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秋の週末焚き火を囲う

火の粉がぱちぱちと音を立て、夜の静寂に小さく弾けた。焚き火の炎は、乾いた薪を呑み込みながらオレンジ色に揺れ、周囲の闇を淡く押しのけている。鼻腔をくすぐるのは、燃え落ちた木片が残すほろ苦い香り。冷え込む秋の夜気と混じり合って、胸の奥まで澄んだ空気が流れ込んでくる。


 視線を遠くへやれば、丘の下を走る幹線道路が、赤と白の光で途切れることなく繋がっていた。尾を引くブレーキランプが、まるで静止した川のように連なり、対向車線のヘッドライトは、雪解けの水流のように絶えず流れをつくっている。そこには焦りや苛立ちが渦巻いているのかもしれない。だがここから眺めていると、それはただ美しい光の帯にしか見えなかった。


 耳に届くのは薪のはぜる音と、草むらを抜けていく夜風のざわめきだけ。車のクラクションも、人々の声も、ここには届かない。世界から少しだけ切り離されたみたいに、炎の前に座る自分の存在が際立っていた。


 空を仰げば、雲の切れ間から冴えた星が瞬いている。都市の光でかき消されてなお、必死に存在を主張するかのように。焚き火の炎が顔を照らすたびに、まぶたの裏まで赤く染まり、心臓の鼓動すら炎に合わせて揺れる気がした。


 遠くの渋滞は、動かない群れのように光を並べ、こちらの静けさと奇妙な対照を成している。

 そこにいる誰もが早く前へ進みたいと願っているのに、自分は逆に、時間が止まってほしいとさえ思う。


 薪が崩れて新しい火花が飛んだ。ひとときの孤独が、夜空に吸い込まれていく。


夜空をみあげても星は見えない、雲が夜空一面を覆ってしまっている。

真っ暗な夜空を見るのは久しぶりだ、まるで黒の塗料で一面塗りつぶされた、キャンバスのようだ。

その黒一色の空が、孤独感をより感じさせる。

少しさみしい夜だ。


先程あった渋滞も、流れる時間は解消しいつの間にか、ほとんど走っている台数を減らしていた。


たくさんあった薪たちも、とうとう底をつきた。

煙がたくさん出て、涙が出てくる。

消えゆく炎を見て、今日の終わりを感じる。


そして、静かに真っ赤な火は終わった。

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