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#2‐22 ガジーマで結婚式②

 閻羅宮(えんらぐう)での披露宴は、盛大なものだった。


「ルークとの結婚披露宴の予行練習だ!宴の費用など、戦にかかる費用にくらべたら微々たるものだ!」

と言うモモコ大王のおかげで、費用はすべて大王持ちとなった!

なんとも太っ腹な女大王だ。


 ありとあらゆるご馳走が並び、ルークもアイフィも妻たちも、ひっきりなしに貴族たちや有力者たちから祝いの言葉を受け、あまり食べるヒマもなかったが、フィフィとミカエルとリエルは、若いからか酒豪の鬼人たちといっしょにグイグイとお酒のグラスを空けていた!


 が―


披露宴でもリエルは注目の的だった?!


「なんですの、あのどこもここも見えそうな、あの衣装は?」

年老いた鬼人の貴婦人たちは眉をひそめたが、若い鬼人()たちはリエルを取り囲んで、どこで買ったのか、オシリが見えても平気なのかとワイワイ言って聞いていた!


 ラーシャアグロス王国に着いてから、ずーっと休むことなのなかったルークたちをモモコ大王が気遣ってくれ、早めに宿舎へ行くことになった。



 天道宮。


ラーシャアグロス(鬼人族)王国の国賓用の宿舎である。

天道宮は閻羅宮(えんらぐう)の一隅にある豪華な宮殿だった。


「寝室は40以上あります。ほかにもいろいろと設備が整っております」

案内するためにいっしょに来てくれたエンマ大公が説明をして、もっとも近い寝室のドアを開け、アマンダたちや侍女たちが担いだり、抱えたりしている酔っぱらって寝てしまった妻たちを寝かせるように言った。


 ミカエラはロングドレスなので問題ないが、アマンダに担がれているフィフィも、リリスに担がれているリエルも、極端に短いドレスやマイクロスカートなので、オシリが丸見えだ!

同じ酔っ払い同士だからと言うことで、ミカエラとフィフィとリエルを同じ部屋のベッドに寝かせる。

寝室から出るとエンマ大公が廊下で待っていて、ルークたちに天道宮の設備について説明した。


「この天道宮には、血の池地獄、鬼鰐池地獄、三日月地獄、│かまど地獄と名前のついた温泉があり、こちらに泊まられる国賓たちにとても評判がいいのです」

「温泉は興味あるけど、何だか恐ろしそうな名前ばかりね...」

アマンダが興味ありそうに言い、プリシルたちも頷いている。

「温泉って、入ってみたいですわ!」

「ミタン王国には温泉はありませんから!」

アンジェリーヌとジョスリーヌが興味ありげだ。


「前の世界には、ルークさま専用の立派な大浴場があったけど」

アマンダが、遠くを見る目で思い出している。

「ああ...あの白い大理石の浴場ですね。あの浴場だけは忘れることができません」

「あの浴場には獅子の頭をかたどった彫刻がありましたわね。口からお湯が出る...」

リリスとハウェンが魔王であったルークと初めて会ったのが、大魔王殿(だいまおうでん)にあった大浴場だったのだ。


「ああ、心配しなくとも、ここの温泉は名前だけは恐ろしいが、温泉そのものは普通の温泉だ。血の池地獄温泉は鉄分が多くて赤い湯。三日月地獄は、三日月の形をした湯で美容にもいいとかで女性に人気だそうだ。鬼鰐池地獄温泉は歯を抜いた鰐が泳いでいる少しぬるい温泉。もちろん鰐は無害だ。ただ湯の中で体をなめてくれるだけだ。まあ、よかったら入って試してくれ。ワーッハッハッハ!」


大笑いしながらエンマ大公は出口に向かった。

そしてドアを閉めて出る間際にちらっとルークと美女妻たちを見てニヤリと笑って言った。


「│かまど地獄温泉もありましてな。かまど型をした小さな風呂で、名前の通り、夫婦や恋人たちに評判がいいそうだが... ルーク王たちには狭すぎるかな?ワーッハッハッハ!」

「え――っ、三日月湯入りたいかも?」

「入りましょう、姉上!」

「わたくしも興味あります」


アンジェリーヌとジョスリーヌが言うのを聞いてアイフィも興味を示す。

女性は、美容という言葉に敏感なのだ。


「わたしも入りたーい!ヒック!」

「わ...た...しゅ...も はいりゅ...」

突然、後ろから声が聴こえ、おどろいてふり返って見ると、ミカエラとリエルが部屋から出て来ていた?!


「かまど湯、ルークさまといっしょに入りたいけど、みんないっしょに入りたがりそうね...」

アマンダがみんなを見て言う。

「ルークさまを独り占めしちゃ だめ です。ヒック!」

「わ...た...しゅ...も いっしょにぃ はいりゅ...」

リエルがろれつの回らない口で言う。


「みなさん!今回のラーシャアグロス王国訪問は、ルークさまとアイフィさんの結婚式という重要なことのためだと言うことを忘れてはいけませんわ!」

「あの、アンジェリーヌさん、わたくしにお構いなく...」


「たしかにアンジェリーヌの言う通りよ。かまど地獄はルークさまとアイフィさんに譲りましょう!」

アマンダの一声で決まった。


それまで黙って妻たちがどんな解決をするかを腕を組んで見守っていたルーク。


「よし。じゃあ、決まったのなら、温泉に行こうか?」

「え?あの... わたくしとルークさまでですか?」

「そうだよ。これは新婚旅行と同じなんだから」

「そんな... こんなに奥さんがいるのに、一番新米のわたくしが...」

「いいのよ、アイフィさん。あなた新婚ですもの!」

「そうよ。さあ、部屋に入りましょう。そのドレス脱ぐの手伝ってあげるわ!」

アマンダがドアを開け、プリシルがアイフィの背中を押し、アンジェリーヌやジョスリーヌたちもいっしょに入ってドアを閉めた。


 ルークも寝室の一つに入り、結婚式で着たフロックを脱ぎ、ブリーフ一枚になり、その上からシルクのナイトガウンを羽織り、紐で結んで廊下に出てアイフィが出てくるのを待つ。

しばらくするとアイフィが後ろから背中を押されて出て来た。


「アイフィちゃん、ガンバるのよ!」

「思い出に残る夜にするのよ!」

アマンダたちが応援している。

「アイフィ、ガンバりゅでしゅ!ガンバりゃないと許さないでしゅ」

リエルまでも応援している。

「アイフィ、ルークさまを独り占め できるのは 今晩だけよ ヒック!」


バタン!


ドアが閉められ、真っ赤な顔をしたアイフィとルークだけになった。



 アイフィは薄いシルキーピンク色のシルクのネグリジェの上に、同じ色のナイトガウンを着ていた。

ネグリジェは、あまり薄くて体のラインが透けて見えていた!


「ほほう... 何も着てないアイフィも魅力的だが、スケスケのネグリジェ姿も悩ましいな?」

「ル、ルークさま、あまり見ないでくださいっ。こ、こんな恥ずかしい寝間着持って来てなかったんですっ。アマンダさまとプリシルさまが...」


ルークに透けたネグリジェ越しに体のあちこちを見られないように、慌ててガウンの前を閉める。


「君のために用意してくれたのだろう?」

「は、はいっ。わたくしは、こんな... あれ――ぇ!」

いきなりルークにお姫さま抱っこをされた。


「さあ、行こう。かまど地獄へ!アイフィを茹で上げよう!」

「え?え?えええええ――――――っ!」



 廊下を風を切って走るルーク。

アイフィは落ちないように、しっかりと両腕でルークにしがみつく。

そして... 透けたネグリジェ越しに体を見られるのを防いでいたことを忘れてしまった。

 おかげで、ルークはふくよかなアイフィの体を腕で感じながら、香しい若いエルフの匂いを嗅ぎ、無防備となったスケスケネグリジェに包まれた美しい体をじっくりと見ることができた!



 だが― 

 

先ほどエンマ大公に教えてもらった温泉があるという方に廊下を走って行き、廊下が二つに分かれているところに着くと、そこに張ってある案内プレートには『地獄』と大きく書かれており、その下に「← 男湯 女湯 →」と書いてあった。


ちょっと考えたが、すぐに左へ向かって走り続ける。

まあ、今晩、この天道宮に泊っている男客はルークだけだし、女性客は全員妻なのでどちらに行ってもいいのだが。


「ルークさま、こちらは男湯です...」


言いかけて、ルークと同じ考えに至ったのか、黙ってしまった。

ただ上気した顔でルークに抱かれて走っていることを楽しんでいるようだ。


「ルークさま... わたくし とても幸せです」

ルークの首に顔を埋めてつぶやいた。



 廊下はずっとカーブしている。

しばらく行くと、右に両開きの扉があり、上には『地獄入口』と書いたプレートがあった。

扉を押して入ると、むわ―っと熱気を感じた。


入ってすぐに岩を積み上げて作られた壁があり、その下の方に棚がある。

そこで、衣服を脱いで置くようになっているようだ。棚の上段にはバスタオルやバスローブが置いてある。

アイフィを下ろすと、彼女は()()()()()()()()()()()()()()()()()のだが、なぜかモジモジしていた。


「どうした?いっしょに温泉にはいるのはイヤかい?」

「いえ、そうではありません...」


もうずーっとベッドをいっしょにしているのだ。

今さら恥ずかしがることではないはずだ、と思うが... 

まだ乙女心を持っているアイフィには、いくら晴れて挙式を挙げることができ、ルークが夫となったとは言え、まだルークの前で服を脱ぐのは恥ずかしいのだ。

それがルークには痛いほどよく理解できる。


「脱ぎなさい!」

しかし、ルークは夫として命じた。


「は、はいっ」

アイフィはビックリして目を大きくしてルークを見た。


だが、すぐにナイトガウンを脱ぎ、ネグリジェをスルリと足元に降ろし、これも透けて見えるブラジャーとパンティを脱いでしまった。


それを見て、ルークもナイトガウンをとり、ブリーフを脱ぐ。


ヒョイ!


「あ!」


ふたたびアイフィを抱くと、スタスタと湯気の立ち込める中を温泉の中を歩く。


「ルークさま、すみません... おぼこみたいにふるまってしまって...」

「気にすることないよ」


優しい言葉を聞いてアイフィはホッとした。


「今日からは、私がアイフィを調教するから!」


「え?えええ――っ?!」






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