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時の天使は世界を嘲笑う  作者: キミダリ
第1章 天使の始まり
6/16

6 捜索

 アリシアがテルシーに連れられてきた場所は、森のさらに奥に位置する場所だった。テルシーについて歩いていると、アリシアは何かの魔力を感じ取り、振り返った。

 すると、空間に揺らぎが見え、それが結界だと気付いた。


(隠蔽の結界ですか……かなり古い作りですが、緻密ですね)


 アリシアが結界に感心して、前に向き直ると、大きな魔法陣が描かれた遺跡が見えていた。


「この魔法陣は、もしかして……」


「考えている通りだよ。この先に魔族の国が続いている。さぁ、乗って」


 テルシーに促され、一緒に魔法陣の上に乗る。そして、テルシーが魔法陣の上に魔力を流し込むと、青く光り出した。


(転移魔法陣がこんなところにあるなんて、人族が知れば驚く、どころの話ではありませんね)


 そう思いながら、驚き慌てふためく姿を想像すると、アリシアの顔には暗い笑みが浮かんだ。


「さっきから思っていたけれど、君の笑顔は怖いよね。素が無表情なら、笑顔は愛らしいのが相場じゃないかな?」


「相場と言われても、私は私ですから」


「そうだよね。まぁ、私は面白いからいいけどね…………よし、準備できた。転移するよ」


 その言葉とともに、アリシアたちを青い光が包み込み、ひと際強く光ると二人の姿が消えた。





 ラインセル家の人々は、アリシアのことを必死になって探していた。誰もが嫌々ではあるものの、ステータス開示は重要な儀式であるため、出席させないわけにはいかないのだ。


 メイドたちは屋敷の中や周辺、村へなど探しに行き、ガルドとミリアは森へと探しに出かけていた。


 森の魔物たちは二人にとっては大した強さではなく、それぞれ単独でアリシアを探していた。

 しかし、この魔物の森の中ではか弱い五歳の女の子ではすぐに殺されてしまうだろう、というのが二人の予想だった。


 二人にとっては、面倒な子供ではあるが、それでも長女で一番最初の子どもだ。だからこそ、できれば無事でいてほしいという気持ちが少なからずあった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ガルド・ラインセル

年齢:25

種族:人族

性別:男

ジョブ:重剣士

属性:火、無


レベル:230

体力:11098/11098

魔力:409/409

物攻:3987

物防:4000

魔攻:346

魔防:1803

俊敏:2087


スキル:重剣技6

    体力上昇5

    物攻上昇6

    物防上昇6

    体力自動回復4

    魔剣技3

    魔力上昇2

    魔攻上昇2

    気配察知5


ーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーー


ミリア・ラインセル

年齢:25

種族:人族

性別:女

ジョブ:大魔導士

属性:火、水、風、地、光、闇、無


レベル:244

体力:6054/6054

魔力:13098/16054

物攻:875

物防:790

魔攻:10002

魔防:1908

俊敏:2302


スキル:魔導の神髄

    魔力上昇7

    魔攻上昇6

    魔力自動回復7

    魔力隠蔽5

    魔力察知7


ーーーーーーーーーーーーーーー


『魔導の神髄』

特殊属性を除く、全ての属性の魔法を扱うことができるようになる。


 この二人のうちのどちらかでも、アリシアを見つけることができれば、何とかなるかもしれない。たとえ十体を越える魔物が相手だとしても、実力差で切り抜けることができる。

 だからこそ、アリシアには生きていてほしい、と二人は願っていた。生きてさえいれば、助けることができる。


 時間が経つごとに焦りが募り、必死になって探すが、一向に見つからない。

 森の方には来ていないのかもしれない、もしかしたらもう戻っているかもしれない、と思い、二人ともそろそろ戻ろうかと思っていたところ。


ドオォォォ!


 地響きとともに大きな土煙が上がっているところが、二人それぞれの場所から見えていた。その場所は森のさらに奥の方へ進んだ場所。


 今までこの森の中では、このような事態に遭遇したことはなかった二人は、異変ということですぐさまそこへ向かった。もし、何か強力な魔物がいた場合、それが村にまで来ないようにしないといけないのだ。


 奥へ向かっている時にも、何度か地響きが聞こえ、何か大きなうめき声が聞こえ、さらには魔物が一目散に逃げていた。そのまま行かせれば村にまで出て行く可能性があったため、向かってくる魔物たちを次々と倒していっていた。


 途中で合流できたガルドとミリアは、さらに速度を上げて目的の場所に向かう。


「ガルド、この先に一体何がいるのか、わかる?」


「……いや、俺にはわからない。そっちは?」


「こっちも全然。でも、相当な大物だっていうことはわかるわ」


「そうだな。急がないと」


 逃げる魔物たちが減ってきて、ようやく目的の場所に到達した二人だが、そこには多くの巨大な岩や砂山があるだけで、魔物の姿が見当たらなかった。


「どういうことかしら?」


「いや、全くわからない。ここで一体……ん?向こうに魔物が群がっている?」


 ガルドは《気配察知》で魔物が群がっているのを察知した。

 なぜ群がっているのかわからないが、何か嫌な予感がしたいガルドは急いでその場所へと向かった。ミリアも《魔力察知》で魔物たちがいることがわかり、ガルドに付いて行く。


 二人とも嫌な予感が当たらないようにと願いながら進んでいくと、魔物たちが何かに群がっているのが見えた。


 ガルドもミリアも顔が青ざめていくのがわかった。


「お前ら、邪魔だぁ!」


 ガルドが魔物たちに接近し、剣を振り回して魔物たちを蹴散らす。ミリアはすぐに魔物たちが群がっていたそれに駆け寄る。


「ヒッ!」


「おい、これは……」


 それは魔物たちが体の大部分にかみつき、食い千切られた姿。しかし、その顔はまだ残っており、それはアリシアの顔だった。

 最近はガルドもミリアもアリシアの顔を見ないようにしていたが、その顔を忘れるはずがなかった。


 そして、その姿から間違いなく、息絶えていることがわかった。たとえ治癒の魔法を使おうとも、すでに死んでしまっているのでは、どうしようもなかった。


 それからしばらくの間、二人とも呆然として何も考えられなくなっていた。


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