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その翼は何処に向うのですか?  作者: 十六夜 来夢
2/11

飛立つ場所を探して

あれから少し立ち町には雪が振り始めた12月、ダウンジャケットを着て滑らないように歩く人やどこから来たの?と思えるくらい車の上に雪が積もったまま走ってる姿を幸大はバスの中から見ながら学校え登校していた。


北上市は雪がかなり積もる地域で厄介な事に圧雪でスケートリンクみたいに道路がツルツルで事故は絶えない。

幸大のアルバイト先は某ショッピング店のレジで毎日学校が終わると家の近くのアルバイト先に向かいレジを淡々と繰り返し冒険の為の資金を貯めていた。


「今月で終わりだな」


幸大の今月の給料で目標額を達成できる為に今月中旬で辞める事にしていた。

店のおばちゃんやおじちゃんに可愛がられ全然嫌な職場ではなかった。辞める時は皆に挨拶して回った。なんかこれで最後なんだと泣いてるおばちゃんがいたり惣菜担当のおじちゃんには惣菜をもらったり、最後に店長に挨拶をして部屋を出ようとしたら店長が頑張れと封筒を渡してきて「これは私からの景気づけだ」と少しばかりお金をもらった。本当に優しい人ばかりだったしこんな人生ないと思った。


帰宅後、荷物の整理を始める。


「えっと、財布に替えの下着にTシャツと、、」


あまり荷物をいっぱいにすると後々大変になるので少なくして、必要になれば買えばいいと思いながらリュックに詰め込んでたら玄関のドアが開く音がしたのでいつも隠しているクローゼットにリュックを閉まって居間に戻り凛さんを出迎えた。


「おかえりなさい。」


「ただいま〜ぁ、疲れたぁ」


凛さんはいつも同じセリフを言いながら居間のソファーに倒れ込んだ。

幸大はキッチンに立ち夕食の準備をし始めた。今日は鍋にしようとバイト帰りに食材を購入して帰宅したのだ。

具材をパパっと切り鍋に投入し出しと水を入れひと煮立ちするば水炊きの完成。

完成する前にテーブルを拭き食器を並べ、凛さんはいつの間にかスエットに着換え冷蔵庫を物色しビール缶を取り居間に戻り一人先に晩酌を始めていた。


「今日は何?、、水炊きかぁいいよねぇ」


鍋が待ち遠しい凛さんは子供みたいに箸を取り食器に当てて音を出して楽しそうに待っていた。

ようやく鍋がひと煮立ちしたので火を消し、テーブルの上にあるカセットコンロに置き弱火をつけ、夕食を二人の楽しく頂いた。

結局凛さんには明日出る事を言い出せないで食器を洗い出した幸大、凛さんはテレビを見ながらスマホをいじっていた。

食器を洗い終え居間に戻ると凛さんは眠っていたので起こしてベットに誘導し、掛け布団を掛けた。


「結局、言えなかったな。」


そう呟いて幸大はお風呂に入って服を着て髪を乾かし居間に戻って凛さんを覗いたが眠ったままだった。


そろそろ就寝しないと明日は朝早いと片付けして凛さんの隣に敷いてある布団に入り眠ったまま。


.....ブー....ブー......


スマホが鳴り幸大は起きてスマホの時計を確認、4:30を指していた。

新幹線の始発は早く北上駅から東京に向かう新幹線は朝5:25と早い時間であった為に約一時間前起床し、昨日準備したリュックを出して着換えを済ませ家を出る前に凛さんに置き手紙を書いた。



凛さんへ。-----------------------


前々から言ってたこの世界をちゃんと見てきたいと思います。

昨日言い出せなくてごめんなさい。

それと行ってきますとちゃんとご飯食べてくださいね。

  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー幸大より



置き手紙は書いたのでようやく玄関のドアを開け最初の一歩をだした。辺りはまだ暗く深々と雪が降り続いていて、幸大は駅まで徒歩で向かった。

北上の町はまだ眠ったままで信号だけが赤く点滅してたり新聞配達の人が雪の中頑張って家を回っていた。


北上駅に着き新幹線乗り場に向かった。切符は前に購入しており切符を改札口で通しホームに向かった。

歩いて駅に向かったので体は暖かかった。


ホームのアナウンスが流れ出した。


....ピンポンパンポーン


2番線に5:25分北上着東京行の列車が来ます。黄色い線まで下がってお待ち下さい。尚積雪の為ダイヤが遅れております。誠に申し訳ありませんが御理解の方宜しくお願いします。


.....ピンポンパンポーン


雪の為に少し遅れてるみたいだが幸大にとってはどうでも良かった、これからも行く旅は宛のない旅行き当たりばったりの旅なので時間にはとらわれないでいた。

スマホから音楽を流し待つこと10分新幹線は北上駅に到着した。

席は指定席を取っていたのでもし人が多くても大丈夫だと思ったら乗ってる人は幸大一人だけであった。

座席に座り出発を待つこと更に15分やっと出発しいざ東京へと新幹線は動きだした。

一瞬で北上は見えなくなり窓から見えるのは街灯の光に雪だけだった。


..........


 

サッ


「行ったか、こんな置き手紙してまったく、私より自分を心配しなよ。」




ガチャン 

ドアが閉まる音と同時に目を開けベットの横に目をやるとそこには居るはずの人がいなかった。前々からの幸大は凛に話をしていてそろそろだと思って覚悟していたが実際居なくなると寂しくなる。


起きて居間に向かったらテーブルに置き手紙があり読んだら涙が出て来た。

本当に自分があの子を育てて良かったのかとかあの子はどう思って育って来たんだろうと今でも不安はあった。口にはしないが幸大は時々寂しい顔を見せる時があり見てると切なくなったりした。


「よし、学校にはちゃんと言っとくからね、ちゃんと見てきなさい。自分の目で」


凛は手紙を置き、静かな部屋で幸大の成長を見てきた。そして、自ら考え行動したのに誇りを感じ自分は間違ってなかったと再認識した。


.............


読んでいただきありがとうございます。


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