表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/45

#010「三人で」

「五人でオリジナル・ムックを作るとしたら、茜さんがイラストで、蒼太さんは表紙モデル。茉莉さんにはスタイリスト、芳郎さんにはキャッチ・コピーを頼みましょうか」

「実現しないことを祈る。それより、葉山」

「記念になると思いますけど。それぞれの個性も活かせますし」

「俺の話を聞け。こんなところに呼び出したのは、そんな無駄話をするためだったのか?」

「気が短いですね。話しにくいことの前に、ワン・クッション置かせてくださいよ」

「くどい。いい加減、本題に入ってくれ」

「わかりました。――先日、苑子さんが訪ねてきました。草加さんと縒りを戻すそうです」

「ほぉ。それで?」

「もう一度、親子三人で暮らしましょう、ということで」

「お断りだ。あの男とは、二度と一緒になりたくない。だいたい、本当に俺の父親かどうかも定かじゃねぇんだ」

「でも、蒼太さんが学校に通えるのも、草加さんが」

「俺がモデルになるまでは、の話だ。俺が外で稼ぐようになってからは、俺の金で遊ぶようになって、まともに働かなくなったんだぞ? おまけに、暴言を浴びせるわ暴力を振るうわで」

「怒りたくなる気持ちは理解できます」

「いや、葉山には分かんねぇよ」

「そんなことありません」

「いいや、そうなんだ。そういう話なら、いくら頼まれても、俺は首を縦に振らない。先に失礼する」

「待ってください、蒼太さん」

  *

「それで、また閉じ篭っちゃったのね?」

「そうなんです。話の進めかたが拙かったようで」

「葵くんが落ち込むこと無いわよ。蒼太くんも、難しい年頃だもんねぇ」

「僕にも高校時代に引き篭もってた時期がありましたから、殻に閉じ篭っていたいという気持ちは、よく理解できます」

「お医者さんになるか、それとも法律家になるか、勝手な二択を迫られてた頃ね?」

「そうです。親が敷いたレールに暗澹とした将来しか見出せなくて、塞ぎこんでいました」

「それで、一冊の小説に救われたのよね?」

「えぇ。それまでライト・ノベルを読んだことが無かったのですが、水彩画のようなイラストの表紙に惹かれて、何気なしにカートに入れた本でした」

「その本は、まだ持ってるわよね? 蒼太くんに読ませたらどうかしら?」

「経緯が違いますから、同じような効果があるとは思えませんけど」

「良いのよ、全然。駄目で元々じゃない。試して無意味だと分かったら、体当たりしてでも部屋から引きずり出すわ」

「茉莉さん。もっと穏便な解決方法を」

「いやぁねぇ、冗談よ。いいから、その本を取って来なさいよ」

「それでは、取って来ます。あの、茉莉さん。くれぐれも、ドアを」

「壊さないわよ、安心なさい。早くしないと、茜ちゃんや芳郎くんが帰ってくるわよ?」

「そうですね。すぐに戻りますから、説得の続きをお願いします」

「任せて。落としのプロだから」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ