初めての外デート、場所はもちろん
今日はデートだ。僕と幻の初デート。
二人で会うときは必ず幻の部屋という、インドア派な印象を取り払ってみました。・・・いや、実際はインドア派だけど。僕は読書派だし、幻もゲームとかやるし。・・・本当はアウトドア派だった的な発言をしてすみませんでした!
よし、謝罪はこれくらいでいいだろう。今僕たちがいるのは、デートの定番(なのか?)、遊園地だ。今日は十月十五日、平日だか別に学校をサボったわけではない。というのは、学校の設立記念日なのだ。平日ということはつまり、今日の遊園地はかなり空いている。乗り物に乗り放題だ。普段なら下手をすると何時間も待たなければいけないような乗り物に、五六分待てば乗れるというのはとても気持ちがいい。
一応言っておくけど、今日は命題の日でもある。今日の命題は”読書をする意味”だ。僕はもちろん、彼女も本を読むので、この命題はなかなか面白い。今日は僕が答える番なので、帰りの電車ででも答えるか。とりあえず今はデートを楽しもう。
「次はアレに乗りましょう、春君」
幻が結構怖めなジェットコースターを指差す(彼女は意外と絶叫物好きだった)。
今日の幻の格好は、動きやすそうなジーンズにランニングシューズ、上は白いカーティガンを羽織っている。対する僕はジーンズに運動靴、上はジャケットという幻と似たり寄ったりの格好だけど、なんていうか・・・幻のほうが数段目だって見える。くそ、これが美人補正か・・・神様め、なんて非道なことを。
「何をぼおっとしているの、もしかして・・・怖い?」
「な、何だとー! 僕がジェットコースター如きに怖がっているだと。面白いことを言うじゃないか。だったら勝負だ。これから僕と幻が順番に乗り物を選んでいってそれに乗る、そして先に根を上げたほうの負けだ」
幻の馬鹿にしたような言葉に僕は対抗する。大丈夫、女の子なら誰もが恐れるアレが、ここにもある。しかもうわさによるとこの遊園地のそれは、全国で一二を争う怖さだそうだ。この勝負勝ったな!
「ふっ、面白い提案ね。なら、勝負をより面白くするために罰ゲームを設けましょう。罰ゲームは、そうね、勝ったほうが負けたほうに三つ命令できるとおいうのはどうかしら?」
「三つ!?」
ランプの魔人かよ! しかし確実に勝てるカードを持つ僕としてはここで引き下がる理由はないな。
「いいだろう。受けてたとう」
こうして僕たちの戦いは始まった。
一時間経過。現在僕たちは食べものを食べられる休憩コーナーにいる。ちなみにまだ決着はついていない。
これまでに僕たちが乗った乗り物は、ジェットコースター×三だ。やはり、怖いものというとジェットコースターになってしまうのだろう。僕はそういう系に特に抵抗はないが、こうも連続で乗り続けると、さすがに気持ち悪くなってくるな。
いいだろう、そろそろ切り札を使うか。時間もプラン通りだ。
「もう暗くなってきたし、次がラストとだな。僕のとっておきを見せてやる」
別に自分がつくったわけではないけど、少し自慢げに言ってみる。
「いいでしょう、それでそのとっておきというのは?」
「それはついてからのお楽しみだ」
まだここでは僕の狙いは内緒にしておく。自分の目で直接見たほうが驚きも倍増するってもんだろう。
それから、僕たちは目的地にたどり着いた。そこはそう、お化け屋敷だ。
”黒き洞窟”というのがそこの名称だが、これは・・話で聞いていた以上の雰囲気だ。怖がりの人ならまず入ろうと思わないな。
僕は幻の反応を確かめようと横を見る。そこには、震えて青ざめている少女がいた。え・・・もしかして怖がりさんなの?
「あの、今ここで負けを認めるなら、入らなくてもいいんだけど」
「何を言っているの? 私が逃げる理由はないわ」
あぁ、強がっちゃってるな。これはもう、入るしかなさそうだ。
空いてるだけあり、並んで五分ほどで僕たちの番が来た。彼女は依然として震えているが、逃げるという選択肢はないようだ。ここ、ゴールまで十分かかるらしいけど、何分で根を上げるかな。
僕はため息をつき、彼女とともに入り口へと向かっていく。
ラストの方がミスで抜けてしまっていました。
現在は修正した形になっております。
修正前の状態を読んでくださった方、申し訳ありませんでした。