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#3‐04 日就月将④

「下にね、スパッツっていうのを履くとだいじょうぶよ。ほら、リリスさんもドレスの下につけているでしょ?」


リリスはドレスが好きでいつもドレス姿なのだが、下にはしっかりとスパッツを付けていた。


「まあ、今日は女性だけだから良かったけど」

「もし...」

「そうね。ルークさまがいたら...」

「今ごろ、神教官さまは、ルークさまにさらわれて森の中でお熱いデートになっていたかもね?」


森の中でのお熱いデートを想像して真っ赤になる、意外とウブな神教官だった?!



 しかし―


アマンダたちは、飛行魔術はアイフィの底知れない魔法能力の氷山の一角だったということを知ることになった。


「飛んで回っているだけじゃなくて、何か、こう、カミナリみたいなスゴイ魔法使えないの?」

ジョスリーヌの()()に答える形で、アイフィが空を睨んで― 青い目の美女が空を睨むのだから、それも結構サマになるのだが― ちょっとすると、青い空に急に黒い雲が湧いて来て... 


ピカ!

ガラガラガラ... ドカ―――ン!


とカミナリが落ちたのだ!



意外と気の小さいアレクなどは飛び上がってジョスリーヌに抱きつき、その重さを支えれずに二人して転がってしまったのだが。

ジョスリーヌは水属性魔法、アンジェリーヌは火属性魔法、そしてミカエラは風属性魔法が得意なので、アイフィには今のところ誰も使ってないカミナリ魔法をとジョスリーヌは考えて提案したのだ。


「カミナリ一つじゃダメよ!一度に10とか100とか落とさないと!アレク、どきなさいよ!」

体の大きいアレクを押しのけながらジョスリーヌが叫ぶ。


「え、そうなんですか?」


ふたたびアイフィは、その魅力的な青い目で黒雲を睨む... 睨む... 睨みつづける。

すると、前方の空に現れていた黒雲がどんどんと急速に広がり、空が真っ暗になってしまった。


“...... これ、かなりヤバいんじゃない?”


アマンダがそう思った時―


ピカ!ピカ!ピカ!ピカ!ピカ!ピカ!ピカ!...

雲間から、まるで青白い網を投げたように無数の雷が空を走り、次々と地上に落下した!


ガラガラガラ... ド――ン ドド―――ン ドドド―――ン


ガラガラガラ... ドドド―――ン ドドドドド――――ン ドドドドドドドドド―――――ン


リリスがすぐさま両手を空に向けてバリアーを張る。

何もない原っぱに立っているモノは、木であれ、人間であれ、カミナリを誘引するのだ。


「キャ――――っ!」

「怖い―――!」

「姉上―――っ!」

「ジョスリーヌさま――っ!」


ミカエラとアンジェリーヌが悲鳴を上げ、ジョスリーヌがアンジェリーヌに抱きつき、そこへアレクが抱きついた。


そして、雷と同時に大粒の雨が降って来た。


ピカ!ピカ!ピカ!ピカ!ピカ!


ガラガラガラ... ドドド―――ン ドドドドド――――ン


ザーザーザーザー…


「やだ―っ、ずぶぬれよ―っ!」

「せっかく、昨日髪を切って、整えてもらったのに――!」

「頭も服も泥だらけだよ――!」

「もうヤダ――っ!」

大騒ぎになってしまった。


「アイフィさん、もうあなたの能力はわかったから、雨も雷も止めてちょうだい!」

頭にかぶった土や砂が頬に流れて目も開けられない状態でアマンダが叫んだ。

「は、はい... って、どうやって止めればいいんですか、これ?」

「風属性魔法、誰だった、使えるのは?」

「私ですっ!」

「じゃあ、ミカちゃん、満身の力を込めて空の黒雲を突風で吹き払って!」

「はい!」


ミカエラが黒雲をその黒い目で睨み― これも結構かわいい― 力を込めて突風を起こした。


ビュ―――っ


「もっとよ、もっと魔力を込めなきゃ!」

「はい!」


ビュ―― ゴゴゴゴゴ―――――――――――!


凄まじい勢いで、強烈な気流が上空へ流れる。


みんなの髪の毛は風に煽られて逆立ちし、リリスのドレスがまくれ上がり、白いスパッツが丸見えになり、アイフィのトゥニカがまくれ上がり、かわいいオシリを包んでいるイチゴ模様のパンティが丸見えになった!


「キャ――――っ!」


アイフィが必死になってトゥニカを抑えようとするが、前と後ろだけしか抑えきれないので、真っ白い足がもろになり― かなりセクシーっぽい恰好になった?

ほかの女の子たちはリリス以外はパンツルックなので、まったく問題はなかった。


ミカエラのトレント・エアストリーム(激気流)で、空一面を覆っていた雲に穴が開き、そこからどんどんと広がって行って... 青空がもどった。切れ切れになった雲は遥か上空に吹き上げられて消えていく。



「ミカちゃんの風属性魔法も大したものね!」

「おかげで助かったわ!」

「みんなリリスさんにお礼を言わなきゃね。あのままだと、みんな黒焦げになっていたわよ」

プリシルの言葉に、みんなリリスにお礼を言う。


「いえいえ。私の役目は、みんなを守ることですから!」

泥まみれの顔でニッコリと微笑む。どこまでも謙虚なリリスだった。

「今日は、もうこれくらいでいいでしょう。お城に帰ってお風呂に入らないと、こんな姿、ルークさまにはお見せでないわ」


アマンダはそう言うと、魔法訓練のとばっちりを喰わないように遠くに止めてあった王室専用馬車を呼んだ。向かうところ敵なしのヴァナグリーたちも、カミナリは怖いと見えて、穴を掘って地下にもぐっていた!

怖がるのも無理はないだろう。自然界で起こるカミナリは、アイフィの雷属性攻撃魔法『雷神の怒り』ほどの規模のものは発生しないからだ。

ちなみに、『雷神の怒り』とネーミングをしたのはジョスリーヌだった。

 



 夕方―


ルークタラス城に帰ったアマンダたちを見て驚いたのはリエルとフィフィとルファエルにマイレィだった。


「アマンダさま、プリシルさま、それにみんな、どうしたんですか?」

「みんな ドロコンコ遊びしたでスか?」

「ママ―っ、その顔、どうしたの?」

「ママ、せっかくの びじんが だいなしでしゅよ?」


マイレィは2歳半しかないのだが、かなりおませだ。

この小っちゃな女の子のおかげ(能力覚醒スキル)で、みんな泥まみれになったということを彼女は知らない。


「早く、お風呂に入らなきゃ...」

「入りましょう、ルークさまに見られる前に...」


アンジェリーヌたちは、もうさっさと侍女に手伝わせて脱いでいる。

アンジェリーヌもジョスリーヌも侍女がいるのだが、アマンダやプリシルは、着替えはいつも自分でやっているのだ。


「ん? なにを私に見られる前にだって... !!」

王妃さまたちがお帰りになりましたと知らされて、にこやかに笑ってドアを開けてルークが見たものは…

頭から足先まで泥んこのアマンダ、プリシル、アイフィ、それにミカエラだった。

そして、泥だらけの服を脱いだばかりのアンジェリーヌとジョスリーヌだった。

顔と手の先だけが泥だらけで、着ていた服の下はまったく汚れてない真っ裸だった。

少し緑がかった水色の(アンジェリーヌ)目と空色の目(ジョスリーヌ)が、泥だらけの顔から飛び出そうに見開かれていた!


「ギョっ!だ、誰だ、キサマたちは?」


「私ですっ、ルークさま!アンジェリーヌです!」


「あなたさまのジョスリーヌですっ!」



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