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#6‐28 それほどバッドプロローグでもないバッドプロローグ?

『魔王の勇者オデッセイー...』をご愛読ありがとうございました。


なお、『魔王の勇者オデッセイー...』の派生作品として『ネコ耳❤アリシアの魔王城日記』https://ncode.syosetu.com/n3079hv/を現在連載中です。よろしかったらお読みください。


『魔王の勇者オデッセイー...』の関連作品の『DK世界に行ったら100倍がんばる!』https://ncode.syosetu.com/n5432gt/


『エスピリテラ漂流記』https://ncode.syosetu.com/n3139hh/ 

     

また、現在連載中の『プロミスランド』https://ncode.syosetu.com/n4402hp/


などもよろしかったら読んでください。


                                空創士

 リュックの顔を見ておどろいた顔をした貴族の娘-

群青色(コバルトブルー)の長い髪が美しいその娘は女のくせに、男装をしていた。


 まあ、男装の貴婦人など、アマンダやプリシルで見慣れているのだが。

群青色(コバルトブルー)の長い髪の娘は、ブリーチズに長い白ソックスを履いており、上は多色の絹糸や金糸が用いられた華やかな織り柄が施された短いジャケットを着ていた。


 ジャケットの下は純白のシルクシャツで袖がジャケットのカフから覗いている。

背には腰のあたりまでの長さのマント。そして、腰には細身の剣を帯刀していた。

身なりを見ただけでも、かなり高価そうなものを身につけている。

間違いなく金持ち貴族の娘だろう。


 何を思ったのか、群青色(コバルトブルー)の長い髪の娘が馬からさっと降りた。

「ミレーヌさま、何をなされるのですか?」

男が群青色(コバルトブルー)の髪の娘の名前を呼んだ。


そいつは、コートと対の緑の絹モワレのグロ・ド・トゥール ウェストコート姿で、ウェストコートには黄色のブレードとタッセル付きフロッグの装飾が入っている。ブリーチズも黄色に白で草花模様を織り出したブロケードで、マントは羽織ってないが、腰にはかなり大きな剣を帯刀している。感じからするとどうやら娘たちの護衛のようだ。


ミレーヌと男が呼んだ娘は馬からさっと降りると、リュックたちのところに降りて来た。

「怪しい者ではありません。ここの領主の娘のミレーヌと言います。あら、怪我をしているのね」

ジュディのそばに(ひざまづ)いて傷を見ている。


「あなたは、この女の子たちのお兄さん?」

ミレーヌと名乗った群青色(コバルトブルー)の娘は、年の頃は17、8歳だろうか。

貴族らしい洗練された美しさが漂う。そして何だかいい香りを漂わせている。


「いえ、ここを通りかかった... 旅の 者 です」

無難な旅人ということにした。

異世界から転生した者です、などと言ったらひと悶着起きかねない。


「そう...」

ミレーヌは、なぜか紫色の美しい瞳で□□をずーっと見ている。

□□の目の奥まで見通すような澄んだ目だ。


年上の美女に見つめられて、リュックは胸がドキドキした。

だが、気分はサイコーだった。

“この美人、オレみたいなイケメン少年が好みなのか?まさかショタコン?”


「ミレーヌお姉さま、私が治して差し上げますわ!」

「シモーヌ、お願いね」

「はい!」


娘たちの中で唯一ドレス姿の娘が、サイドサドルから降りた。

長い金髪に青い目の美しい娘だ。

ほかの娘はミレーヌ同様、みんなリボ○の騎士スタイルだ。


「ロジーヌお姉さま、私の馬の手綱をもってただけますか?」

「まかせて、シモーヌ」


紫の長い髪に琥珀色の目の娘が答え、馬から降りて二頭の手綱を持つ。

ミレーヌという娘の馬の手綱はガッシリした護衛の男が持っている。


「あ、わたしもお手伝いしますわ!ロジーヌお姉さま、私のもお願い」

そう言って、最後に残った娘も馬を降りて、手綱をロジーヌに渡した。

「いいわよ、ユルシュラ!」


ユルシュラと言う名前の娘は、ブラウンの髪とエメラルドグリーンの瞳をもっていて、アンジェとあまり変わらない年のようだ。


シモーヌはジュディのそばに膝をつくと、膝の傷の上に手をかざした。

するとシモーヌの手の平から淡い光のようなものが発せられ、見る見るジュディの傷口がふさがっていった。


「ありがとうございます!」

アンジェが感激して礼を言う。

「ありがとうございます。もう全然痛くありません!」

ジュディもシモーヌにペコンと頭を下げる。


「そう... どうやら、リュックもアンジェもジュディも、異世界から転生して来たみたいね」

リュックとアンジェ・ジュディ姉妹から話を聞いたシモーヌが言った。


「転生!」

リュックが訊く。


「やっぱりね!」

「そうじゃないかと思っていました!」

姉妹が顔を見合わせて頷いた。


「とにかく、屋敷はすぐそこですので、屋敷に来てください。いろいろとお聞きしたいこともありますので。お父さまもきっと驚かれると思います」


ミレーヌはそう言うと、護衛の男- ジョルジという名前らしい-を先に屋敷にもどらせて父親に知らせるように命じた。



「館までは20分ほどなの。いっしょに馬に乗って行きましょう」

そう言って、ミレーヌはリュックとアンジェとジュディを馬に乗せることにした。


リュックはミレーヌの馬に乗せてもらうことになった!

アンジェはロジーヌといっしょに乗り、ジュディは治療をしてもらったシモーヌといっしょに乗ることになった。


ミレーヌが、リュックを自分の馬に乗せると言った時、ほかの娘たち-どうやらみんな姉妹らしい-は、ちょぴり羨望の眼差しでミレーヌを見たのにリュックは気づいていた。


「さあ、乗って!」

「馬くらい自分で乗れます!」

「そう言わずに、ここはお姉さんにおまかせするのよ!」


そう言って、ミレーヌは軽々とリュックを抱えて鞍に乗せた。

ミレーヌさん、見かけによらず意外と力がある?

まあ、腰の剣は伊達じゃないんだろうし、剣を振るだけの体力はあるのだろう。

抱きかかえて乗せてもらう時、ミレーヌの豊かな胸が背中に当たり、リュックは胸がドキドキした。


リュックを乗せた馬は、花が咲き乱れる草原を常歩(なみあし)で気持ちよく歩く。

追い風で、ミレーヌの長い髪がリュックの頬にかかり、なんだか薔薇の香りがする。


ミレーヌは後ろで手綱を握っている。

そして、馬の揺れで彼女の豊満な胸が、()()リュックの背に押しつけられた!?


道は鬱蒼とした森の中に入った。

しばらくすると、ミレーヌは手綱を一本の手で握って、もう片手でリュックの身体を抱いた。

“えっ?ミレーヌさん。メチャお胸が当たっているんですけど?”

柔らかな胸がさらに押しつけられ、リュックは13、4歳の健康なふつうの少年として、ごくふつうに興奮した?


「ルークさまっ...」

ミレーヌは小さな声でつぶやくと、ぎゅっと力をこめて両腕で抱きしめた。


「お会いしとうございました... うっうっうっ...」

リュックの髪に顔を埋めるようにして忍び泣きしはじめた。


「お姉さま!」

「ミレーヌお姉さま」

「お姉さま...」


ロジーヌたちが、ミレーヌのそばに馬を寄せて来た。


「こ、この方は... ルークさまです。間違いありません!」

涙にぬれた紫色の目でみんなを見て言った。


「やっぱり!」

「ルークさまだったのね!」

「ルークさまが転生されたのね!」

ロジーヌたちもポロポロと涙を流している。


「えっ、ルークさまなの?」

「ウッソ――っ!」

アンジェとジュディもおどろいて可愛い口を開けている。


“そうか。やはり、あの時オレは《はい》を選んだから、()()()()()()()この世界に転生したんだな…”


あの周りが真っ白になった空間で、スクリーンに出た最後の質問に《はい》を選んだ時- 

何かが、自分の中で分かれて、遠のいて行くような気がした。


たぶん、あの時もう一つの運命線が生まれ、《いいえ》を選んだ別のオレが生まれたんだ。

そいつは、たぶん、テルースの世界で魔王として君臨し続けたのだろう。


《はい》を選んだオレは、()()()()()()()()、このこの新しい世界で再スタートするわけだが...


しかし-


それも悪くはない。


「アマンダなのか?」

ルークはふり返って訊いた。


「は、はいっ。思い出していただけましたか... フギュっ!」


ミレーヌの顔に手をそえて自分の方を向かせる(キスをしやすくさせる)と、その濡れたような唇にキスをした。


ふむむ(やっぱり)むむ......(ルークさまなのですね)


見かけは13、4歳の少年に17、8歳はあるだろうミレーヌがキスをされたのだ。

さすがにおどろいたようだが、すぐにルークだと悟った。


“オレの上手なキスでルークだとわかったのだな!”

本当は、ミレーヌ(アマンダ)は女の直感でルークだと気づいたのだが。


“創造主さまは、やはり優しい。

この通り、いつもオレを支えてくれた愛しい女たちをつけてくれた。


ゼロからのスタートだが、○○の設定では、オレはこの世界を自分のものに出来ることになっている。

さて、これからが楽しみだ” 


その時、森の出口の方から、十数騎の騎士たちが勢いよくこちらに向かって疾走して来るのが見えた。


「えっ、敵?」

思わずキスをいったん止めて前方を見る。


「あら、お父さまですわ。待ちきれずにお迎えに来たようですわ!」


濡れた唇を手でぬぐいながら、ミレーヌは紅潮した頬で言った。


「お―おっ、ルーク殿か―――っ!ガ―――ッハッハッハ!」


あのバカ笑いは... 


「ギャ、ギャストン伯爵が、おまえたちの父親なのか?」


「はい。ここはガストン伯爵領で、私たちの父親はガエタン・ガストンです!」


アマンダ、いやミレーヌがにっこり笑って言った。






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