ヒロイン登場
ヒロインが出てきます
勇人が剣をはなしたことで、剣は地面に落ちて行った。
なので、チップは着地するために黒猫型になり、着地した。
「おい勇人。嬉しがるのはいいが、俺をはなすな」
猫でありながら眉間にしわを寄せて、怒った口調で言った。s
「ごめん。でも、勝てた。僕、今まで試合じゃないと力が出なかった。でも、ここは自分の世界じゃなかった。そう思うだけで、力が出たんだ。ちょっと、理不尽かもしれないけど」
「いや、それでいいんだ。申し子の役目は、使命を果たす事。そのために力が出たなら、理由がどうあれいんだ。そうじゃないと、お前も死ぬし、俺も死ぬ」
「うん。って、え?
納得しかけた勇人だったが、ある言葉に引っかかった。
「チップ。自分も死ぬってどういう事?」
「それは、主人と使者は契約した時点で命がつながる。ダラマンガラス様が無くなったら、使者である俺様が死ぬ。そして、俺様が死ねば、主人のダラマンガラス様も死ぬ。それは、生まれ変わってもだ。だから、生まれ変わりの勇人が死んだら、俺も死ぬんだよ」
すこし、冷たいくいったチップ。
「そんな・・・じゃあ、チップのために僕は使命を果たして生き続ける。命の恩人だしね」
「命の恩人?」
「うん。だって、さっきの怪物を倒せたのは、武器のチップがいたからでしょ。チップがいなかったら死んでいたもんね」
「ふ。お前は面白いよ。つくづく」
勇人は自分が生きるためじゃなく、相棒のチップを助けるために使命を果たすと言った。チップが命の恩人だと言ったが、ここに連れてきたのはチップだ。
だけど、そんな事は勇人は分かっていた。
それでも、チップを死なせないために使命を果たしたいと思った。
それは、初めての相棒でもあり、引っ込み思案の勇人の、初めての友達だったからだ。
だが、チップはこういう、お人よしな奴を何人も見てきた。
チップは神の次に生まれた生命体。
だが、その力は弱く、のちに作られたダラマンガラスの使者になった。
なので、神とは一番付き合いが長かった。なので、神が死ぬまでは、神自身が作った世界を、一緒に見てきたからだった。
そう言う奴は、たいていひどい目に会って来た。
だからチップは思った。
チップを助けるために使命を果たそうとしている勇人を、全力で守ろうと。
気まぐれなチップは、剣には戻らず、猫型で勇人と一緒に荒野を歩いていた。
「ねえ、チップ」
「何だ?」
「神の世界には、どんな幻獣がいるの?」
「すべては俺にも分からない。神が死んでから、幻獣と幻獣の子どもなども生まれて行ったから、数え切れないほどいる。ただ、一番知っているのはバハムート」
「バハムート。それって、本当は魚みたいなんだけどゲームだと竜で表される事が多いバハムート?」
「そうかは分からないが、バハムートはジャッチという神官と、アメミットと言われる幻獣の間の子どもだ。バハムートは破戒欲がかなり強く、神が死んでから生まれたから、止められる奴がいなかった。まあ、今は神の世界にはなぜかいないがな」
「それって、生まれ変わって事じゃ」
「かもな。それか、バハムートを倒そうとしたダラマンガラス様が倒したかだ。それは俺様にもわからない」
「ふーん。まあ、覚えておくよ」
そんな話をしながら、二人は歩いたいた。
そんな時だった。
急に二人の前に、噴水のような水しぶきがあがった。
「なんだ?」
すぐに足を止め、警戒するチップ。
「急になに?」
それに比べて、戸惑っている勇人。
「喋った?」
そう言ったのは、水しぶきの中から出てきた綺麗な女性だった。
女性は、全体的にぼろい布を使った服を着ており、腰には小さな短剣が納められていた。
「誰だお前は?」
「え?私?てか、なんで猫がしゃべってるの?」
驚かした女性が、驚いていた。
「だから、お前は誰だ!」
「私の名前はセルナ。トレジャーハンター。って、だからなんで猫がしゃべってるの?」
それが、トレジャーハンターのセルナとの出会いだった。