#4‐08 ルナレイラ王妃の悩み③
ルナレイラがルークタラス城に来てから3か月の間。
ルナレイラは、ルークタラス城でルークやほかの王妃たちといっしょに暮らしながら日中は花嫁修業に励み、夜はルークと観劇や遠出デートなどをし、週末になると両親を訪問をしたりしていたが―
これらは、ほとんどの場合アマンダ王妃たちといっしょであり、ヴァスマーヤが新婚早々だからということでアマンダたちもヴァスマーヤに優先権をあたえるので、ヴァスマーヤはいつもルークの片腕にぶら下がるように自分の腕を絡め甘えた。そして、余っている(?)もう片腕をルークはルナレイラに腕を絡めさせるのだった?
それはそれで、ルナレイラにとってはうれしいことだった。
もちろん、ヴァスマーヤとルナレイラだけがルークさまを独占できるわけではない。
まだ結婚していないリエルも、結婚してまだ間もないアイフィもモモコ大王もアレクもアガリもルークさまとおデートをして腕を絡ませたいし、結婚して1年ちょっとしかならないアンジェリーヌ、ジョスリーヌ、ソフィエッタもルークさまと熱々の時間を過ごしたいのだ。
なのでそこのところはルークさまもよく理解しているようで、ほかの王妃たちが見ていてもヴァスマーヤを優しく抱いてチューをするが、それはリエルやアイフィやモモコ大王、アレク、アガリ、アンジェリーヌ、ジョスリーヌ、ソフィエッタなどにも同様にするし、アマンダやプリシル、リリスとハウェンにも人目はばからずする。
だが、ルナレイラとは手をつないだり、腕を絡ませるだけだった。
“まだ結婚式を挙げてないから”だとは思えなかった。
ルナレイラは、年の近いアンジェリーヌやアイフィとは気が合い、よく話をするが、ルークさまは結婚式を挙げてなくともベッドに誘ったらしい。
それに婚約者というのならリエルも同じだが、リエルは優しく抱かれるし、チューもしてもらっているのだ。
ある日思い切ってルナレイラは勇気を出してルークに聞いて見た。
その日は、アイフィが新しい古代魔法の書を発見したと知らせたのでヴァスマーヤは城に残りミカエラやアンジェリーヌたちとその魔法の書を読み合って解読に夢中になっていたので遠出デートには来なかったのだ。
「ルークさま...」
ルークさまと二人きりで腕を絡ませ花の咲いている草原を歩くなんて、まるで奇跡のようだった。
二人の周りをチュンチュンと小鳥が飛び回り、小さな蝶がひらひらと花をめぐって舞っている。
「うん? どうした、ルナレイラ?」
「あの... わたしは元ブレストピア国のゲネンドル王の娘だから、わたしに対する態度がほかの方と違うのですか?」
「いや、それはない」
即答だった。
「では、どうして...」
「あなたが元ブレストピア国の王女だから、私も尊敬して結婚式を挙げるまでは清らかな交際を続けたいと思っているのだよ」
「.........」
ルナレイラはそれ以上、何も言えなかった。
…… ◇ …… ◇ ……◇ ……
欲求不満のような長い婚約期間を経てようやく迎えた結婚式。
その結婚式で、ルークは今までの不足分を補うような長いキスをした。
それはルナレイラにとっては初キスだった。
たとえ儀式的なキスだとわかっていても、ルナレイラの胸はドキドキした。
チュ――………
柔らかいルークの唇が(とうとう)自分の唇に重なった時、ルナレイラはうれしくてたまらなかった。
だが―
うれしいはずのキスが延々と続いた時、ルナレイラは戸惑うと同時に恥ずかしくなった。
なぜなら、ルークは彼女の口を吸ったからだ。
結婚式の誓いのキスなのだ。
恥ずかしいからと言ってルークさまを突き放すわけにはいかない。
そして、あろうことかルークさまは舌を入れて来たのだ?!
ルナレイラはどうしていいかわからず混乱した。
だが、受け入れるしかなかった?
長~い誓いのキスが終わったあとでルナレイラの目は潤んでいた。
…… ◇ …… ◇ ……◇ ……
そして、城で行われた披露パーティーでのセカンド・キス。
しかし、これは拍子抜けするほど短かった?
またマラソン・キスをされると思って期待していたルナレイラは肩透かしを食らった感じだった。
「さて、教皇聖下のご指導にしたがって、新郎新婦がしなければならない“たくさんのこと”をするとしようか?」
「ええっ?」
驚くルナレイラ王妃を軽々と抱き上げると、ルークは招待客たちに一礼をして大ホールを出て、寝室へ向かった。
ルークの部屋はウォルナットの床と暖かい感じの木材がふんだんに使われた豪華な部屋だった。
「素敵!...」
「気に入ったかい? もとは石の床の冷たい部屋だったのだが、改造させたのだよ」
「ヤーダマーの塔は床も壁も石造りだったので、冬はとても寒かったですわ」
「ここは、私と愛する妻たちのための特別の部屋なのだよ」
「特別な部屋...」
「さあ、おいで。今までの分をとりもどさせてあげるよ!」
「はい」
ルナレイラはルークに近寄った。
ギュっと腰を強く抱かれた。
そして... 熱いチューをされた。
ルークはルナレイラを抱え上げると
ベッドに投げた。
「キャっ!」
ルークは花嫁姿のルナレイラのウエディングドレスを脱がしはじめた。
............
............
............
そのころ、大ホールでは、元ブレストピア国の貴族たちがゲネンドルやマイテの周りに集まって、再会をよろこんでいた。
「ルーク王殿とルナレイラ王女の結婚式の招待状を頂いた時、王女さまはお美しいので生かされ、ゲネンドル王陛下もマイテ王妃殿下たちも処刑... いえ、その...」
「ゾロワリン伯爵。元気そうで安心した。私も妻たちもあるところに閉じこめられておってな...」
「大聖堂で王陛下と王妃殿下たちを見た時は、夢でも見ているのかと疑いました。しかし、生きておられたのですね... くくく......」
「エルゼレン伯爵、泣くでない。私は子の通り元気だ。毎日庭園いじりをしておってな。このように日焼けしてしまった。あっはっはっは!」
ゾロワリン伯爵、エルゼレン伯爵、それにルストガル大公、メギルウィンド公爵、エイルボット子爵、ハソルム男爵などは元ブレストピア国の貴族だった。
ルークがブレストピア国を占領した後、ブレストピア国の全貴族を集め、ルークに対する“信頼”を植え付けたのだ。それゆえ、彼らはゲネンドル元王に会ったとしても、ふたたびブレストピア王国を再興させようとする気持ちは一人ももってない。
また、そうでなければ、ルークもゲネンドルを生かしておかなかっただろうし、ルナレイラの結婚式に参加させることもなかった。
ルークは“美女に目がない”が、せっかく手に入れた国を失くすような馬鹿ではないのだ。
次回は12月1日に投稿予定です。




