#2‐14 ルークドゥル勇者王国②
ルークドゥル勇者王国創立宣言がすみ、主な閣僚を決定してから1か月後―
ルークはルークタラス城と改名した元アンドゥオスト城で結婚式を挙げた。
花嫁はアンジェリーヌ王女、ジョスリーヌ王女、ミカエラ、それにリエル王女の4人だ。
実はそれもあって、ボードニアン王国のオルガス王とシラ・エレン王妃夫妻、それにミタン王国のバーボン王とバルバラ王妃夫妻も招待していたのだ。
閣僚となったギャストン伯爵たちは、その職ゆえに今後もルークタラス城で務めることになるが、 ナエリンダン侯爵やダルドフェル伯爵、マスティフ伯爵、マーゴイ侯爵、エルゼレン伯爵、エンギン辺境伯などは、引き続き戦いを続けることになる。
だが、ルークドゥル勇者王国創立、閣僚の紹介、そして勇者王国の政策などを知ってもらうために、それぞれの前線から呼び戻したので、結婚式が終わったら、それぞれ新しい作戦にしたがって戦いを続行することになる。
ルークの予定では、マビハミアン国を占領し、勇者王国の設立を宣言したあとで、アンジェリーヌ王女とミカエラと結婚をするつもりだったのだが...
「姉上だけ先に結婚するって大反対です!私もいっしょに結婚式を挙げます!」
一歩も後に引かない決意のジョスリーヌ王女を見て、彼女がもうすぐ16歳になることも考えてバーボン王とバルバラ王妃もしかたなく折れた。
「ルーク殿、アンジェリーヌ王女といっしょに娶ってやって下さい!」
バーボン王とバルバラ王妃の頼みに、ルークもこれ以上ジョスリーヌに指を咥えさせ続けるのはよくないと考え了承したのだった。
そして、そのことを知ったリエル王女までもが―
「ジョスリーヌ王女が15歳で結婚するのなら、私ももうすぐ15歳になるから、ルークさまと結婚します!」
と駄々をこねたのだ。
元々、オルガス王とシラ・エレン王妃夫妻が勇者王国の創立記念イベントおよびアンジェリーヌ、ジョスリーヌ両王女との結婚式に招待されたのにリエル王女がついて行ったのも、本心はルークと結婚することが彼女の当初からの目的だったのだ。
だが、ルークは未成年の娘とは結婚する気は毛頭ないので、何とかリエルを説得して結婚を先延ばしする考えなのだが。
一方、ミカエラの実家はブレストピア王国南部の田舎にあり、両親は小さな店をやっていた。
ルークが両親をミカエラの結婚式に招待するために馬車で迎えに行かせると、当然のことながら両親もミカエラの姉弟たちも大いに驚いた。
必要以上に驚かせないために、ルークは使者に『ある貴族の息子と結婚することになった』とだけ伝えさせたのだが...
馬車が町を出ると、そこに待っていたヴァナグリーが引く馬車― 例の王室馬車だ― を見て縮みあがり、時速60キロで突っ走る馬車の中で青くなり、5日後に勇者王国に入り、ルークタラス城の中に馬車が入ると目と口が開いたままになった!
城の中でプリシラたちがすでに用意していた貴族が着るような立派な服を着せられたミカエラの両親のアダーロとイヴォラ、それにミカエラの妹のエイルファとメロミン、それに末弟のサリオンは、そこで初めてミカエラは勇者王の妻となることを知り、ビックリ仰天したのだった。
プリシラに連れられて、緊張のあまりコチコチになって謁見の間に入ると―
そこにはルーク、アマンダ、リリスとハウェン、それにアンジェリーヌ、ジョスリーヌ、フィフィ姫がいて、見違えるばかりに美しくなり、華麗なドレス姿のミカエラがいた。
「パパ、ママ!それにエイルファにメロミンにサリオン!」
「ミ、ミカエラっ!」
「ミカ、あなたお妃さまになったの?」
「お姉ちゃん、魔法使い王妃になっちゃったの?」
「お姉ちゃん、白馬の王子様を射止めれてよかったわね!」
「すっごい!これでボクは一生苦労しないで暮らせるね!」
ミカエラの家族のそれぞれの言葉が面白くて、アンジェリーヌとジョスリーヌが笑いを堪えている。
「あ、あなたち、ルークさまの前で恥をかかせないでちょうだい!」
真っ赤になって姉弟に言うミカエラを手で招くルーク。
「ミカエラ、何も恥ずかしがることはないよ。本当の事なんだから!」
「はい...でも...」
「いいから、ここに来なさい」
「はい」
彼のそばに来たミカエラをひょいと抱き上げると、ひざの上に座らせた。
「ル、ルークさまっ!?」
ミカエラの顔はピーマンのように真っ赤になった。
「ミカエラのお父様、お母様。それに妹のエイルファとメロミン、それに弟のサリオン。これ、この通り、私はミカエラを愛しています。娘さんとの結婚を許していただけるでしょうか?」
「も、勿論です」
「ミカエラには勿体ないお話です」
「いいわーっ!王さまが私の義兄になるなんて!私もどこかの王子様を射止めたいわ!」
「おめでとう、お姉ちゃん。私にもそんな幸運が舞い降りて来ないかな!」
「お姉ちゃんが大金持ちの王さまと結婚することは大賛成です」
やはり、両親と妹弟たちの答えが面白過ぎて、アンジェリーヌとジョスリーヌはもう抑えきれずに「くっくっく」と笑っており、アマンダたちもふき出しそうな顔をしている。ただ、フィフィ姫だけが、じーっとひざに座っているミカエラを羨ましそうに見ていた。
「アダーロさんにイヴォラさん。ありがとうございます。それではお二人は今日から私の舅と姑ですね!」
「は、はい!」
「身に余る光栄でございます」
「それからエイルファとメロミンは、よければ私付きの侍女になって欲しい」
「え?侍女?やったー!」
「大奥務め?すっごい!」
ルークの言葉を聞いたアマンダたちは、“あらら、またハーレムに美女が増えそうね”なんて考えていた。
エイルファもメロミンもかなりの美少女で、エイルファはミカエラより少し背が高くスラっとしたスタイルでモデルになれそうだ。メロミンはミカエラより低いが― と言っても155センチはあるだろう― 胸は立派に出ており、まだ15歳というからさらに成長するだろう。
ルークの視線に気づき、エイルファはポッと赤くなって少しモジモジしたが、メロミンは胸を見られていることに気づくと胸をいくぶん反らしてその見事なバストをアッピールしていた?!
「そういうことで、勇者王ルークさまは、ミカエラさんのご家族には今日から王都ルークタラスに住んでいただくよう屋敷を用意しています」
プリシルがそう言うと、アダーロとイヴォラは口をあんぐりと開けたままになった。
「あ...あの、勇者王さまのご好意はありがたいのですが、私どもはすでに小さな店をK町にもっておりまして...」
「そ、そうなんです、ルーク王さま。わたくしどもは、ボチボチと小さな商売を続けたいのですが...」
「ああ、それは心配には及びません、イヴォラさん。すでに部下に命じてK町にお持ちのお店は店仕舞いをして、お店の備品や在庫、それに家の家財道具などもすべてこちらに運ばせています。お二人にはこの王都でお店を開けれるように住居付き店舗も確保しています」
「.........!」
「...... あ、ありがとうござますっ」
アダーロとイヴォラは深く頭をさげた。
「えーっと、じゃあボクは何をすれば...」
「サリオンは、ちゃんと学校に通ってしっかりと勉強すれば、将来、お城で働けるようになるかもよ?」
「ヤッター!これでボクの人生は安定だ!」
最近の子どもは... とても早熟だということをアマンダたちは知ったのだった。
そして、何とトゥンシー大先生が10台ほどの馬車を連ねてやって来た!
老錬金術師が来たとの知らせを受けて、ルークは自ら迎えに行った。
「いやあ、研究所の道具や荷物が多くてな!馬車に積みこむのに大変じゃった!」
「何を言っているの、あなた!積んでくださったのはルークさまが寄こしてくださった兵士さんたちじゃったじゃない?あなたは指図しただけでしょ?」
「ルークさん、どうもわざわざ引っ越しの馬車まで用意してくださってありがとうございます。
ほらっ、あなたもお礼を言うのよ!」
「イテっ!おう、ルーク殿、どうもかたじけない!」
ロゼリ奥さんが、思いっきり大先生の肘をつねって夫にもお礼を言うように促す。
相変わらず仲のいい夫婦だ。
馬車からはトゥンシー大先生とロゼリ奥さんのほかに、6人ほどの者が降りてキョロキョロと城を見たり、ルークを見たりしている。
「この方たちが、大先生が手紙に書かれていた研究のお仲間ですか?」
「おお、そうじゃ。まだ紹介しておらんかったな?」
「いえ、まだです」
「ガエル・ウラシーマと奥さんのヴィヴィアン、トムズークル・トンシーと奥さんのメリッサ、それにユーカワ、デュリアじゃ。 ガエルとヴィヴィアンは魔法陣と薬草学の研究をしており、トムズークルは色んなからくりの専門家じゃ。ユーカワとデュリアは錬金術師じゃが、金属や薬品が専門じゃ」
「どうも、ガエルです。お世話になります」
「ヴィヴィアンです。よろしくね!」
「トムズークルだ。世話になる」
「あなた...王さまの前ですよ。もっと丁寧な敬語で...」
「敬語も何も、僕は乞われて来たんだから、何もヘイコラする必要はない!」
トムズークルは中々骨のある科学者のようだ。
「ユーカワです。これからお世話になります」
「デュリアです。よろしくお願いします。ルークタラスって、素敵な町ですね!」
この二人は鬼人族で、ユーカワは額の真ん中から15センチほどの一本のツノが生えており、デュリアは耳の上からそれぞれ一本ずつ10センチほどの短いツノが生えている。
「トムズークル先生は... トゥンシー大先生のご親戚か何かですか?」
「そうなんじゃよ、ルーク殿。話を聞いて見ると、かなり遠いが先祖は同じじゃとわかったんじゃ。ほれ、ルーク殿は色々と布を縫う機械が欲しいと言っておったからな。若造でかなり生意気じゃが、からくりに関しては天才じゃ。ラーシャアグロス王国ではあまり認められんで腐っておったから声をかけて連れて来たんじゃ」
「ちょ、ちょっと、トゥンシー大先生、何で僕のことを若造で生意気なんて言って紹介しているんですか?!」
「あら、わたしも本当だと思うわ!」
「メリッサ... おまえまで...!」
絶句するエルフの若造科学者だった。




