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#007「くだらない」

「朝は電子オルガンで、爽やかに始めるんや」

「嫌だね。俺は、あの決めポーズを見ないと落ち着かない」

「東京のアナウンサーのトークは、最後にオチがないから嫌や」

「感想に笑いを求めるな。局アナは、芸人じゃない」

「おはようございまぁす。また、チャンネル争いしてるんですな?」

「おはよう、芳郎くん。そうなんよ。蕨くんが頑なやから困っとって」

「頑固なのは、茶屋町のほうだろうが!」

  *

――ホンマに蕨くんは、他人の感情を逆撫でするばっかし。少しは、うちの意見を聞いてくれたってえぇのに。ブレザーの一件では、優しいトコもあるかもしれんと思うたんやけど、あれはキマグレやったんやろうか?

  *

「何で、まだ古いのが残ってるのに、サラを開けるんよ。信じられへん」

「これ以上は出ねぇよ」

「そんなことあらへん。ちょっと貸してみぃ。こうやって少し空気を含ませて、キャップを閉じて振れば、……ほれ!」

「そんなケチ臭い真似ができるか。あぁ、そうだ。いい加減、洗面所の歯ブラシを取り替えろよ。毛先が開いてるじゃねぇか」

「まだ大丈夫やって。もっと、限りある資源を大切に使わなアカン」

「モッタイナイ精神は大切だけど、歯の健康のためには新しくしたほうが良いわよ、茜ちゃん」

「ほら見ろ。藤沢だって、俺に同意してるじゃねぇか」

「そない鬼の首を取ったような顔せんでもえぇやん。小さい男やなぁ」

  *

――何で蕨くんは、うちに対して張り合うんやろう? 可愛げがないわぁ。これが世に言う反抗期って奴やろうか? いやいや。何を親みたいなことを考えてるんやろう、うち。

  *

「あの番組も、関西ローカルやったんやなぁ。――あっ、葉山さん。こないだの小説は、順調に進んではるん?」

「今のところは。ひと区切りついたので、休憩しようと思いまして。何か、酸欠気味の頭でも楽しめそうな、面白い番組はありますか?」

「さっきまでは新喜劇をやってたんやけど、今の時間は面白ないのばっかし」

「そうですか。お好きですね、新喜劇」

「土曜の昼の定番やから。大阪で生まれ育った人間やったら、誰でも即興でギャグを真似できるっちゅうくらい、遺伝子レベルで刻み込まれてる習性やねん」

「条件反射か、刷り込みか。ラジオ体操と同じですね。――お帰りなさい、蒼太さん」

「ただいま、葉山。例の件だが、おっと。茶屋町も居るのか」

「お帰り、蕨くん。何の話?」

「大したことではないんです。――僕の部屋で話しますか?」

「茶屋町には関係のない話だ。――そうしよう」

「うちは、蚊帳の外やねんなぁ」

「ごめんなさい、茜さん。すぐ済みますから」

「絶対に二階に来るなよ。ドアの前で聞き耳立ててたら、承知しねぇぞ。そうそう。これは前フリじゃねぇからな」

「わかった、わかった。密談でも密告でも、何ぞと好きにしぃな」

  *

――どんな事情があるんかは知らんけど、信用されてへんねんなぁ、うち。


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