3.王子様の名前を知りたい
というわけで、この王子様に会いにいくことを決めました!!
というか未だにお母様に認めてもらってないんですが…。
『お母様、私、本当にこの方のことが、一目で好きになってしまいましたの。お母様、お願い。お願いします。私この方と結ばれたいの』
捲し立てて言うとお母様は少し悩んで
「そう、よね。あなたが好きになったのなら、お母様は全力で応援するわ」
と言ってくれた!
『ありがとうお母様!大好きよ!!』ぎゅっ
感極まった私はお母様に抱きついた。
お母様はすごくうれしそうだった。
お母様がクスクス笑いながら
「さ、ティアちゃん。夕食まで寝てなさい、まだ抱きつくのは体に悪いわ」
と言ったので勢いで抱きついたのが少し恥ずかしくなって、でも幸せで、ベッドにもぐって顔を隠した。
***
お母様が部屋から去った後、私は1人、王子様について考えた。
『ねぇ、そこの侍女さん』
まだベッドから出てはいけないと言われたので、仕方がないから侍女さんを呼びつけ、お願いをきいてもらうことにした。
「な、なんでしょうか!お嬢様!」
『そんなに畏まらなくてもいいのよ?あのね、お願いがあるのだけれど。…この国の今の王子様のお話を、聞かせてちょうだい?』
そう、とにかく名前を知らないと始まらない!
王子様のことは有名なので、恐らくこの侍女さんでも知っていると思う。
「えぇ、えぇ!もちろんですわ!私、噂話なんかが大好きですの!第1王子様のことですわね!?」
え、いや、第2王子のことなんですが…
「第1王子のお名前はオリオスト・ヴィ・フォレスト様と仰います!とても優しく暖かいお方で、国民のためにいつも頑張っていますの!!そしてなんと言ってもあの綺麗なお顔…」
侍女さんがうっとりとした表情で語る。
そのお顔、って私の世界で言うと太った不細工だよね…?無理無理無理!
もう、そんなの良いから、はやく第2王子について聞かせて!
『そ、そうなのね。ああ、この国にはもう1人王子様がいらっしゃったわよね?その方についても聞いていいかしら!』
「…ああ、あの方ですね。お嬢様が聞くのはあまりよろしくないとは思いますが、お嬢様がそう言うのならば」
この侍女さんも、あの方のこと、あまり良く思っていないのね。悲しいことだわ…。
「第2王子はルドヴィアスト・ヴィ・フォレストという名前ですわ。この方は、まぁその、あまりよろしくない、醜い顔をされていらっしゃいますので、お嬢様は会わない方がいいですわ」
えぇ、こういうのって不敬じゃないの?
『なるほど、ありがとうございます。』
ニコッと微笑むと侍女さんは顔を真っ赤にして部屋を出ていった。
それにしても…
『ルドヴィアスト様…』
やっと名前がわかりました。はやく会いたい…。相変わらず外で威張っているのは太った方ばかりだし。
ルドヴィアスト様にお会いしたら、きっと、好きだという確信が持てると思うんです。