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#043「我が家が一番」

「何だか、新婚生活を邪魔するようで悪いわね、蒼太くん」

「しょうがねぇよ、藤沢。俺たちには、他に居場所がねぇんだから」

「そうねぇ。二人が結婚したところで、アタシたち三人の課題は解決してないものね」

「そうだろう? しかるに、残留せざるを得ない。キュー・イー・ディーだ」

「でも、せめて茜ちゃんに部屋を譲ってあげたらどうなのよ、蒼太くん。葵くんの部屋は廊下の左奥、茜ちゃんの部屋は階段上がってすぐ。夫婦二人が廊下を挟んで斜向かいなんて、可哀想じゃない」

「俺は今の部屋が気に入ってるんだ。北向きで、雑誌やシー・ディーが日焼けしないからな。藤沢が葉山に譲れば良いじゃねぇか」

「嫌よ。南向きの出窓が、鉢植えの栽培にピッタリなんだから」

「何だ。庭やサン・ルーム以外でもブツを育ててたのか」

「誤解を招くような言いかたしないでちょうだい。すべて合法よ」

「魔道書片手に、引っこ抜いたら悲鳴を上げるようなものを育ててないか?」

「ハロウィンから離れなさい。もうすぐ、空に鯉幟が泳ぐ季節なんだから」

「そうだな。最高気温が二十度を超える日が増えてきたもんな」

「これで朝晩の冷え込みが無くなれば、いよいよ夏に近付く訳だけど」

「夏も近付く八十八夜、か?」

「摘みたての新茶の美味しい季節が来るわね。茜襷に菅の笠」

  *

「鍋を囲むのは、五人揃ってるほうが良いですね。――そろそろ、火を消しますね」

「ここんトコ、みんな忙しかったもんねぇ。――厚揚げは、うちのやから食べんといてな」

「土日祝が完全に休みの企業なら、一日二日に有給休暇を取るだけで二十八日から七日まで十連休に出来るとあって、その前に仕事を片付けてしまおうということなんだろうな。――白身魚は俺のだからな」

「五月一日も祝日なら良いのにな。――鶏団子は誰にも譲りませんぞ!」

「勤労感謝の日を収穫祭にして、労働者の日にすれば良いのよ。まぁ、どっちにしても、接客業の人間には関係ないことだけど。――トマトとチーズはアタシのよ」

「争奪戦ですね。総合すると、白滝、長葱、白菜、春菊、椎茸は自由なんですね」

「うちは白滝、いらんから」

「俺も、春菊は食べない」

「オイラも、椎茸は遠慮したい」

「アタシも、お葱は好きじゃないのよねぇ」

「おやおや。皆さん、好き嫌いの多いことで」

「だって、具材を均等に分ける必要は無いもん」

「そうだ。好きな物を好きに取るのが、寄せ鍋の醍醐味だ」

「茜と蒼太に賛成!」

「アタシも、右に同じよ」

「フフッ。……それぞれの個性が調和して、良い味が出てますね。さしずめ僕は、この白菜と同じでしょうか」

「このあと玉子雑炊にするから、おつゆは残しといてな」

「今日は麺類じゃねぇのか」

「前回は饂飩、その前がスパゲティーだったな」

「残り汁が少ないと、この前みたいに焦げるから気を付けなさいよ」


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