力の差
シャンクは持ち味の頭脳で何か策はないかと考えるも、このスピードと攻撃規模の光線を避ける術は思い浮かばなかった。
シャンク『ここまでか…上級騎士として情けない…』
諦めるしか道がないと思ったその時だった。
『ライトニングウォール!!』
シャンクの目の前に光の壁が突如として現れた。
ジュゥゥゥゥゥスパァァァァーン!!!
光の壁に当たった光線は方向を変え、空へと向かっていき、自由に流れる雲を全て消しとばしていった。
とてつもない破壊力だ。
シャンクは声のした方は振り返ると、そこには…
『危なかったぁ。なんとか間に合ったみたいだな。』
シャンク『お前…訓練を乗り越えたんだな…カスティス。』
そこに立っていたのは、リンゼル様から訓練を与えられていたカスティスだった。
カスティス『なんとかな。まぁでも本当に死ぬ手前だった感じだけど…ほんとになんとかって感じだな。』
シャンク『そうか、俺もあの訓練を受けたことがあるが…あれは死を覚悟したよ、ほんと…でも良くやったなカスティス。』
カスティス『ありがとうシャンク。それよりあの化け物はなんなんだ?人のような、龍のような、蛇のような?』
シャンクは俺が尋ねた問いになかなか答えられずにいた。言葉を選んでいるようだったが、彼の名前を口にする。
シャンク『おそらくあの化け物は…リガムルだ…』
その言葉を聞き、俺は一瞬固まった。
カスティス『は?…リ、リガムルだって!?なんであいつの名前が今ここで出てくるんだよ!笑えない冗談はいいから早く説明してくれ!』
俺の返答にシャンクはなかなか口を開かない。
カスティス『本当…なのか?』
言われた言葉にただ首を縦に振るだけだった。
何がどうなってこんなことになったのか理解に苦しんでいた俺はなんとも言えない感情に襲われていた。
状況の整理ができていなかったが、そんなことお構いないしに奴は攻撃をしかけてきた。
ジュワァァォァァァァァ!!!
キーッン!
化け物の攻撃をシャンクの火影蛇が防ぐ。
シャンク『おいカスティス!ボーッとしてる暇はないぞ!』
カスティス『す、すまないシャンク!そうだよな…とにかく奴を倒さなければ…』
ジュワァァォァァァァァ!!!
スピードと力、一人で太刀打ちするにはかなり危険な敵だ。
シャンク『カスティス!連携して奴に立ち向かうぞ!お前の防御の技で俺を守り、俺が一撃喰らわせる!いいか!』
カスティス『わかった!頼んだぞシャンク!ライトニングフォール!』
シャンクは奴の方へ走り出した。
ジュワァァォァァァァァ!!!
キンッキンッキンッキン!キーッン!!
あのスピードに互角に渡り合えるのは上級騎士以上の者だけであろう。
一般の騎士には目で追うこともほぼ不可能。
キンッキンッキンッキンカーッン!
剣技に力、騎士のトップクラスにいるシャンクではあったが、奴の攻撃に力負けしてしまい剣が弾かれる。
シャンク『なんて力だっ!』
ジュワァァォァァァァァ!!!
カーッン!!!
奴の鋭い爪がシャンク目掛け襲いかかってくるも、光の盾により攻撃は防がれた。
シャンク『カスティス助かった…いくぞ!』
キンッキンッキンッキン…バサッ!!
ジュワァァォァァァァァ!!!
シャンクは奴の攻撃の隙をつき一撃入れることに成功。そこに追い討ちをかけるように技を加えた。
シャンク『炎風陣!』
火影蛇で炎の鞭と化している剣が繰り出す炎の風。
技は化け物に直撃し化け物は悶え苦しんでいた。
ジュワァァォァァァァァ!ジュワァァォァァァァァ!!!
空中にいた奴は、地に落ちて倒れ込み暴れ苦しむ。
剣の傷を負ってさらにシャンクの炎に包まれ、化け物の体は少しづつ焼かれていく。
ジュワァァォァァァァァ…ジュワァァォァァァァァ…
カスティス『もうアイツは死んだも同然だな…』
シャンク『あぁ…』
2人が化け物の最後を見届けていると、奴は最後の力を振り絞り口から光線を放ってきた。
ジュワァァォァァァァァ!!!
カスティス『無駄だ…』
しかし、俺の技により光線はまたしても阻まれた。
凄まじい破壊力を秘めてた光線だが、ライトニングウォールを突き破ることはできない。
化け物は技を放つと同時に微動だにしなくなった。
カスティス『これで本当に終わった…』
シャンク『そのようだな…』
戦いに集中し、まともに考えられていなかった俺は冷静にシャンクに問いた。
カスティス『なぁシャンク、今俺たちが倒したあの化け物…リガムルなんだよな…一体何があった?』
シャンクは曇り顔になるも、話し始めた。
シャンク『それは…奴がカシュパラゴの情報をシドマに流していた裏切り者だったということだ…』
今シャンクが言った言葉を俺は上手く理解できず、受け止めらなかった。
リガムルといえば、俺たちのムードメーカーで優しさ溢れ、仲間思い、そして俺の親友。
そんな奴が俺たち、いやカシュパラゴを裏切り大勢の仲間の命を奪った張本人。
そんなの簡単に受け止められる方がおかしい。
俺はしばらく言葉に詰まっていた。
2人沈黙が続いている中、戦いを終えたナナミとサザルキが合流する。
ナナミ『あそこにいるあれはなんなの?あーカスティスがいるー、訓練無事に終えたんだね。』
サザルキ『異様な化け物だ…カスティス!無事で良かった!』
2人が俺に話しかけるも、返答のない異様な表情をしていた俺に、事実を知った事を悟った。
サザルキ『カスティス聞いたんだな…リガムルのこと。』
サザルキの声を聞いた俺は、勝手に涙が溢れ出てきた。
俺は跪き、どうしようも無いこの複雑な思いを地面に向かってぶつける。
カスティス『なんで…どうしてこんな事に…ふざけんなよ!ふざけんな!!』
シャンク『カスティス…お前の気持ち痛いほどよくわかるよ…俺もさっきまでは同じ状態だった。』
シャンクは俺の肩に手をかけて、ただ無言で頷いていた。
ナナミもサザルキも同じ思いで見守る。
俺たちがどうしようもない悲しみに暮れていると…
『おいおい、なんて様だよリガムル。これで上級騎士ってのが恥ずかしいな。』
どっしりとした体型に、重そうな鎧を被った何者かが現れた。
次から次へと、今日は一体どうなっているんだ。
シャンク『お前は…!?』
シャンクは向こうに立つ何者かの姿を見るや、驚きの表情をしていた。
ナナミ『なるほど、これはまたまずい状況だね。』
サザルキ『シドマの四大騎士ときたか…』
そう、リガムル?の亡骸の横に立っていた男は、シドマ四大騎士の1人バイグレムだった。
バイグレム『お前たちがカシュパラゴの上級騎士だな?こいつらの帰還が遅くて見にきてみたらなんだこの様は?恥を知れ!』
シドマは己の私利私欲の為に多くのものを犠牲にし、上へと上り詰めていく実力主義の世界と聞いてはいたが、仲間の死を目の当たりにして、侮辱の言葉を吐くとはなんて外道の集まりなんだ。
ましてや裏切っていたとはいえ、少し前まで親友と慕っていた俺の仲間を侮辱するとは…
俺の中でプツンっと何かが切れる音がした。
カスティス『てめぇ…タダじゃおかねぇからな…リゾリューション…』
俺は何かに突き動かされるように奴に向かって剣を振るっていた。
シャンク『待てカスティス!アイツは四大騎士!体制を整えるのが先だ!』
シャンクは俺に向かって叫ぶも、すでに意識は目の前にいる奴を斬ることしかなかった。
バイグレム『威勢がいいじゃねぇか、こいつらをやった実力見せてもらおうか!』
カスティス『ライトニングブースト!!!』
シャンク『!?』
その言葉を口にすると持っている剣がさらなる輝きを放ち、剣から4、5本の光ヒモ?コード?ようなものが伸び、俺の腕目掛けひとりでに突き刺さる。
振るった剣が奴の剣に触れた瞬間、とてつもない衝撃波と共に木々をなぎ倒すほどの突風にみまわれた。
バイクレム『お前…俺の剣を止めたな…面白い!面白いぞ!!』
カスティス『こっちは怒りで頭がおかしくなりそうなんだよ…なぁ!!』
俺が四大騎士の剣を止める姿に周りにいた者たちも驚きを隠せない様子だった。
サザルキ『あの剣を…止めた…』
ナナミ『へぇーカスティス力持ちだねー、サザルキよりも力持ちなんじゃないの?』
サザルキ『そうかもしれないな…』
驚く2人に対し、シャンクの顔は驚きと共に焦りのようなものが伺えた。
シャンク『力の代償は計り知れない…』
ナナミ『それはどういうこと?シャンク?』
シャンク『あの力、実は俺も使えるんだ…だけど…』
シャンクが話し出した内容はこうだ。
人の発揮できる力は、本来リミッターがかかっており全ての力を発揮できず、10%程度しか使われていないという。
しかしあの【ライトニングブースト】という技は人が兼ね備えている力を100%近く引き出せる技。
技の使用者はとてつもない力を発揮することができる。
ここまで聞くと利点しかない様に思えるが代償もあるらいし…
その代償というのは、自らの精神、寿命、魂を削る…
技に対しての肉体、精神が仕上がっていれば力を制御し、身の丈にあった能力、力を発揮することが可能となる。
しかしそれが仕上がっていなければ、力をコントロールできずに、本来生きることのできる自分の寿命を削り取っていく大きな危険のある技。
シャンク曰くその制御が俺にはまだできていないという…
つまり…
カスティス『許さねぇー!!!テメェだけはー!?』
バイグレム『おー貴様いい力を見せるなー!?もっと!もっとこの俺に見せてみろ!!』
凄まじい斬り合いに3人は見てることしかできなかった。
サザルキ『それではカスティスはどうなるんだ?』
シャンク『あの様子だともって…10分…いや、5分というところか…』
ナナミ『その時間が経つとカスティスは…』
頭に血が上り、目の前にいるバイグレムを斬ることしか考えられなかった俺だが、奴との実力の差に気づき始める…
バイグレム『おいおいどおした!?力が!スピードが!下がってきてるぞ!?』
俺は少しずつその力を出せなくなってきていた。
そしてタイムリミットは突然やってくる。
カスティス『チ…ちきしょーがー!!!』
その一振りが奴の剣に触れるその瞬間だった…
キーッ!ドカァァァァァァァァァンンンン!!!
この感じはユイカが聡にやられた感じと同じだ。
すごいスピードで俺は後ろにあった岩の壁に叩きつけられた。
シャンク『カスティス!?無理しやがってあのバカッ!サザルキ!カスティスを頼む!俺は奴を足止めする!』
サザルキはシャンクの言葉に急いでカスティスを見に行く。
バイグレム『なかなか面白い斬り合いだったな…ほぉ、あの斬り合いを見ても尚俺に向かってくるか。カシュパラゴの上級騎士は揃って威勢がいいなぁ。だが、お前もさっきの奴と同じ目に遭う事になるけどなー!』
ナナミ『chivalry』
煙?モヤ?の騎士たちがバイグレムに襲いかかる。
バイグレム『なんだ?変な技を使うんだな。』
バサーッン!ボフゥーン…
バイグレムの一振りは、一瞬にして騎士達全員を消し去った。
ナナミ『私の騎士たちが!?』
バイグレム『女だろうと騎士ならば容赦は無用!』
バイグレムは再び剣を振るう。
ギィィィィッンンン!!!…ベギッ!
バイグレム『おぉこの壁は硬いな。』
ナナミ『私のroadsbudに一撃でヒビを入れるなんて…』
ナナミの絶対的な防御 roadsbud にヒビが入るなど一度たりともなかった。
バイグレム『俺の攻撃を防ぐとはな…お嬢ちゃんなかなかやるじゃねぇか。だけど…』
ギィィィィッンンン!!!バリィィィッン!!!
2回目の攻撃によりナナミの技は破壊された。
ナナミ『!?四大騎士ってこんな強いんだ…』
バイグレム『それがわかっただけでも冥土の土産ものだな。』
バイグレムがナナミに剣を振り下ろす瞬間。
シャンク『炎の精霊!』
隙をつき、奴の背中にシャンクは一撃を喰らわせた。
瀕死を負わせる一撃に見えた、しかし…
シャンク『何故だ…』
奴は無傷だった。
バイグレム『シドマにない面白い奴らだなぁ。』
バイグレムはナナミとシャンクの首を片方ずつの腕で掴んだ。
2人は強くもがくも、全くびくともしなかった。
そしてバイグレムは苦しむ2人に提案を投げかける。
バイグレム『チャンスをやろう。リガムルがやられて、他の2人もいないということはやられたってことだろ?上級騎士の人数も減ってしまった事だ…お前らシドマの騎士になれ!』
バイグレムは現カシュパラゴ上級騎士にとんでもない選択肢を与えた。
死ぬか生きるかの瀬戸際に与えられた選択肢。
普通の者であればどうあがいても生きたいと思うのが本能、当たり前のこと。
しかし、自分の命をかけてカシュパラゴを守ると覚悟した騎士たちは違ったようだ。
首を掴まれ苦しむ中、その問いに2人が答える。
シャンク『お前らの仲間になるくらいなら…死んだ方がマシだ…』
ナナミ『絶対殺す…アンタらシドマをね…』
バイグレムは2人の答えに『はぁ』とため息を漏らした後に話し出した。
バイグレム『貴様らみたいな面白い奴らと毎日斬り合いをしたら退屈凌ぎになると思ったが、まぁいい…死ね…』
バイグレムが2人の首を握り潰そうとした…その時。
キーッン!!
バイグレムが思わず防がずにはいられなかった攻撃に、2人はバイグレムの手から離された。
バイグレム『俺と互角にやりあれる奴がまだいたんだな…!!』
『もっと訓練を重ねないと、コイツには敵わないぞ。まったく…あれほどあの技は感情に任せて使うなと言ったのにカスティスの奴め…バカ者が…』
そこに立っていたのは、カシュパラゴ四大騎士の1人リンゼル様だった。
バイグレム『カシュパラゴ四大騎士のリンゼン。面白くなってきたな。』
リンゼル『面白なってきただと。お前俺のことを舐めてるのか?』
シャンク『リンゼル様、お助け頂きありがとうございます。』
ナナミ『リンゼル様ありがとうございます、助かりましたぁ。』
リンゼル『お前たちも帰還したら訓練だぞ!いいな!』
『はっ!!』
2人はリンゼル様の言葉に気迫を取り戻す。
バイグレム『コイツをぶった斬って、リクライ様にご報告したらさぞ喜ばれるだろうな。』
リンゼン『お前…ぶった斬るのは俺の方だ…』
2人は剣を構える。
今にも激しい斬り合いが始まるかと思いきや、バイグレムは構えた剣を下ろした。
バイグレム『やりあいたい気持ちはすごくあるが、やめだやめ。俺がここに来た理由は他にある。』
リンゼル『理由だと?』
リンゼン様も剣を下ろし、奴の話を聞く事にした。
バイグレム『まぁリクライ様からの伝言ってところだな。』
シャンク『リクライの伝言?』
バイグレム『カシュパラゴ領地を奪うことは一時休戦とする、来る時までの狙いはお前らではない。だそうだ。でもシドマを狙おうとするなよ、俺たちはいつでも戦える準備はしている。お前たちカシュパラゴのような平和気取りの世界じゃないんでね。』
リンゼル『貴様ら勝手なことを抜かしてくれるな。カシュパラゴにこれだけ痛手を与えておきながら休戦だと?…俺たちを舐めるのもいい加減にしろ!!』
リンゼル様がバイグレムに斬りかかる。
キーッン!!!
しかしその剣をバイグレムではない別の者が止めた。
『これはこれはリンゼル様。先日は私を倒しきれずさぞ悔しかったでしょうね。』
リンゼル『貴様!ルジェン!!』
なんとシドマの四大騎士ルジェンまで現れた。
キーッン!!!
2人は距離を取る。
ルジェン『いやぁやはり強いですねリンゼル様は、とてつもない破壊力。』
リンゼル『お前ら2人とも地獄に送ってやる!覚悟しろよ!!』
ルジェン『おー怖い怖い。鬼の形相ですねこれは。』
バイグレム『ルジェンはからかうのがほんと好きだな。強き者は何をしたって許される。それがこの世界の道理よ。』
リンゼル『何が道理だ。てめーらシドマが道理を語ってんじゃねぇ!!!』
シャンク『リンゼル様!いくらリンゼル様が最強の騎士でも四大騎士2人では不利な状況!ここは一時体制を整えましょう!』
リンゼル様は熱き思いを持たれた騎士ではあるが、冷静さを常に忘れないお方だ。
シャンクの言葉にすぐに納得し、攻撃を止める。
ルジェン『なるほど。ただ剣を振り回すだけの男じゃなさそうですね。さすが四大騎士。』
バイグレム『まぁ話はここまでだな。悪いがリンゼル騎士、決着はまた今度といこうや。』
奴ら2人が姿を消そうとしている時、ナナミが攻撃を仕掛けた。
ナナミ『殺す…』
キーッン!!
ナナミ『え!?ど、どうしてですかリンゼル様!?』
ナナミの剣をリンゼル様が防いだ。
リンゼル『今お前が奴に攻撃したとしても勝てる見込みはほぼないだろう。むしろ殺されてしまうぞ。今の現場をしっかり見て判断をくだせ。命を無駄にするな。』
ナナミはリンゼル様の言葉を素直に受け入れた。
ルジェン『さすがリンゼル様、話のわかる方ですね。』
バサーッン!!!スゥーッ…
リンゼル様が背後の2人に向かって剣を振った瞬間、2人は闇へと消えていった。
リンゼル『だがなナナミ、お前の気持ちは痛いほどわかるぞ…その気持ちは大切にするんだ…』
リンゼル様の対応は冷静ではあるが、奥に隠れた怒りは、隠しているようで溢れ出ているのがよくわかった。
シャンク『シドマの四大騎士が…一体なんだったんだ…あ!カスティスはどうなった!?』
シャンクが俺が吹き飛ばされた方を振り返る。
シャンク『まったく…お前は不死身なのか。無鉄砲なやつめ。』
サザルキに肩を借り、自力で歩く俺の姿を見てシャンクは肩の力が抜けた。
カスティス『いや、死にかけたけどサザルキの力によってなんとか骨の1本2本で済んだよ。』
それを聞いたシャンクは驚いた様子だった。
何故なら彼が技を出すことができずに1人悩み、日々鍛錬を重ねているのを知っていたからだ。
シャンク『サザルキお前、技を使えるようになったのか?』
サザルキ『あぁ、先程の戦いの中でな。』
シャンク『そっか…本当に良かった…』
サザルキの努力は身を結ぶ…シャンクは陰ながらずっとそう思っていた。
カスティス『リ、リンゼル様!?王宮へ帰られたのではなかったのですか?』
リンゼル『王宮や街に関しては他の四大騎士に任せておいた。俺はこっちが気になってな…やはり来てみればこんな事に…おいカスティス!あれほどその技について話したろうが!なぜ使ったのだ!?』
カスティス『も、申し訳ありません!別の事に気を取られてしまい!…気づいた時には技を発動していました…』
リンゼル『まったく、感情のコントロールをしっかりしろバカ者…それで?別の事とはなんなんだ?』
リンゼル様にそう聞かれるとシャンクが問いに答える。
シャンク『あそこで黒く焼かれた化け物がいるのですが…あれはリガムル騎士…です…』
リンゼル『なんだと?あれがリガムルなのか?』
カスティスは首を縦に振った。
シャンク『つまりカシュパラゴを裏切り、情報を流していたのはリガムル騎士ということになります。』
リンゼル様は少し驚いてはいたが、冷静に話し出した。
リンゼル『そうか…リガムルは信用ある騎士だと思っていたが残念だ。どんなに仲を深めたとしても許される事と許されないことがある。お前たちには悪いが、アイツは許されないことをした。死して償わなければならない。』
そこにいた上級騎士皆が、言葉を詰まらせていた。
思い出ある奴が、このような形で俺たちの前から消えていってしまったのだ。
悲しさや怒り、悔しさが混じりあったなんとも言葉にしづらい感情に襲われていた。
リンゼル『しかし仲間の死は複雑だな…さぁお前たち!マリヤ様に報告だ!王宮に急ぐぞ!』
『はっ!』
リンゼル様の一言によって皆が再び気を引き締める。
リガムルの一件をちゃんと腹に落したわけではないが、今は一刻も早く状況整理、問題解決する方が先だ。
複雑な心境ではあったが、俺たちは王宮に急ぐのだった。




