無力な僕
【俺の剣を振りかざして、あいつに肘から当てるように剣を振り下ろせ!】
聡『わかった!』
僕は男の言う通り剣を振ってみるが、思ったようにはなかなかいかない。
医者『はっはっは!どこ狙ってやがる!?そんなのろのろやってると、俺がやっつけちまうぞぉ!』
そう言うと医者は、次に腕を岩に変えて僕を殴りつけてきた。
【私の剣を両手で持って横にガードして!】
キーンッ!
聡『ック!すっげぇ衝撃!…腕がどうかなりそう…』
【次来るぞ!聡!備えろ!】
キンッキーンッ!
医者『はっ!遅い遅い!俺のスピードの方が早いなぁおい!?』
やばい…
正直どこにどう剣を振るっていけばいいかわからないし、何しろこのご時世で命をかけて戦うことなんてまずありえない。
戦いのタの字も掴めるはずもなかった。
こんな早く動かしてくる腕のドリルや岩、ハンマーを防ぎ切ることは不可能に近い。
今の僕は美乃梨を守りたいという思いで身体は動いているが、ギリギリの瀬戸際だ。
【聡!しっかり剣を抑える!】
聡『やってるよ!…だけどそろそろ限界…うわっ!?』
腕の力が限界を迎えて、剣を落としてしまった。
医者『俺の勝ちだな。おらよ!!』
僕は岩で殴られ、思いっきし外に放り出された。
そしてそこは二階…
高さ約6メートルの所から地面に叩きつけられた。
【おい聡!大丈夫か!?】
【聡!大丈夫なの!?】
聡『ま、まだやれ!…あれ?…身体が動かない!?ってか俺の身体岩になってる!?』
医者『俺の力は、腕をいろんな道具に変える能力、そしてもう一つは、相手の触れた身体の部分をそれと同じものに変える能力だ。つまり岩で殴ったお前の身体の部分は岩になるってことだ。まぁそれは少しの間なんだけどな。』
確かに奴に殴られたところが岩になっている。
そもそも能力って何んなんだ。
兎にも角にも身体は動かない。
岩になっていて動かすことができないのもあるが、戦いによる疲労と殴られた衝撃が蓄積し、意志とは無関係に身体は動かせない。
美乃梨を守りたい!
その思いはあるのだが、身体が言うことを聞いてくれない。
僕はどうなってもいい。
美乃梨だけはなんとか守らせてください!
それだけを切に願った。
医者『まぁ俺のスピード、能力には敵わなかったってことだな。お疲れ様でした。』
医者は腕をドリルに変え、僕の心臓めがけ突き刺してきた。
聡『頼む俺の身体!動けー!!!』
僕は最後の力を両腕に込めた。
【ちくしょー!動けー!】
【お願い!動いて!】
棒のようになった腕に、今入れられる最大限の力を入れる。
脳が、全身の血液が、僕の腕を動かそうとしているのが伝わってきた。
ザクッ!…
すると奇跡が起こる。
医者『あ?…て、てめぇ。やりやがったな…やりやがったなー!?』
僕の両腕は動き、二本の剣は奴に刺さった。
美乃梨を守れる!守れたんだ!
そう思ったのもつかの間…剣が刺さったのは…脚だった…
聡『脚…時間稼ぎにはなるのか…』
致命傷にはなるはずもないが、この足では容易に美乃梨を殺すことはできないだろう。
医者『クッソが!いってーいってー!ちくしょー!ゼッテーぶっ殺してやるよ!?』
もう僕の身体はピクリとも動かすことはできなかった。
僕はいいんだ…
誰か美乃梨を…
医者は僕に向かってもう一度ドリルを突き刺してきた。
美乃梨…どうか無事でいてくれ…
守りきれなくて本当にごめん…
僕は…無力だ…
キーンッ!…
??『私達が来るまでよく耐えられましたね!あとお任せください!』
諦めかけたその時、現れたのは僕と同じ剣を持つ数名の男達だった。




