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だって、怖いから。
そんなことを言ったら次は、あたしがイジメられるかもしれない。
亜美がやられる間は、あたしはイジメられないから。
ごめんね、ごめんね、亜美。
本当に、ごめんなさい。
「もっと、いけるでしょ!」
栞里の声。
「ホント、グズだね、このブス」
友紀の声。
2人が、ゲラゲラと笑ってる。
でも、あたしも笑ってる。
笑わないと。
笑わないと、あたしが亜美の場所に立たされるかもしれない。
亜美の眼が、あたしを見た。
やめて。
見ないで。
あたしを責めないで。
責めるなら、栞里と友紀にして。
あなただって、分かるでしょ。
あたしが逆らえるわけない。
「仕方ないなー」
栞里が言った。
「私たちで押してあげようよ」
2人が、あたしの右肘と左肘を、両脇から掴んだ。
あたしの両手を無理矢理、上げさせる。
「奈央もいっしょだよ」
栞里が私に言った。
「ほらほら、いくよ」
友紀が言った。
2人に押されて、あたしの身体が前に進んだ。
いやだ。