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3人は顔を見合わせ、凍りついていた。
「お前たちが」
謎の声は同じ内容を繰り返している。
2回、3回、4回。
「何よ、これ!?」
栞里が怒鳴った。
顔が青ざめている。
「さっきの場所!」
友紀が給水塔の土台の方向を指した。
「あっちから聞こえる!」
栞里が動いた。
土台を回り込み、ついさっき、居た場所へと歩く。
栞里は謎の声が近くなるのを感じた。
やはり、こちらから聞こえてくる。
夜の闇の中、ぼんやりと照らす月明かりとは違う光が、地面に見えた。
先ほどまでは、無かった光。
栞里は、その光に近づいた。
スマホだ。
スマホが下に置いてある。
3人を脅す声は、そのスマホから聞こえてくるのだ。
「これは!?」
栞里が、スマホに手を伸ばし、触れるか触れないかというところで、背後に気配がした。
ハッとなった栞里が振り返る。
奈央が立っていた。
心配そうに、栞里を見ている。
「どうだった?」と奈央。
栞里は、スマホを指した。
「これよ」
栞里がスマホを拾った。