日常の崩壊
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俺が目を開くと、そこは教室だった。室内は灯りはなく薄暗い。時刻は午後7時と言った所か…
「な、何だよ…これ」
いつもの教室、いつもの机。しかし、そこにあったのは日常ではない。
教室の中央に生徒の死体が積み重なっている。
それは昨日まで一緒にいたはずのクラスメートの死体だ。
「あ、あぁぁぁぁ!!!」
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あの日、世界が変わった。
時代は2688年…
日本では原因不明の感染症が発生した。感染した物は自我を失い暴徒化した…
いわゆる「ゾンヒ」だ。
研究が進に連れてある事実が分かった。感染菌は17歳以下にしか有効でなく、それ以外は感染者に噛まれるために起こるということだ…
そして、今日…日本政府は学生を見捨てた。感染をなくすために虐殺を始めたのだ。それは田舎とて例外ではなかった。
現に俺の前では死体が並んでいた。一人は国の暗殺部隊に…一人は教師に殺された。
その時、ポケットの携帯が静寂を破った。
俺はディスプレイを一瞥し、携帯を耳に当てる。
「もしもし…」
《おぃ!通じたぞ…》
「その声はカズマか!?お前は無事か?」《あ、あぁ…何とかな…それより他に生存者はいるか?》
友人からの質問に少し間隔があいてしまう。
「残念だが…」
俺はそう短く告げた。
《そうか…まっ、お前だけでも無事でよかったぜ。これから俺の学生寮に来れるか?生き残ったヤツらもいる》
「分かった。すぐに向かう」
俺が携帯の電源を切ろうとした瞬間にカズマが慌てて警告してきた。
《いいか、教師には見つからずに来いよ…鬼は帰って行ったから安心しろ》
「あぁ、分かってる」
そして、携帯の電源を切り、教室の外にでた。
「鬼」とは暗殺部隊の連中の事だ。ヤツらはお構いなしに銃を発砲してくる。
それに、教師も危険だ。俺は目の前で教師に助けを求めに行った生徒が殺されるのを見た。
今は自分以外に頼れるものなど存在しないのだ。
俺は死体がゴロゴロと転がる大廊下を走り抜けた。
幸いにも教師に遭遇せずに学生寮にたどり着いた俺はカズマの部屋のある四階を目指す。
階段を身をかがめながら登り、四階に着くとすぐ隣にある部屋のインターフォンを鳴らす。
《裕弥だ…開けてくれ》
《了解!少し待て…》
カズマの声が切れた後、こちらに足音が近づいてくる。そして扉が開く。そこから出てきたのは学生服を着たカズマだった。金色がかった髪に碧眼の美しい瞳の少年だ。
「早かったな…誰にも見られてないよな?」
「安心しろ、教師は校舎の中の体育館に集まってる」
少し話した後、俺はカズマに手招きされ、玄関に入る…こいつは今日の学校を体調不良で早退したので死ぬのは避けられたようだ。
「ここだ…」
そんな事を考えている内に目的の部屋に着たようで、カズマが木製の扉を開けた。
同時連載できるように頑張ります(`・ω・´)