#017「つかぬこと」
「それ見ろ。面倒なことになったじゃねぇか。だから俺は嫌だって言ったんだ」
「いまさら、そういうことを言っても始まらないわよ、蒼太くん」
「そうですよ、蒼太さん。ここは建設的な案を出すべきです」
「お願いやから、人助けやと思って協力したって」
「蒼太の言うことは気にするなよ、茜」
「フン。そもそも無理があったんだよ。良い機会だから、強制送還されてしまえ」
「マァ、蒼太くん。何てこと言うのよ。謝りなさい」
「まぁまぁ、茉莉さん。元はと言えば、うちが播いた種やから」
「そうだとしても、言い過ぎだって。謝れよ」
「ヘェヘェ。どうもスイマセンでした。これで満足か?」
「そんな傲慢な謝罪があるものかしら」
「あの。皆さんに一つ、提案があるのですが、一時的に女性五人で暮らす状況を作ってしまうというのは、いかがでしょう?」
「どういうことなん、葉山さん?」
「僕たち四人は、しばらく家を空けて、代わりに、四人の女性に住んでもらうんです」
「それじゃあオイラは、藍助に頼んで泊めてもらおう」
「アタシは店で、車中泊でもしようかしら。シートを倒せば、寝られなくもないのよ」
「勝手に話を進めるなよ。俺は、ここ以外に居場所が無いんだぞ」
「それなら、僕と一緒にホテルに泊まりませんか? 宿泊費は全額負担しますから」
「それなら、まぁ良いだろう。棚や収納には、絶対に手を触れるなよ」
「誰も蒼太くんには興味ないわよ」
「見られたくないものがあることくらい、うちにも分かるわ」
「オイラは平気だけどなぁ」
「あとは、こちらに呼ぶ女性ですね。僕からは、薫さんに頼んでみますけど、茜さんからも、誰かお願いできますか?」
「そうやねぇ。蘭ちゃんと繭美さんに声を掛けてみるわ」
「あと、もう一人ほしいところね」
「俺は呼べねぇぞ」
「あの人は? ほら、葵のストーカー」
「芽衣ちゃんですか? 気が進みませんが、この際、致しかたありませんね」
「葉山の頼みとあれば、二つ返事で引き受けるだろうぜ。それじゃあ俺は、荷造りにかかるから」
「アタシも、貴重品をまとめるわ。芳郎くんも、学校の用意をまとめなさい」
「そうだな。教科書やノートはロッカーに置きっ放しだけど、体操服や筆箱は持って行かないと」
「みんな、おおきに」
「良いんですよ。困ったときは、お互いさま。そうでしょう?」
「そうやね、葉山さん」
「さて。僕も荷造りをしないといけませんね。申し訳ないのですが、手伝っていただけますか?」
「はい。もちろん」




