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「それで、あたしは大学を辞めなきゃならなくなった。就職しようとしたけど、落ちまくって、どこにも入れなかった。それからずっと、バイトよ。毎日、バイトバイトに明け暮れて。かけ持ちまでして働いて、働いて」
奈央が友紀に顔を近づけた。
「友紀、そんな思いしたことある?」
友紀が激しく首を横に振った。
今は絶対服従しかない。
「それでも、あたしは諦めずに頑張った。そんなときに、あの占い師に遭ったの」
奈央が栞里に顔を向けた。
「街で遭った占い師が、あたしに言ったの。『お嬢さん、何か悩み事があるでしょう?』って。あたしは気づいたら、占い師の前に座ってた。あたしが、何もかも上手くいかないって教えると、占い師は『そうだと思った』って言うの。『私は霊能力も持ってるから分かります。お嬢さんには、悪い霊が憑いています』だって。あたし、それで分かったの! とうとう、分かったのよ!!」
奈央が声を荒げて、栞里に顔を寄せた。