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#4‐07 ルナレイラ王妃の悩み②

 創造主を祭った祭壇の前で誓いのキスは行われた。


ルークはルナレイラのかわいいピンクの唇にキスをした。


5秒たった... 


招待客たちは固唾を飲んで注視している。


30秒たった...


招待客たちが少し騒めきはじめた。


1分たった... 


ルナレイラの息が荒くなった。

呼吸を止めていたらしい。


5分たった... 


招待客たちの騒めきがかなり大きくなり

ルナレイラがそっと目を開けて驚いた眼でルークを見た。


彼女の鼻息が荒くなった。

それは、もちろん口を塞がれているせいもあるが― 

かなりエキサイトしていた!?


「え―っ こほん!」

祭司を務めるアイフィが“もう、このへんでよろしいでしょう?”と咳をする。


ようやくルナレイラから離れたルーク。


ワ――ワ――ワ――!

パチパチパチパチパチ...... 


二人を祝福する歓声と拍手が鳴り響く。


ルークを見つめるルナレイラの目は潤んでいた。



  …… ◇ …… ◇ ……◇ ……



 大聖堂での結婚式の後でルークタラス城の大ホールで披露パーティーが開催された。

ドリアンスロゥプ皇帝夫妻やアガピウス教皇、キャルニボル大統領夫妻、ヒッグス大神官、アンリュモ大神官、ゴズ大神官などのエテルナール教の有力者たち。そしてミタン王国のバーボン王夫妻、ボードニアン王国のオルガス王夫妻、ドジョーネル王夫妻、デュドル公爵夫妻などの王侯貴族が参列し、たいへん賑やかなパーティーとなった。


「ドリアンスロゥプ皇帝陛下。少しルーク王殿と少しお話をしてもよろしいですかな?」

アガピウス教皇が、ヒッグス大神官、アンリュモ大神官、ゴズ大神官を従えてにこやかに笑いながら話しかけて来た。大神官たちの後にはアイフィがいる。彼女は神教官であり、王妃でもあるので教皇の接待役をアマンダから仰せつけられていた。


ルークはルナレイラと手をつないでドリアンスロゥプ皇帝夫妻と話をしていた。

ふつうであれば、西ディアローム帝国の皇帝と会話をしている時に()()()()者はいない。

しかし、割りこんで来たのは誰もが崇拝するエテルナール教の教皇だ。


「モゴ... 教皇聖下!ドウゾ、ドウゾ!モゴ」

ドリアンスロゥプ皇帝はジャブイ皇后の腕をとって、ほかの招待客たちと話に行った。


「どうも申し訳ありませんでしたな? せっかく皇帝陛下とお話中のところ...」

「いえいえ。皇帝陛下とはマソキでいつでもお話できますので。それにアガピウス教皇聖下には、今回、初めて私の結婚式にご参列いただき大変な光栄と思っております」

「アガピウス教皇聖下、結婚式にご参列くださいまして、誠にありがとうございます」

ルナレイラ王妃― 結婚したのだからもう王妃だ― が、恭しく左足を斜め後ろに引き、右足を軽く曲げてお礼を述べた。


「いえいえ、とんでもありませんよ、ルナレイラ王妃さま... それにしても、ゲネンドル王が健在であったとは、このアガビウスも想像もしませんでしたな。ワーッハッハッハ!」

「まったくですな! わっはっはっは!」

「そして、このような美しい王女がいたとは!ルークドゥル勇者王国のさらなる興隆間違いなしですな!」

「『旧約聖神書』の予言より確かなことでしょう! はーっはっはっは!」

大神官たちが追従笑いをする。

唯一、笑わなかったのはヒッグス大神官とアイフィだけだった。

あ、アガピウス教皇も笑わなかった。


「『旧約聖神書』の予言より確実であるかどうかはともかく...」

そう言って、 アガピウス教皇はゴズ大神官をジロリと見てから話を続けた。

『旧約聖神書』の予言を持ち出して大笑いをしたゴズ大神官は、言い過ぎたと後悔した。

「ルーク王殿の今回のゲネンドル元ブレストピア国王一家に対するご処置、甚だ感服しましたぞ」

「いえいえ。感服など恐れ多いです。弱肉強食はこの世の常とは言え、ブレストピア国と マビンハミアン国を征服したのは事実ですし、そのためテルースの世界で歴史ある二国を滅ぼしてしまいました...」

「弱肉強食ですか、なるほど... 勝者こそが生き残るべしという法則ですな? しかし、それほど気にすることもありますまい。どの帝国であれ、王国であれ、ライバルを抹殺、殲滅してから国を作ったのですからな!」

教皇とは思えないようなボキャブラリーを使ってアガピウスはルークの行為を正当化した。


「そして、今回の東ディアローム帝国とその同盟国による『春の大攻勢』を見事に食い止めたのは、誠に天晴(あっぱれ)でしたぞ! 願わくは、その威力をもってエテルナール教の教えを遍くテルース世界中に広げて頂きたいものです」

教皇はルークとルナレイラに軽く頭を下げると

「それでは、新郎新婦のお二人はすることがたくさんあるでしょうから、老骨はこのへんで失礼いたします」

そうと言うと、大神官たちとアイフィを従えて飄々(ひょうひょう)と去って行った。


ルナレイラ王妃は、教皇にふたたびお辞儀をし、見送ったあとでルークの顔をまじまじと見た。

「ルーク王さま... どうかなさいましたか?」

「あ、いや、何でもない。それよりこちらへおいで」

「はい。フギュっ!?」

ルナレイラの細い腰を抱き寄せ、ルークは可憐な唇にチューをした。


オオオ――っ!

近くにいた招待客たちが歓声をあげる。


オオオオオオオオ――――――っ!

歓声はたちまち大ホール中に蔓延した。


ルナレイラは真っ赤になったが、一生懸命にチューに応えている。

また大聖堂での時のように数分間続くと思って、早くも期待で鼻息を荒くしながら愛するルークさまのチューを受けていたが... 

今回のチューは10秒ほどで終わった。


「?」

ちょっとわけがわからないと言った顔のルナレイラ。


 実は、ルークは今回のルナレイラとの結婚は、今までの結婚とは違ったプロセスでやって見ようと思ったのだ。これまで、ルークは美女を見つけると彼の魅了スキルで彼を愛させ、それからすぐにベッドに誘ったのだが、ルナレイラの場合は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことにしたのだ。


 それはルナレイラが未成年だからではない。

ルナレイラは17歳なので、ジョスリーヌやリエルのように16歳(成人)になるのを待つ必要もない。

ただ、そうして見たかっただけなのだ。彼にとっては一種の戯れだった。


 だが― 


当のルナレイラにとっては...

今まで一度も男性とつきあったことのないルナレイラ王女にとっては、”()()()()()()()()()3ヶ月の婚約期間だった。 




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