雛達の目的地は
深夜になり、解散する前に千里と三人はライム交換して女子は女子の部屋に帰っていった。それから眠りに着いた。
幸大はその後目を覚ましスマホを確認すると午前03:20を指していた。
また眠りに就こうとしたがあまり眠くない為にラウンジにある自販機に向かった。自販機まで着き缶コーヒーを購入し取り出そうとした時ラウンジの端に千里が見えたのでもう一本買って千里に歩み寄りそっと缶コーヒーをテーブルに置いて隣に座った。
「眠れないのか」
「うん、何か夢見たいな気がして、こんなことってあるのかと思っちゃうくらい」
千里は外を眺めながら、差し出した缶コーヒーを握りながら寂しい瞳をしていた。
「俺達は皆違う目的、理由を探して旅をして初めて仲間と言える人に出逢った。それは紛れもなく真実で嬉しかった。」
千里は幸大が突然過去や、他の仲間のことを話した。千里は黙って話を聞きながら外を見ては頷いていた。
「そっか、皆それぞれ色々あったんだね。アハハ、自分が小さく見える」
千里は下を向いていた。幸大は覗かないが泣いてるのは分かったので頭を撫でた。
千里は嫌がらず頭を撫でられながら声は出さないが泣いていた。数分経ってから千里は幸大に何故家出したかを伝えた。
千里は家族は母親だけ、母親は毎日千里に暴力を振るっていて体はあざだらけ、もしかしたら死ぬんじゃないかと思い、自分は何故生まれちゃったんだろうと考え自暴自棄になり家出決意したが、何も持たずに家を出て見れば誰も知らない、誰も助けてくれない世界が待っていた。
そして、幸大に見つけてもらってしかも仲間が迎えてくれて嬉しかったと千里は言った。
「私なんか付いてって本当にいいのかな」
「気にするなよ、仲間だろ。上辺だけの関係だと思ってるなら付いてこない方がいい」
千里は首を横に振り、違う。と私も信頼出来る仲間が欲しいと幸大の手を握り顔を背けず真っ直ぐな気持ちを伝えた。
「なら、俺らは一生の仲間だ。何かあれば絶対助けてくれる。あいつらも絶対に助けてくれる」
「うん」
千里はまた泣いた。泣いた千里を幸大は撫で落ち着かせた。幸大も本当は不安だらけだった、もし裏切られたらと考えた日もあった。だけど日を追う事にそれはなくなり信頼へと変わっていった。最初はただの旅仲間、目的を見つければ消えてくだろうと思ったが、それを考えたら寂しくなり、切なくなった。
だけど言葉で伝えたなくても分かってくれる仲間、これだけは本当のこと、だから信頼し、打ち解けていったんだと幸大は千里に言った。
「コーヒー、苦いね。」
「ブラックは駄目だったか?」
「違う、大丈夫。色々ありがとう。なんか吹っ切れた気がする」
千里は幸大に礼を言って部屋に戻って行った。幸大も冷めてしまった缶コーヒーを開け飲んだ。
「確かに、苦いかな。」
幸大はブラックコーヒーは飲めるが、今日のコーヒーは何故か凄く苦く感じた、この先に本当に四人の目指す場所、あるいは探していた物は見つかるのか、そんなことを思いながら部屋に戻り眠った。
.........
「おーい、起きろって、朝だぜ」
幸大は省吾に起こされ目を覚ましてスマホを見た、09:20と少し遅い時間に起きてしまった。チェックアウトまで30分位しかない為に急いで支度しながら省吾にもっと早く起こせと言ったが省吾もまた、幸大より一分早く起きたくらいで焦ったと、確かに省吾は前から一人で起きたことがないと思いながら服を着換えラウンジに降りた。
「あっ、二人共おはよ」
「おはよ、幸大」
女子二人はラウンジで待機していた。幸大と省吾を見かけ朝の挨拶をし、チェックアウトを済ませた後は如月に怒られた。
言い訳はしてもしょうがないので謝った。
「こいつが中々起きなくて」
「すまな...えっ!幸大お前ぇ」
幸大は指を指しながら省吾が起きないから集合時間に遅れたと如月達に伝えた。省吾は幸大がと反論したが幸大の匠な言葉の罠に引っかかり如月に省吾は怒られた。
「覚えてろ」
「安心しろ、一分で忘れる」
そんな二人を見ていた千里は腹を抱えながら笑っていた。
それを見た幸大と如月も笑ったが一人だけ拗ねてしまったが如月と千里にフォローされすぐ調子が戻った、単純と三人は心で思ったが省吾には言わないで三人は目でアイコンタクトした。
千里が幸大に近寄りまた囁いた。
「昨日はごめん、けどありがとう。幸大大好き」
そう告げて前を歩く二人に追い付き話をしだした。
幸大は何が起こったか分からないが、顔が熱くなった。
「おーい、幸大行くぞ〜って何で顔赤い?」
「うっせ、」
幸大は省吾に反論し、少し地面に積もった雪を取りぶつけ、仕返しされと遊びながら千里の服など買い物をした。全て幸大がお金を出したら省吾と如月は幸大を冷やかし遊び始め千里がフォローする光景。
「よし、揃ったな」
「うん、ありがとう。」
千里の旅の服にキャリーケースが揃い、三人は近鉄奈良駅に到着した。買い物途中で幸大は千里に少しばかりお金あげた。千里はいらないと言ったがこれは千里が返したくなったら出世払いだからと半ば強引に渡した。
「何かあそこの二人近くない?」
「確かに、怪しい」
省吾と如月は幸大達に怪しい目で疑いをかけ始め、千里は顔を赤くして少し離れた。幸大もさっき千里に言われた言葉を思い出し赤くなったのを二人は逃さずまじまじと見つめた。
「旦那、旦那、これはあれですかね」
「うむ、これは恋じゃな」
省吾と如月はまたからかい出したので幸大は怒ったが効果はなかった。ある程度騒いだ二人は満足した様子で幸大に次の目的地はと聞き、切り返しが早いと幸大は思った。四人でスマホを取り出し各々好きな場所を言っては何処にするか決めていた。
「よし、決まったな」
「うん、次は、せーの!」 女子二人の声
「!!!京都!!!」と四人は声を揃え次の場所が決まり四人の次の旅路を歩き始めた。