表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダラマンガラスの申し子  作者: 佐藤隆太
4/5

 初めての闘い

 「ねえ、チップ」

 荒野をひたすら歩いている勇人。

 勇人は、歩きたくなくてづっと剣になりっぱなしのチップに話しかけた。

 「なんだ?坊主」

 「坊主って、ちゃんと勇人って呼んで」

 「分かった。じゃあなん?」

 なぜかイライラしている口調で言うチップ。

 それは、歩かないことをいいことに、寝ていたからだった。

 「いやさあ。神ってどんな人なの?」

 さっきの説明の中で出てきた、神という存在に興味がわいた勇人。

 「神は死んだ」

 「え?」

 「神は人間だ。超能力を持っている人間を思い浮かべろ。神は生まれ持って強力な力を持っていたんだ」

 「強力な力・・・」

 「そう、だが神は、簡単に言うと無の世界に生まれた。まあ、その無の世界が神の世界なのだが。じゃあ、ここで聞く。神に匹敵するほどの力をもっていたとしたら、お前はどうする」

 「僕?」

 足を止めると、不機嫌なチップに怒られそうだと思った勇人は、歩きながら悩む。

 「ああ」

 「僕は、力を何かしら使うかな。もったいないし」

 「そう。神もそうだ。暇だったんだ、ただ単に。最初は神の世界を作り上げ、その世界がつまらなくなると他の世界を作って行った。まあ、シュミレーションゲームをやっていた感じだ」

 「チップって、シュミレーションゲームって知ってんだね」

 「ああ、俺は昔から神の世界がいたからな。神に教えてもらった。なんで世界を作ったか。そしたら、シュミレーションゲームと言っていた」

 「へえ、じゃあ、僕たちのシュミレーションゲームを作ったのは神だったんだ」

 そう思うと、勇人はシュミレーションゲームをなんかいもやった事があったので、神をあらためて尊敬した。

 「そうだな。で、話に戻るが、神は色々な世界を作った。そして、ただ見て遊んでいたんだ」

 「そうなんだ。でも、さっき神は死んだって言ってたけど」

 説明の時に、チップがさりげなく言っていたことを思い出した。

 「ああ。さっきも言ったが、神は超能力を持った人間だ。考えてみろ、人間は死ぬだろ、いつか。神も同じだ。いくら力はあっても、寿命は変えられなかったらしいな。だが、神が死んでもなを、さっき説明したシステム、申し子システムは健在しているのだ」

 「へー」

 ただ納得するしかなかった勇人。意見をいうにも、神は死んでしまっているからだった。

 

 勇人がさっきのように、荒野をただあるいているときだった。 

 ドスンという音とともに、勇人の前。ちゃんと言えば、勇人とチップの前に何かが現れた。

 それは、空中から地上に落ちてきた。そのため、荒野の地面が割れて、岩が飛び散り、それがじゃまでいまいち姿が分からなかった。

 「さ、サソリ?」

 勇人がびっくりしたのも無理はない。

 岩が地面に落ち。そこに笑われたのは、サソリ。

 だが、ただのサソリじゃない。サソリ人間といったほうがいいだろう。

 そのサソリ人間は、下半身がサソリの体で、足が六本生えていた。上半身は人間の形。だが、両手はサソリの強靭なハサミだった。顔は、兜のような強靭な甲殻でおおわれていた。

 全体的に的にいかにも堅そうな甲殻でおおわれ、体長はおよそ五メートルもあった。

 色は、サソリと同じ茶色。

 その姿からは、まさに怪物を想像させる。

 「おい、勇人。俺は抜け!」

 チップは鞘もチップなので、剣が鞘にしまわれても状況は見えたので、大声で勇人に命令する。

 「う、うん」

 戸惑いながらも勇人は、剣を抜いた。

 鞘から出てきた剣の刃は、これも漆黒の黒に染められていた。

 「ねえ、思ったんだけど」

 「なんだ勇人?」

 こんな時にと、チップはさっきよりいら立つ。

 「チップは幻獣でしょ」

 「ああ。それがどうした」

 「だったら、生まれ変われんじゃないの?」

 「確かに、幻獣は生まれ変われる。だが、俺たち使者はそんな生まれ変わる力もない。なぜならわかるか?武器にしかなれないからだ。だから、武器にしかなれない幻獣は、他の幻獣につかえ、使者になるんだ。分かったか!」

 「うん。じゃあ、僕がチップを存分に使って鍛えて、生まれ変われるようなくらい強い幻獣にしてみさる!」

 「ふん。お前はアマちゃんだな。さっき会ったばかりの奴をそんなふうに思えるか?」

 「思える。だって、君は僕の使者なんでしょ。こうも解釈できる。相棒、ってね」

 ニッコリ笑いながら勇人は言った。

 「ふふ。気にったぞ俺はお前を。行くぞ」

 そして、勇人とチップは、頭が悪くてただ両腕のハサミを閉じたり開いたりしているサソリに、向かっていった。

 

 「勇人、最初は俺が指示する」

 「分かった。何かゲーム見たい」

 勇人は、よくゲームを見るとき、アクションやRPGだと最初に戦う時、操作方法が出る事がある。それを思い出し、ゲーム感覚で、コントローラーを握りしめるように、剣のチップを握りしめた。

 「来るぞ、右だ」

 チップが言った通り、怪物の左腕のハサミが、勇人に右から襲いかかってきた。

 「く」

 持ち前の身体能力で、背中を左に向けるように半身になる。

 そして、そのせいで怪物左ハサミは勇人の目の前を通り過ぎた。

 さらに、さっき怪物が空中から置ちてきて、さらにわれた地面に突き刺さった。

 さっきのせいで地面がやわらかくなり、簡単に地面にささりめり込んだ。

 「いまだ勇人。

 「うん」

 再び勇人は言われた通り、剣を大きく振りかぶった。

 そして、突き刺さったハサミの甲羅と、腕の甲羅の狭間に剣を叩きこんだ。

 「グよおおおお」

 変な声を出して、怪物は後に下がる。

 下がれたのは、ハサミが抜けたのではなく、離れたからだった。

 ハサミと怪物の上でから、黒い血が流れた。

 「う、僕グロいのは苦手なんだよね」

 「ぐづぐづ言っているな」

 ハサミから怪物に向き直る勇人。

 怪物は、痛みをどうにかしておさえようと必死で、隙だらけだった。

 「ねえ、チップ」

 ここで、勇人はあることを思い出した。

 「なんだ勇人?早くとどめをさせ」

 「うん。でも、ダラマンガラスって風と闇を混ぜた、黒風が操れ気がするんだけど」

 「ああ」

 「じゃあさ、その申し子の俺は黒風つかえないの?」

 「つかえない事はない。第一、生まれ変わっても幻獣が申し子を操れるわけではない。そして、申し子は本来の力の半分以下しか引き継いでいない。だから、神はその弱い申し子なら、自分が作った他の世界を壊さないだろうと考え、申し子は世界をまたにできるんだ」

 「じゃあ、ちょっとはつかえるんだね」

 「ああ、鍛えればな」

 「鍛えればか・・・」

 「だが、初級魔法ならすぐ使える。俺に力を込めろ」

 はやく魔法が使いたい勇人は、再び剣を力いっぱい握りしめた。

 「一で剣をそのばでふれ」

 「分かったよ」

 「三」

 だが、チップが数え始めた同時に、痛みに慣れてきた怪物は、右手のハサミを口のように閉じたり開いたりしながら、その六本足で近づいてきた。

 「二」

 近づいた怪物は、右手を振り上げる。

 「一」

 それと同時に、怪物は右手を振り下ろした。

 だが、勇人も同時に剣を横から大きく振った。

 そうすると、剣のチップから黒い風の斬撃が放たれ、怪物を真っ二つにした。

 怪物は、叫びもあげられないまま、倒れて行った。

 「はあ、はあ。勝った」

 「ああ、勝った」

 「でも、飛ぶ斬撃って難しんじゃ?」

 「まあな。だが、お前の剣道とやらの力と、鎌イタチを出せる黒風が合わさり、難しい飛ぶ斬撃が初級魔法のように、簡単に放てたんだ」

 「へえーでも、やった!」

 嬉しさと達成感で、両手で握りしめていた剣のチップを放し、右手でガッツポーズをした。

 こうして、初めての闘いは勝利を収めた。

 そして、勇人は成長できた。

 元の世界じゃ、強いだけで怖がれると思って隠していた。

 だけど、自分がいた世界じゃないこの世界は、魔物が出るような世界だ。

 強くて当たり前。

 そう思った勇人は、存分に力を発揮できたのだ。

 これが、もとの世界に戻っても発揮できて、弱い人を助けられる人になりたいと、願う勇人だった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ