1 誕生
はじめました。よろしくお願いします。
ある日、一人の赤ん坊に突然自意識が芽生えた。
一人の赤ん坊が目を覚ますと、その先には広い天井が見えていた。赤ん坊が動こうと手足をバタバタさせるが、全く動くことができない。
(やっぱり、赤ん坊のままでは動くことはできませんね。しばらくはずっとこのままということでしょうか)
その赤ん坊はまだ生まれて一カ月ほどしか経っていない。その段階でこれほどまでに考えることができるというのが異常だということは、赤ん坊自身が理解していた。
自分自身が一体何者なのか。名前すらわかっていないが、この世界のことについてはある程度は理解していた。
この世界で種族は、人族、亜人族、精霊族、魔族の四種類に分けられる。そこからさらに亜人族は獣人族やエルフ族に分けられる。
人族は寿命がおよそ百年で、四種族の中で一番短く、逆に一番長いのは精霊族。精霊族の寿命は世界の寿命とすら言われているほど長く、千年を簡単に超える。獣人族は長くて二百年、魔族やエルフ族は五百年ほどが寿命だ。
そんな種族は、何百年も前から散発的に争いを続けている。大雑把に言えば、魔族とそれ以外。つまり、魔族は全種族の敵ということになる。
だが、争いがそれだけというわけではない。魔族に対して程ではないが、人族と獣人族の争いもある。表立ったものはないが、いつでもどこでも裏では諍いは避けられない。
さらに魔物が存在し、それらを狩る者もいれば、操る者もいる。魔物を操るのは基本的に魔族と言われている。
そんな世界に生まれた赤ん坊は、いまだに自分の名前を知らない。
(どうやったら知れるのでしょうか……ん?)
知りたいと思ったその時に、赤ん坊の目の前に現れたものがあった。
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アリシア・ラインセル
年齢:0
種族:人族
性別:女
ジョブ:時の天使
属性:時
レベル:1
体力:100/100
魔力:300/300
物攻:30
物防:20
魔攻:300
魔防:30
俊敏:50
スキル:時の魔眼
時の魔力
叡智の書
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いきなり現れたそれに驚きつつも、その赤ん坊、アリシアの目が向いたのは一つのスキルだった。
(《叡智の書》……)
そのスキルが今のアリシアの理性の理由なのだと、アリシアは理解した。