表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命題と恋愛  作者: 高居望
結婚相手!?
23/36

行きと帰りがほぼすべて

 『図書館の用事』なんていっても、所詮借りた本を返して借りたい本を探して借りる、あえて言うなら本探しが一番の難関だけれども、それも予約をしてしまえばクリアする些細な問題だ。

 そう、これは図書館と自宅の位置関係にも作用されるけど、一般的に言ってしまえば、『図書館に行く』において最も時間を要するのは、『図書館へ行くこと』なのだ。メインは『本』であっても、一番の苦労どころは『そこまで行く』ということ。

 つまり何が言いたいのかというと、僕たちの現在位置について。

 僕の用事は、もちろん図書館での事務作業などといった管理者側のものではなくて、本の貸し借りといった客的なもの。いや、この場合は本の借り借りとでも言うのだろうか・・・。

 まぁとにかく冒頭の通り、僕の用事もあっという間とはいかなくても、都道府県の名前をすべて思い出して言うぐらいの時間ですんでしまった。

 あれだけ引っ張った図書館には一切触れずに、それならいったいお前はどこにいるのか! そんな問いがあったとして、・・・、あったとするよ。

 僕は、というより僕とおとぎは現在、間淵家に到着したところだ。図書館の近くには、高校生が遊べるような施設もたいしてなかったので、またしても約一時間の散歩を経て、やっと今、幻の家にたどり着いたのだ。往復に約二時間、図書館内に約三十分。・・・・・・、疲れた。

「あぁやっと着いたのね。まるで一時間ほど歩いたのじゃないかってくらい、体中に疲労がたまっているわ」

「それは運動不足だね。僕は十分走ったぐらいしか疲れなかったよ」

 六十分歩行と十分間走、どちらがより疲れるのかは定かではないけど、それを今から解き明かそう! と思う気持ちが全く生まれない程度には疲れている。

「とりあえず家に入りましょうか。広い家ですが、嫉妬しないでね」

「おいおい、僕をその程度の男だと思っているのかい? 本当に広くあるべきなのは、家なんかじゃなくて心だってことを幼少期から悟っていたこの僕が、そんな瑣末なことを気にするはずがないだろう?」

「本当に心が広い人はそんなことは言わないわ」

 バッタもんは黙ってなさい、と幻。

 しかし、無駄口の応酬もこの疲労状態じゃあいまいちキレがない。とりあえず間淵家で休ませてもらおう。

「ただいま帰りました」

「お邪魔します」

 きれいに掃除されたきれいな玄関。『履物の乱れは心の乱れ』なんて言葉はよく聞くけど、その格言を信じるならば、この家の住人心はこの上なく清らかなのだろう。

 自分たちのはいていた靴もきちんと整頓して、居間へと歩いていく。

「あれ? ましろ姉さんがいない。こんなことはいつ以来かしら・・・、珍しいこともあるものね」

「いやいや、白さんにだってプライベートはあるんだから、家にいなくたって珍しくはないだろう」

 確かに、僕が遊びに来るときにも、白さんは大抵家にいる。ちなみにひかりさんとさやさんはめったに見かけない。ここは彼女らにとっても自宅なのだから、まさか帰ってこないことはないだろうが。僕がお邪魔している時間よりも遅くにいつも帰宅しているのだろう。

「どうやらみんなどこかへ出かけてしまっているようね」

「ふぅん。そんなこともあるんだな」

「私たち、ふたりだけね・・・」

「何で過ちを犯すモード!?」

「今日、親遅くまで帰ってこないんだ・・・」

「連発!?」

「大丈夫、緊張、してないから・・・」

「なんの話でしょうか!!」

 三連発・・・そういえば演技スキルも身につけたんだっけ、台詞だけじゃなく、表情や口調、それに仕草もプラスされていて、こっちが緊張してしまうほどの腕前だ。

「まぁ、冗談は置いておいて」

 あ、元に戻った。

「とりあえず、お風呂とご飯、どっちがいい?」

「へ?」

「それとも、わ・」

「お風呂がいいです!」

 彼女の台詞を最後まで言わせずに、かなり食い気味で言った。いいフレーズ阻止!

「そう、じゃあお風呂を掃除して、沸かしてきてもらえる? 私が昼食を作っておくわ」

 ・・あぁ、そういう意味だったのか。「お風呂とご飯、どっちの準備をしたい?」という意味だったことにいまさら気づく。というか、これは気づくほうがおかしいと思うけど。

「それじゃあ、お願いね」

 彼女は風呂の位置と(屋敷なので道を聞かないとたどり着けない)掃除方法を聞いて、風呂へ向かうことにした。掃除方法を聞く限り、風呂も一般とはかけ離れたつくりになっているようだった。

 あれ、そういえば、幻って料理できなかったような・・・。

 ・・・・・・。

 仕方ないか。女の子に、料理代わって! なんていえるはずがないし。そもそも僕自身も料理はそれほどの腕前ではないし。愛情さえあれば何とかなるだろう、とあきらめるしかないな。

 幻の手作りランチ、こんな唐突にそれが訪れてくるとは、予想だにしなかった。

 まぁ、僕は任された風呂掃除をさっさと終わらせて、できるだけ早く料理の”手伝い”にいけるようにしよう。そうしよう!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング   よかったらクリックお願いします^^
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ