とアレクが結婚したことで、西ディアローム帝国とは名目上は同盟関係になりましたし、今度もモモコ大王と...」

「モモコだけでいいぞ?もう、私はオマエの妻だからな!」

「いやいや、そうはいきません。おたがい一国の主なのですから...」

モモコ大王は、そんなルークの言葉には構わずに椅子から立ち上がると、ピョコンとルークのひざの上に座った?


「モ...モモコ...」

「そう。それでいいのだ!」

「つ、つまり、私が言いたかったのは、アレクを妻にし、モモコを妻にしたことで、西ディアローム帝国とラーシャアグロス王国とは当然同盟関係になったと言うことを内外に証明したと思っていたのですが、確かに文書では締結されていませんね」

「だから、同盟締結を口実にルーク殿にドヴェルグ国を訪問してもらい、三国同盟を名実ともに世に知らしめる...と言うことですな?」

「察しがいいですね、スティルヴィッシュ伯爵?」

「いえ、それは誰にでもわかることでしょう、タイザン大公?」

タイザン大公は、モモコ大王の家系の鬼人国十王の一人であり、鬼人国の厩役を務めている有力貴族だ。


その時、アマンダが口を開いた。

「三国同盟を正式にするのなら、ボードニアン王国も加えるべきですわ!」

「なるほど! 五国同盟と言うわけか?」

アマンダが優秀な参謀であるとルークから聴かされていたモモコ大王がルークの膝の上で大きく頷く。

「ボードニアン王国を?」

ガナパティ伯爵がなぜ?と言った顔をする。

ボードニアン王国のオルガス王は、ルーク王と協定を結び、ブレストピア国とマビハミアン国の領土の一部を割譲するという()()のために同盟を組んだ、まだ信用のおけない国だと考えているのがわかる。


しかし、ジャバリュー大統領は即座に同意した。

「たしかに、オルガス王は同盟に入れるべきですね。リエル王女はルーク王の王妃となっていますしね」

「モゴ... オルガス 同盟 イレル」

「そうだ。オルガス王はルークを信用しているから、裏切ることはない!」

モモコ大王がひざの上でウンウンと体を揺すって賛成する。


ルークを座り心地のいい椅子くらいに思っているのだろうが... ルークにとっては有難迷惑だ?

しかし、ドリアン皇帝とモモコ大王が賛成したことで、ボードニアン王国を含めた五国同盟が結ばれることになった。


「オルガス王もシラ・エレン王妃も、祝宴にいますよ」

「おう、そうでしたね。では、早速、呼んで来て話しますか?」

「タイザン大公、呼んできてくれるか?」

「ただいま。少しお待ちください、大王」


タイザン大公が、祝宴が開かれている大ホールにもどり、10分ほどして秘密会議が開かれている部屋にもどって来た。理由を聞かされずに連れて来られたようだが、部屋の中にいる面々を見て、すぐに何か重要な話し合いだとわかったようで、酒に酔って上機嫌だったオルガス王の顔が引き締まる。

オルガス王の後にはシラ・エレン王妃とイシギル王子がいた。結婚式なので、厩役などは連れて来てないのだ。なので、王妃と王子を秘密会議に参加させるつもりなのだろう。


「まあ、そこに立ってないで入って座ってください、お義父(とう)様、お義母(かあ)様、それにイシギル王子!」

「お、おう!」


部屋の雰囲気に気押しされたように返事をしてオルガス王が入り、王妃と王子が続く。

三人が入ると、タイザン大公がドアを閉めた。


「みなさん、こんなところにお集まりになって、何のお話ですの? まさか、ルーク王の新しい嫁にエリリゼッテをと言うのではないでしょうね?」

シラ・エレン王妃が、その場の緊張した空気を和らげようと冗談を言う。

「な、何をバカなことを言っておるのだ、シラ? エリリゼッテはまだ12歳だぞ?!」

「いえいえ、お義母(かあ)様の冗談ですよ。しかし、エリリゼッテもお義母(かあ)様似で美しいから、あと2、3年もすればさらに美しくなるでしょうね。その時になったら...」

「こら、ルーク!私との新婚旅行の話しの最中に、もう次の嫁の話か?」

「あら、ベンケー・シュテン大王さまとルーク王の新婚旅行に、私たちもいっしょに連れて行くと言うお話しなのですか?」

「それも悪くはないですね。オルガス王とシラ・エレン王妃には、最初に私と同盟を結んでいただいたというお礼もありますし」


ルークはオルガス王とシラ・エレン王妃を、お義父(とう)様、お義母(かあ)様と呼ばずに、彼の計画に最初に協力をした王ならび王妃として敬意を示したのだ。


「我々は、ボードニアン王国を、西ディアローム帝国、ラーシャアグロス王国、ドヴェルグ王国、それにルークドゥル勇者王国を含めた五国同盟に入ってもらうべく、相談をしていたのですよ」

ジャバリュー大統領が秘密会議の内容を説明する。

「五国同盟?!」

「あら、ステキそうな同盟ですわね?」

「僕はどっちでもいいよ」

「モゴ... ボードニアン王国 同盟 ハイル!」

「そうだ。ボードニアン王国にも加わってもらう!」

「同盟に加わっていただけますか、お義父(とう)様、お義母(かあ)様?」

ドリアン皇帝が承認し、モモコ大王が要請し、ルークがお願いする。


「うーむ。婿殿のたっての頼みとあれば断るわけにもいかんな!」

「新婚旅行に連れて行ってくださるという条件付きならいいですわ!」

「僕はどっちでもいいよ!」

三人三様の答えだった。



 シラ・エレン王妃は冗談半分で言ったのだが... 


まさか、それが本当になるとは想像もしてなかった。

ドヴェルグ王国までは、ルークドゥル勇者王国からだと優に1万キロは超えるのだ。

ボードニアン王国からだと、船でミタン王国の南を回り、ラーシャアグロス王国の沿岸を北上してガジーマに到着し、それから陸路で西ディアローム帝国を通過し、ドヴェルグ王国へ到着するわけだが…


最低でも5、6ヶ月はかかる長旅となる。

一国の王が、国をそれほど空けて長旅をすることなど想像もできないのだ。

ましてや、まだ責任感の足りないイシギル王子と宰相だけに任せておくわけにはいかない...



挿絵(By みてみん)



 五国同盟協定書に署名をしたあとで、その問題についてふれたオルガス王。


「いや、案ずるにはおよびません、お義父(とう)様、お義母(かあ)様。我々には遠くへ須臾にして行ける魔法を使って行きますので」

ルークがそう答えるとオルガス王はポカンと口を開け、シラ・エレン王妃は目を大きく開けた。

イシギル王子は興味を示さずに、フィフィやミカエラ、ジョスリーヌたちを見ていた。

おいおい、イシギル、人の妻をそんなにジロジロと見るな!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ