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赤っ恥のユー

俺はリュックに色々と言いたい事がある!

だが、まずはジュリーの手当てが先だ。


「リュック!お前後で話があるからな!でもその前にジュリーの手当てを」


「言われなくてもやる」


素っ気なく答えられた。なんかむかつく!!


「あっはっはっは!ユーよ!残念だったな!!折角かっこよかったのにな!」


それはそれはいい顔でヴィルが大爆笑しながら蒸し返す。


「うるさいよヴィル!!めっちゃ恥ずかしいやらなんやらで凄いんだからほじくり返すなよ!!」



「それにしても久しぶりにこんなに笑った!やはりユーといると退屈しないな!」


「不本意だよちくしょう!!」


穴があったら入りたいとはまさにこの事だと思うユーなのであった。


ヴィルとそんなやり取りをしてるとリュックがジュリーの手当てを終えて戻って来た。


「あはは……しくじっちゃったよ。それにしてもユーは強いんだね。私が簡単にやられた相手を一発で仕留めるなんて。私と模擬戦した時は手加減してたん?」


くっ!リュックの野郎!なんか話してると思ったら先に手を打ちやがったなあの根暗め!!

しかもこれなんて答えたら良いんだよ!


「いや、えっとうん。それほどでも?」


ほらみろ!意味わからん回答しちゃったじゃないか!!


「うん?そんなに謙遜しなくてもええのに。それと船の中見ないと」


「あっ!それなんだけどさ、先にヴィルと2人で見てくれないか?俺はリュックにちょっと話があるから先に行っててくれないか?」


リュックがあからさまにちっ!って顔をしてやがるな!や、まぁ表情にそこまで変化は無いんだけど絶対そう思ってるに違いない!


「うん?なんだい2人で話って。怪しいな〜私が気絶してる間に何かあったのかー?!」


「んなわけあるか!良いから早く行けよ!」


「おーおー怪我人をこき使うとは護衛使いの荒い御仁だ事。だってさヴィルターナさん」


「仕方ない。ユーはリュックと話があるみたいだしの……ぷくく!それじゃ先に行ってるからの」


そう言うヴィルの顔はにやけていた。

くー!!リュックのにゃろう!ただじゃおかん!!


2人が先に行ったのを見てリュックもどさくさに紛れて行こうとしている。

だが俺は肩をしっかりと捕まえた。


「…えっち」


ブチッ!

俺の中で何かが切れた音がした気がする。


「リュックお前なー!」


「なに?」


「なんであの時雷魔法使ったんだよ?!完璧に俺と敵の一騎打ちの流れだっただろうが!!」


「ヴィルターナさんには手を出すなとは言ってたけど、私は手を出すなとは一言も言われてない」


この屁理屈を!!


「それに、あのまま戦ってたら確実にユーが負けてた」


ぐっ!それはなんとも言えない…


「私の任務はユーの護衛。護衛の任務はユーを危ない事から遠ざけるのが仕事。戦いが起きてしまった事はしょうがないから後は出来るだけ危険を減らすしかない」


ふふんと胸を張って言うリュックだが、正論過ぎて何も言えない!!


「でもだからってなぁ!!」


「あのまま続けててユーが負けて護衛失敗になったら私達の信用に関わる」


ぐぐぐぐ!


「故に私の行動は正しい」


「うぬぬ……」


「ふっ。論破」


結局言いくるめられてしまった。

俺はフラストレーション溜まりまくりだが言ってる事も正論なのでなんとも出来ない。

スラも「ユーの気持ちは分かるけどあの場ではリュックの言ってる事が正しいよ!」との事だ。

ポケットにずっと居て俺の命まで救ってくれたスラからも言われたかし、なんとか気持ちを切り替えて船に向かった。


先に向かったヴィル達は船の中を色々調べたがやはり船員はいなかった。



「やっぱり誰もおらへんか……」


「ジュリー、知り合いでも居たのか?」


「うん、友達が船で働いててな」


「そうか。それは気の毒だったな」


「こんな世界やし、自分の行動は自分の責任てのは分かってるけど、嵐でも魔物に襲われたでも無く海賊に襲われるとなるとなぁ」


「ジュリー、元気を出せとは言わんが気持ちの整理はしっかりつけるべきだぞ?」


「分かってる、分かってるけど。悪いけど少し一人にしてくれる?」


「分かった」


その後ヴィルがまた少し船内を探すと船長は縛られた状態で発見出来たが船員を殺され、自分の船を奪われた事もあり、自分の舌を噛み切り自殺していた。


「ふむ、困った事になったな」


そう呟きつつ外に出てユー達と合流した。

その時にジュリーの事、船長の事を話した。


「船はあるけど出せないのか。さてどうしたら良いかな?」


「操縦ならジュリーが出来る。」


「えぇ?!でもヴィルの話を聞いてる限り今のジュリーに操縦は危なくないか?」


「大丈夫。ジュリーは私のパートナー。きっと乗り越える」


「でも期限迫ってるからな。大体後1日半あるかないかだぞ?船で1日かかるって言ってたし」


「大丈夫」


「そっか、じゃあそれだけ言うなら大丈夫なんだな」


「ん!」


そこから1時間程経ったところでジュリーが船内から出て来て気を使わせちゃってごめん、任務中なのにねと謝ったのだが気にするなと答えた。

船長が自殺しちゃってて操縦出来る人がいない事を伝えるとじゃあ私がやるしかないねと進んでやってくれた。

ジュリーは船の操縦は久しぶりだと言っていたが手慣れた物だった。


スラはどうやら海だけは体が溶けてしまう為に苦手のようで、ポケットからピョンと飛び出し、また一緒に旅をしたいとユーに一言言った。


ユーは寂しくなるなと思ったがいつか迎えに行くからと言うとスラはその場でぴょんぴょん跳ねてから去って行った。


船長の死体を火葬し、船を出した。



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