ミリアの実力 Ⅰ
ユイカ『カスティスー!早くー!ミリアもう来てるわよ!』
カスティス『ちょっと待てよー!病み上がりなんだから!』
そう言って小走りで訓練場に向かうとそこにはすでにミリアの姿があった。
ミリア『カスティス様!以前は付きっきりで訓練してくださりありがとうございました!またとなりますが、よろしくお願い致します!』
カスティス『おう!ミリアが騎士になり、どのくらい成長したのかまずは見させてもらうな!とりあえず他の騎士と手合わせしてもらえるか?』
ミリア『はい!わかりました!ただ、お相手が1人だと物足りない気もしますので3人と私という形でもよろしいでしょうか?』
カスティス『さ、3人!?ま、まぁいいけど大丈夫か?いくらお前でも3人は…』
ミリア『大丈夫です!頑張ってみせます!』
いくらミリアでも四大騎士様の訓練を通ってきた者たち3人を相手にするのは至難の技だ。
俺はとりあえずミリアの言うとおりお手並を拝見させてもらうことにした。
ユイカ『ミリア大丈夫なの?』
ミリア『ユイカ様大丈夫です。私、自信あるので。』
ユイカ『まったく、カスティスにはあんな感じなのに昔っから可愛げがないわね。とりあえず私とカスティスであんたの成長した姿、見させてもらうから。』
ミリア『はい、よろしくお願い致します!』
そして相手となる騎士3人がやってきた。
騎士A『おいミリア!お前俺たちを舐めてるのか?3人だぞ?』
アシド『お前の凄さは知ってるが、俺たちもそう簡単に倒せる相手じゃないぞ?しかもお前のことはよく見てきた。攻撃パターン、避け方、防ぎ方、だいたい把握している。』
チャルキア『ミ、ミリアちゃんには勝てっこないって。ミリアちゃんめちゃくちゃ強いもん。なんで僕なんか選ばれたんだ。』
騎士A『チャルキア!しっかりしろ!お前がこいつを懲らしめるんだよ!』
チャルキア『で、でもミリアちゃんだよ!これは無理ゲーってやつだよぉー。』
アシド『はぁ、なんでこいつこんな自信ないんだよ。チャルキア!お前も騎士のテストに合格したんだ!自信を持て!』
チャルキア『で、でもー!』
カスティス『よーし!そしたら君たちは、これから本気でミリアの首を取りに行く勢いで戦ってもらう!ルールは簡単!どちらか一方が戦闘不能状態になったら戦いは終わりだ!いいな!』
騎士たち『っは!』
ミリア『っは!』
ユイカ『それじゃあお互い構えなさい!…いくわよ…始め!!』
ミリアの実力を確認する戦いが始まった。
騎士A『ミリア、お前には痛い目をみてもらう。悪く思うな。』
騎士Aがミリアに斬りかかる。
見るからに力強い剣術だが、俺から見ればまだまだ隙がありすぎる。
そのことを俺がわかっているということは、ミリアもわかっているということだ。
ミリア『隙だらけね。』
ミリアは鮮やかに剣をかわし、騎士Aの剣を持つ手に打撃を入れ、騎士Aは剣を落とした。
その瞬間にミリアは木刀で騎士Aの頭に一撃喰らわせた。
カスティス『なるほどな。やるじゃないかミリア。』
ユイカ『確かに隙が多い剣術だけど、私達だからそう思うだけで、新人騎士君たちからしたらけっこうなスピードと威力だと思うけどね。』
アシド『う、嘘だろ。あいつの剣の威圧感にビビることなく避けて一撃で倒すとは…だけど、俺とチャルキアはどうかな?…チャルキア!いくぞ!』
チャルキア『え、えー!!』
ミリア『来なさい…』
アシドが魔法を唱える。
アシド『プロテクトフロア!』
アシドが使った魔法はプロテクトフロアと言って、プロテクトフロア内にいる味方は、攻撃を受けても痛みを感じなくなるというものだ。
つまりその中にいるチャルキアはミリアの攻撃を受けてもダメージ、痛みを感じることはない。
ミリア『プロテクトフロア…やっかいなのを使われたわね…でも私も魔法は得意なのよ…』
アシド『ミリア!魔法は俺の方が上だったよな!悪いが勝たせてもらう!チャルキア!行け!』
チャルキア『プロテクトフロア内なら戦える!だって痛くないもんね!いくよミリアちゃん!』
ここでミリアも魔法を唱える。
ミリア『ファイアフレイム!』
炎の矢がミリアの手から放たれ、矢はチャルキアではなくアシドに向かって進んでいく。
アシド『な!?俺を狙ってきやがったのか!?』
矢があと少しでアシドに当たるというところで、その矢は剣によって断ち切られた。
ミリア『やっぱり早いわねチャルキア。』
矢を断ち切ったのはチャルキアだ。
チャルキアはあんなに弱気でいるが、剣の腕前はかなり良いものを持っている。
チャルキア『次はこっちの番だよ!アシド!僕を援護してね!』
アシド『おうよ!それでこそお前だ!』
カンッカンッカンカーッン!
ミリアとチャルキアが木刀を交える。
カスティス『おいユイカ、チャルキアって知ってるか?』
ユイカ『いいえ、聞いたことないわね。』
カスティス『かなり良い腕をしてるな。だが、ミリアにはまだ及ばないところか。』
カーッン!
チャルキアの木刀が宙に浮く。
チャルキア『ぼ、僕の剣が!』
ミリア『チャルキア、あんたやっぱり良い腕してる!だけど私には及ばない!』
剣の打ち合いが早かったせいもあり、チャルキアはプロテクトフロア内から出てしまっていた。
チャルキア『うわーーー!』
アシド『バイオブロー!』
アシドが放った魔法がミリアの肩をかすめる。
ミリアはすかさず退避する。
ミリア『やったわね…』
アシド『俺の存在を忘れるなっての。』
バイオブローは毒属性の魔法。
少しでもダメージを喰らうと、徐々に体力が削られていくものだ。
カスティス『お、これで戦況はわからなくなってきたな。毒がまわる前に2人を倒さないと難しい状況だぞ。』
ユイカ『まずはあの魔法の子を倒さないとこの戦闘はミリアが不利ね。』
アシド『おいチャルキア!お前ちゃんと戦えよ!俺がサポートしてやるから!』
チャルキア『嘘ばっかり!プロテクトフロア僕のところから外れてたじゃないか!』
アシド『お前らのスピードが早すぎるんだよ!まーなんとかするからお前は剣に集中しろ!』
ミリアがすぐに立ち上がり2人に向かってきた。
チャルキアはまた剣を構えてミリアに斬りかかるが、ミリアは華麗に剣をかわし、そのスピードのままアシドの方へ向かっていった。
アシド『お、おい!どんな瞬発力してんだよ!チャルキアの剣を寸前のところでかわすって!』
ミリア『もらった…』
ミリアがアシドに剣を向け突き刺そうとしたその時。
カーッン!
ミリア『な!?』
チャルキア『あっぶない!アシドもう少しでミリアちゃんに串刺しにされてたよ!アシドこそ集中してよ!』
ミリアのスピードもすごいが、チャルキアという騎士のスピードもなかなかのものだ。
アシド『おぉー死んだかと思ったぁ。』
ミリア『チャルキアあんたやるわね。』
チャルキア『ミリアちゃんのスピードについていくのがやっとだけど、頑張ってついていくしかないもんね!』
そこへアシドが畳み掛ける。
アシド『ダークフレイム!』
黒い炎がミリアを襲うもミリアは剣で振り払った。
ミリア『私は剣じゃないと倒せないわよ。アシド!あんたも剣を振るいなさい!』
アシド『俺は魔法専門だから無理だな、チャルキアのサポートをする!』
チャルキア『えー!なんで僕なんだよー!』
アシド『お前しかいないんだよ!』
ミリアが再び2人に向かってきた。
チャルキアが剣で応戦する。
カンッカンッカン…カーッン!
チャルキア『だ、ダメだ!ミリアちゃんの剣早すぎる!』
またしてもチャルキアの剣が弾かれた。
それを見たアシドはまたも魔法を仕掛ける。
アシド『バイオブロー!』
ミリア『くると思った…』
アシドが魔法を放った瞬間、ミリアは標的をチャルキアからアシドに変え、一瞬の隙にアシドの目の前に来た。
アシド『な!?早すぎっ!…』
ドンッ!
アシドはミリアの一撃により気絶してしまった。
チャルキア『アシド!あー僕1人になっちゃったよー!一人でミリアちゃんとかこれこそ無理ゲーだよ無理ゲー!』
ミリア『あとはあんた一人ねチャルキア!一人だろうと容赦しないわよ!』
チャルキア『ミリアちゃん待って待って!ひとつお願いがあるんだ!』
ミリア『何?お願いって?』
チャルキアはもじもじして、それからピンと背筋を伸ばした。
チャルキア『僕…僕は…訓練生の時からミリアちゃんのことが好きだったんだ!この戦いで僕がミリアちゃんを倒したら、僕と付き合ってください!』
ミリア『え…あ、あ、あ、あんた何言ってんのよ!?今の状況わかって言ってるの!?』
ミリアは顔を真っ赤にしていた。
チャルキア『僕は本気なんだ!それを約束してくれたらミリアちゃんに勝てる気がする!ホントに!』
俺とユイカはキョトンとし、
カスティス『なぁ、ユイカ』
ユイカ『何よカスティス』
カスティス『今の若者の行動力ってすごいな。羨ましぃ。』
ユイカ『そうね…ってそこ!そこじゃないでしょ!なんで訓練でそんな諸事情を持ち込んでるのかってとこでしょ!ってかあんたも十分若いわ!』
カスティス『あー俺も若くなりてぇー』
ミリア『それ約束したら私に勝てるの?ホントに?』
チャルキア『絶対勝つ!意地でも勝つ!』
ミリアは少し考え、答えを出す。
ミリア『いいよ、私に勝てたらあんたと付き合ってあげる。』
チャルキア『え!?いいの!?』
カスティス『え!?いいの!?』
ユイカ『え!?いいの!?』
ミリア『あたしに勝ったらの話よ!まぁ、無理だろうけど。カスティス様もおね…ユイカ様も驚きすぎですよ!ありえない話なので…それに私は心に決めた人がいるので…』
ミリアはそういうと俺を恥ずかしそうに見る。
俺はなんだ?という顔でミリアを見返す。
ユイカ『あんた、ほんと変わらないわね。』
チャルキア『え!?何!?今心に決めた人って言った!?今言ったよね!?』
ミリア『何にも言ってないわよ。チャルキア!やるの!?やらないの!?どっち!?』
チャルキア『とりあえずさっきの言葉は気になるところだけど、ミリアちゃんと付き合えるならやるに決まってるよ!やってやる!本気でいくよ!』
そう言葉を交わすと、2人はまた剣を構えて両者共に走り出した。




