終業式
「よし、じゃあ、これで一学期は終わりだ」
高校2年、井野嶽幌の担任である高啓槻が、教室でみんなに言った。
「きりーつ」
委員長が号令をかける。
外では梅雨明けして3日ぐらいたっている夏空だ。
「おわったー!」
伸びをしながら、幌の横で山門が言った。
「夏休みだなぁ。どうするんだ、みんな」
幌がカバンを肩にかけながら、その場にいた友人一同に聞いてみた。
「どっか行きたいな、海とか」
星井出が幌に話す。
「海か、白浜?須磨?」
「いいねえ、どっちでも」
「山にも行きたいな」
宮司が場に入る。
「海に山に川…まあ、まずは宿題終わらせてからだな」
その幌の一言で、みんなが蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。
「宿題、写させてやるよ……」
幌がぼそっと言うと、あっというまに集まってくる。
「お前ら…」
「じゃあ、幌んちで、勉強会な」
「おいおい……」
言いながらも、幌たちは適当な約束で、それぞれの部活へと散った。